多様性・公平性・包括性(DEI)を「撤回」したグローバル企業と「擁護」している企業の一覧、日本からは2社がリスト入り

2025年1月にアメリカ大統領に就任したドナルド・トランプ氏は、前政権による「多様性、公平性、包括性(DEI)」の取り組みを撤回する政策を進めており、政権発足を待たずにMetaがファクトチェック体制をやめたのを皮切りに、AmazonやGoogleなど多くの企業がアメリカ政府の新しい方針に追従しています。政治や時事問題を扱うニュースメディアのAxiosが、DEIの取り組みを撤廃または後退させた企業と、堅持している主要な企業をまとめました。
Which companies are rolling back DEI and which are standing firm
https://www.axios.com/2025/01/16/dei-rollback-companies-amazon-meta-mcdonalds
Axiosによると、アメリカではかねてから企業にDEIの取り組み終わらせるよう迫る声が上がっており、第2次トランプ政権の発足を契機に勢いを増しているとのこと。
その影響で、企業はDEIの取り組みを声高にアピールしなくなり、言及する場合もトーンを落とすようになってきています。例えば、決算報告の説明会の際に企業のリーダーたちが「多様性、公平性、包括性」や「DEI」という言葉を使う頻度は、2021年第2四半期から2024年第3四半期までの間に約82%減少していることが、市場調査会社・AlphaSenseの調査により判明しました。

特に、世界165カ国に約32万5000人の会員を擁する専門家協会・人事管理協会(SHRM)が2024年7月に、DEIの中から公平性を除外して「SHRMは、直ちに『IE&D』ではなく『I&D』という略称を採用します」と発表した際には、企業人事の世界に衝撃が走ったとAxiosは指摘しました。
反DEI活動家でトランプ大統領の盟友としても知られているロビー・スターバック氏は、こうした動きは自分たちの功績だと主張していますが、実際にはもっと多くの要因が関係しています。
例えばMetaやマクドナルド、ジャックダニエルで有名な酒造メーカーのBrown–Forman(ブラウンフォーマン)、住宅用品メーカーのLowe's(ロウズ)などの企業は、DEIポリシーを変更する根拠として、大学の入試で人種を考慮するアファーマティブ・アクションを違憲とした2023年の最高裁判決を挙げています。
ただし、これはある種の建前であるとも指摘されており、国際法律事務所・Jenner&Blockのパートナーであるアン・オリアリー氏は、「確かに最高裁判所の判決は企業がDEIを見直すきっかけの1つになりました。しかし、純粋に法的な観点から見ると、DEIの実践を続けることに伴う法的リスクは低いと思われます。つまり、企業たちはソーシャルメディアの世論や、イーロン・マスク氏をはじめとする大統領の側近がDEIをめぐって特定の企業を攻撃している昨今の政治的な情勢など、自分たちをとりまく環境全体を見ているのです」と述べました。

Axiosは、DEIに関する取り組みを終了させたり、後退させたりした主要な団体と、逆に今後も取り組みを継続していくことを打ち出した団体を次のとおりリストアップしました。なお、リストは随時更新されており、以下は記事作成時点でのものです。
◆DEIプログラムを放棄または縮小させた企業・団体
・Accenture(アクセンチュア)
・Amazon
・Boeing(ボーイング)
・Booz Allen Hamilton(ブーズ・アレン・ハミルトン)
・Brown-Forman(ブラウンフォーマン)
・Caterpillar(キャタピラー)
・ディズニー
・Ford(フォード)
・Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)
・Google
・Harley-Davidson(ハーレー・ダビッドソン)
・John Deere(ジョンディア)
・Lowe's(ロウズ)
・Molson Coors(モルソン・クアーズ)
・マクドナルド
・Meta
・日産
・Public Broadcasting Service(アメリカ公共放送サービス)
・Stanley Black&Decker(スタンレー・ブラック&デッカー)
・Target(ターゲット)
・Tractor Supply(トラクター・サプライ)
・トヨタ
・Walmart(ウォルマート)
◆DEIの擁護を改めて表明した企業・団体
・American Airlines(アメリカン航空)
・Apple
・Cisco(シスコ)
・Costco(コストコ)
・Delta(デルタ航空)
・JPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)
・McKinsey&Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー)
・Microsoft
・Nasdaq(ナスダック)
・NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)
・Pinterest(ピンタレスト)
・Salesforce(セールスフォース)
・Southwest Airlines(サウスウエスト航空)
・United Airlines(ユナイテッド航空)
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in メモ, Posted by log1l_ks
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