生き物

「左利きのイヌ」の割合は人間よりはるかに大きいことが約1万8000頭を対象にした研究で判明


人間は一般的に左右どちらかの手が器用な動きや運動能力に優れた「利き手」であり、2020年の研究によると左利きの人間は約10.6%ほどだと報告されています。イギリス・リンカーン大学の研究チームが1万8000頭近くのイヌを対象に調査したところ、「イヌは人間よりも左利きの割合が大きい」ことが判明しました。

The effect of sex and age on paw use within a large sample of dogs (Canis familiaris) - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S016815912100085X

Findings from the Largest Study on Left-Handedness in Dogs | Psychology Today
https://www.psychologytoday.com/us/blog/the-asymmetric-brain/202104/findings-the-largest-study-left-handedness-in-dogs

人間以外の動物にも利き手が存在することは以前から知られており、ネコではメスが右利き、オスが左利きの傾向がみられるとの研究結果があるほか、ミツバチにも「右利き」と「左利き」の違いが存在することがわかっています。リンカーン大学の臨床動物行動学者であるKirsty Laverack氏が率いる研究チームはイヌの利き手を調べるため、1万7901頭のイヌを対象にした大規模な調査のデータを分析する研究を行いました。

今回の調査で利用した実験データは、英国放送協会(BBC)が「Test Your Pet」という調査で収集したもの。この調査では、飼い主がイヌの前足が入る幅がある段ボールまたはプラスチック製のチューブを用意し、その中に餌を置きました。イヌは餌を取るために前足をチューブの中に伸ばす必要があり、飼い主はイヌが左右どちらの前足を使って餌を取り出すのかをチェックしたとのこと。

3回にわたってこの実験を繰り返し、飼い主はイヌが「ほとんどの場合で右の前足を使った(右利き)」「ほとんどの場合で左の前足を使った(左利き)」「どちらを優先的に使ったのか判別するのが難しかった(両利き)」のどれに当てはまるかを回答しました。


実験の結果、「左右どちらかの前足を優先的に使った」と回答されたイヌは1万3240頭であり、割合にして74%のイヌが左右どちらかの「利き足」を持っていることが判明。このうち58.3%が右利きで残りの41.7%が左利きだったそうで、イヌの世界でも右利きの方が左利きより優勢である一方、左利きの割合は人間よりはるかに大きいことがわかりました。

また、興味深いことにイヌの性別も利き足に影響していたそうで、メスの60.7%が右利きで39.3%が左利きだった一方、オスは56.1%が右利きで43.9%が左利きであり、オスの方が左利きの割合が大きかったとのこと。人間でも「男性の方が女性よりも左利きの割合が大きい」との研究結果が示されており、イヌにおいても同様の傾向が見られたことになります。また、イヌは年齢が高いイヌほど右利きの割合が大きかったとのことですが、この傾向はオスに特有だったそうです。

今回の研究結果はイヌにおいても人間と同様に右利き・左利きの違いがあることを示していますが、イヌでは両利きや左利きの割合が人間よりはるかに大きいという違いもわかりました。なぜ左利きや両利きの割合が人間に少なくイヌに多いのかは不明ですが、人間社会における文化的圧力により、幼少期に利き手が矯正されることが1つの要因かもしれないとのこと。また、イヌの性別によって利き足の割合が違った点から、性ホルモンが利き手に影響を与える可能性も示唆されています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1h_ik

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