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人間に代わってタスクを行う「AIエージェント」の台頭でクリスマスのプレゼント選びまでAI任せになる未来が到来するかもしれない


大事な人にクリスマスプレゼントを贈るのは楽しいイベントかもしれませんが、入念なリサーチや購入、発送の手配といった一連の作業を苦手に思っている人もいるはず。オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)傘下のデジタルテクノロジー研究開発機関であるData61でディレクターを務めるジョン・ホイットル氏が、「2025年には現実世界で行動できるAIエージェントが台頭し、クリスマスプレゼント選びから購入までを代理で行ってくれるようになるかもしれない」と主張しています。

AI can’t do your Christmas shopping just yet – but next year might be different
https://theconversation.com/ai-cant-do-your-christmas-shopping-just-yet-but-next-year-might-be-different-246132


OpenAIが2022年11月にChatGPTをリリースして以降、さまざまなAI搭載サービスが登場してきましたが、記事作成時点では「誰かへのクリスマスプレゼントを選んで、ショッピングサイトで購入し、受け取り主の自宅まで発送する」という作業が実行可能なAIサービスはありません。しかし、ホイットル氏は「来年のクリスマスまでには状況が変わるかもしれません。多くの専門家が2025年に起きると予想していることのひとつは、現実世界であなたに代わって行動することができるAIエージェントの台頭です」と述べています。

「誰かへのクリスマスプレゼントを選んで、ショッピングサイトで購入し、受け取り主の自宅まで発送する」という作業を行うAIエージェントは、複数のウェブサイト間でタスクを調整する能力を持っている必要があります。すでに限られたウェブサイト上で動作するAIエージェントは市場に登場しており、AI開発企業のLangchainが発表したレポートでは、回答者の51%が本番環境でAIエージェントを使用していると回答しました。


2024年にAIエージェント開発プロジェクトは推定18億ドル(約2800億円)もの資金を調達したといわれており、会計事務所のデロイトは生成AIを使用する企業の25%が2025年にAIエージェントプロジェクトを開始すると予想するなど、AIエージェントは多くの注目を集めています。

また、企業が消費者に提供するタイプではなく、消費者が自身でカスタマイズし、ブラウザベースのタスクを自動化するAIエージェントも登場し始めています。10月には生成AI開発企業のAnthropicがユーザーのマウスとキーボードを操作し、ウェブサイト上でアクションを実行できる「computer use」という機能をリリースしました。

さらにGoogleは12月、Chrome上の情報を理解して自動操作できるAI「Project Mariner」を発表しました。

GoogleがAIでChromeを自動操作できる「Project Mariner」を発表 - GIGAZINE


記事作成時点では、これらのツールを使用してクリスマスプレゼントの購入を自動化することはできません。しかし、将来的にはより便利なAIエージェントが登場し、もはやクリスマスプレゼントを人間が選ばなくなる可能性も考えられます。

ホイットル氏は、クリスマスのショッピングを実行するAIエージェントに必要な要素のうち、テクノロジー面での課題はそれほど大きくないと指摘。たとえば「イギリスの家族に写真を贈ります。私のスマートフォンから楽しそうな家族の写真をいくつか選択し、写真ギフトサービスを提供するウェブサイトを検索し、家族それぞれに適切なギフトを注文して、アドレス帳を使用してギフトを贈ってください」と指示するとします。


この場合、実行には「スマートフォンから適切な写真を見つけ出すエージェント」「ショッピングサイトを見つけるエージェント」「各個人に合ったギフトを見つけるエージェント」「クレジットカードを利用してギフトを購入するエージェント」「家族の住所を検索するエージェント」など、複数のAIエージェントが必要です。しかし、現代の技術ではこれらのタスクを実行できない技術的な理由はないとのこと。

ホイットル氏によると、マルチなAIエージェントの実現には2つの大きな障壁があるとのこと。その1つが「AIエージェントには信頼性が不足している」という点であり、クレジットカードを利用するようなタスクをAIに任せることには依然として懸念が残ります。AIには虚偽の応答である幻覚(ハルシネーション)も付き物であり、「プレゼントを贈るつもりじゃなかった人に贈ってしまう」「誤ってクレジットカードや銀行口座の情報が流出してしまう」といった問題が生じる危険性もあります。

2つ目の障壁は、「AIエージェントが有用であるためには、細かいコンテキストを理解する必要がある」という点です。たとえば、相手に喜んでもらえるようなプレゼントを選ぶには「その人は何が好きか」「前の年は何をもらったか」「最近何かが欲しいと言っていたか」といった知識が役に立ちますが、これらの情報は一般的に暗黙の了解であり、AIエージェントが調べてわかるようなものではありません。その点において、AIエージェントは人間に比べてプレゼント選びなどの精度が低い可能性があるとのこと。


いくつかの問題があるとはいえ、AIエージェントは着々と進化を遂げており、近いうちにクリスマスショッピングを代理で済ませてくれるAIエージェントが登場する可能性は十分にあると、ホイットル氏はまとめました。

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in ネットサービス,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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