愛犬に的確な指示をするための科学的にベストな方法とは?

自分の愛犬が人間社会の中で安全に暮らすためには、飼い主との信頼関係を深め、指示を守るように言いつけることが重要です。愛犬を飼い主の指示に従わせるための方法についての研究結果を、ウィーン獣医大学の研究チームが発表しました。
Using mobile eye tracking to study dogs’ understanding of human referential communication | Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2024.2765
ウィーン獣医大学の獣医学者であるクリストフ・フェルター氏の率いる研究チームは、アイトラッキング装置付きのヘットギアを20匹の犬に装着し、さまざまな状況において犬がどこを見ているのかを検出しました。参加した犬はさまざまな犬種で構成されており、平均年齢は56カ月でした。
実験中、研究チームは2つのボウルの一方に食べ物を隠し、「指差しのみ」「指差し+視線」「視線のみ」「食べ物を投げたふり」「何もしない」という5種類の操作のいずれかで食べ物を隠した場所のヒントを犬に示しました。実験は各犬につき各条件6試行、合計30試行を2日間にわけて行い、同時にアイトラッキングで犬の視線の動きや注視時間、視線の遷移が記録されました。また、犬が正しいボウルを選択できたかどうかも記録されました。

結果として、犬の正答率は「指差しのみ」だと64%、「指差し+視線」だと72%を記録しました。一方、「視線のみ」は57%、「食べ物を投げたふり」は50%で、2つのボウルをランダムに選んだ場合と大差がありませんでした。
また、手の動きを含む「指差しのみ」「指差し+視線」「食べ物を投げたふり」だと、動きの示す方向に視線が移動したことがわかりました。ただし、正解のボウルに視線が移動したのは、「指差しのみ」「指差し+視線」の2パターンで顕著だったとのこと。
さらに「指差し+視線」の場合、犬は他の操作と比較してより長く正解のボウルを注視していました。加えて、「指差し+視線」で指示するとまず実験者の顔を見て、次に実験者の手、そして正解のボウルという順番に、犬の視線が遷移することが頻繁にみられました。この遷移パターンは他の条件では少なかったと研究チームは報告しています。

結論として、犬は単なる方向を示す動きと、指差しや視線などの具体的な指示を含むコミュニケーションを区別して認識していたことがわかりました。特に、指差しと視線を組み合わせて指示することで、犬が人から視線を離し、指示された対象物へ注意を向けるのを促進できます。つまり、犬に的確に指示を行うためには、ただ声をかけたり動きを見せたりするだけではなく、指差しや視線などを使ったコミュニケーションをしっかり行うことが重要だというわけです。
ただし、フェルター氏は「犬たちが何が起こっているのかをどの程度理解していたかは、まだ疑問が残ります。彼らにとって、それはどこかへ行けという命令的な指示のようなものでしょうか? それとも、彼らはそれをもっとコミュニケーション的な方法で理解しているのでしょうか?」と語り、犬が与えられた情報の中身をより高いレベルで理解できているかどうかについてはさらなる研究が必要だと述べました。

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in サイエンス, 生き物, Posted by log1i_yk
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