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OpenAIが「イーロン・マスクはOpenAIを営利団体にしようとしていた」と主張するブログ記事を公開


Xのオーナーであり、OpenAIの共同創業者で元取締役でもあるイーロン・マスク氏は、OpenAIとその幹部・元幹部らを相手取り、独占禁止法違反で訴訟を提起しているほか、OpenAIの営利企業化の差し止め命令を申請しています。一方のOpenAI側は、かつてマスク氏が非営利団体のOpenAIを営利目的の団体に変革させようとしていたことを自社のブログ記事で主張しました。

Elon Musk wanted an OpenAI for-profit | OpenAI
https://openai.com/index/elon-musk-wanted-an-openai-for-profit/


OpenAI fires back against Musk, claims he wanted an OpenAI for-profit | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/12/13/openai-fires-back-against-musk-claims-he-wanted-an-openai-for-profit/

2015年に非営利の研究組織「OpenAI Inc.」として設立されたOpenAIは、その後、AIモデル開発に必要な多額のコストを賄うため、2019年に営利目的の子会社である「OpenAI Global LLC」を設立しています。営利法人「OpenAI Global LCC」は非営利法人「OpenAI Inc.」が所有しており、非営利の理事会が営利部門を完全に管理する形態を取っています。しかし、2024年9月に資金調達の都合などからOpenAIを営利目的の公益法人へと移行する予定であることが報じられました。

OpenAIが営利団体へ転身か、サム・アルトマンCEOが全株式の7%取得を交渉中との報道 - GIGAZINE


これを受けてマスク氏はOpenAIとそのCEOのサム・アルトマン氏、社長のグレッグ・ブロックマン氏、元取締役のリード・ホフマン氏、同じく元取締役でMicrosoft副社長のディー・テンプルトン氏、Microsoftなどを独占禁止法違反で訴えています。マスク氏側は「OpenAIが、Microsoftとのつながりによって不当に入手した競争上の機密情報や、取締役会での調整によって利益を得ることを禁止すべき」と主張し、OpenAIの営利企業化の差し止め命令を裁判所に求めていました。また、マスク氏は裁判の中で「OpenAIは『AI研究の成果をすべての人が利用できるようにする』という当初の目的を放棄した」と非難しています。

イーロン・マスクがOpenAIの営利企業化の差し止め命令を裁判所に申請 - GIGAZINE


今回の訴訟を受けて、OpenAIは「マスク氏による訴訟はこれで4度目です。マスク氏は今回も同じように無意味な申し立てを繰り返すばかりで、ずっと根拠がありません」とコメントしています。

さらにOpenAIは自社ブログ内で、マスク氏がかつてOpenAIの営利企業化を進めていたことを報告しています。OpenAIによると、2015年にOpenAIが非営利団体として誕生した当初からマスク氏は「OpenAIの構造は最適ではないようです。営利企業と並行して非営利団体を設立するべきです」と述べ、非営利団体としてのOpenAIのあり方に疑問を呈していたとのこと。


その後、2017年にOpenAIが進める汎用(はんよう)人工知能(AGI)の構築には数十億ドル(数千億円)もの資金が必要であることが分かると、OpenAIの幹部とマスク氏はこの計画を進めるためにはOpenAIの営利企業化が必要であることに同意しました。

そしてマスク氏はOpenAI幹部に対し、営利企業化の際に「OpenAIの株式のうち過半数を自身が保有すること」「自身がOpenAIのCEOに就任すること」を要求。さらに2017年9月にはデラウェア州に対し公益法人「Open Artificial Intelligence Technologies, Inc」の設立を申請し、同年9月17日に認可されています。


しかしOpenAIはマスク氏に対し「私たちは本当にあなたとと共に働きたいのです。私たちが力を合わせれば、ミッションの成功の可能性が最大限高まります」と述べた上で「OpenAIがAGIの開発に向けて進歩を続けるにあたって、マスク氏が会社の絶対的な支配権を持つことは『AGIを独裁者が持つべきでない』というOpenAIの方針と対立しており、これを懸念しています」と語り、マスク氏の要求を拒否しています。また、アルトマン氏は「私たちは非営利団体としてのOpenAIをこれからも継続していきます」と主張しました。

これを受けてマスク氏は「議論は終わりです」と述べ、OpenAIとの交渉は決裂。その後2018年2月にマスク氏はOpenAIの取締役を辞任しています。また、辞任直前にマスク氏は「OpenAIのAI開発はGoogleに遅れを取っており、この遅れを取り戻すためにはOpenAIがテスラと合併して豊富な資金を得るしか方法はありません」と伝えました。しかし、ブロックマン氏は「私たちの目標と使命は間違っていないはずです。最高のAGIの開発はOpenAI単独での成長から生まれるでしょう」と述べ、マスク氏の提案を却下しています。


これまでOpenAIに対して豊富な資金を提供してきたマスク氏が取締役を辞任したことにより、OpenAIは深刻な資金不足に陥りました。そこでOpenAIはAI開発のための資金調達を行う営利団体「OpenAI Global LLC」を新たに設立し、2019年にはMicrosoftから10億ドル(約1500億円)の投資を受け、今日の繁栄を迎えています。

対照的にマスク氏は2023年にAI企業「xAI」を設立し、2024年の裁判では「OpenAIが投資家に対して『xAIをはじめとするライバル企業の支援をしないように』と求めることも禁止」するよう求めました。

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in メモ, Posted by log1r_ut

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