サイエンス

50歳になる前に2型糖尿病と診断された人は認知症の危険性が2倍になる、診断が1年早くなるごとにリスクが2%上昇


以前、2型糖尿病はお年寄りの病気だといわれていましたが、近年は若年化が進んでおり、一説には「2型糖尿病患者の5人に1人は40歳未満」ともいわれています。認知症の重要な危険因子である2型糖尿病の診断時期に注目した研究により、若くして2型糖尿病になった人ほど晩年の認知症リスクが高いことが判明しました。

Age at diagnosis of diabetes, obesity, and the risk of dementia among adult patients with type 2 diabetes | PLOS ONE
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0310964

Diagnosed Young With Diabetes? Your Dementia Risk May Be Higher
https://scitechdaily.com/diagnosed-young-with-diabetes-your-dementia-risk-may-be-higher/


ニューヨーク大学ローリーマイヤーズ看護学部のベイ・ウー氏らは今回の研究で、ミシガン大学が2002~2016年に実施した「健康と退職に関する調査」と、その参加者を対象として行った「糖尿病郵便調査」のデータを分析しました。

調査開始時に2型糖尿病だった50歳以上の成人1213人のうち、最大14年の追跡期間中に認知症を発症した人は216人、割合にして17.8%でした。また、参加者を2型糖尿病と診断された年齢で分けると、50歳未満が262人、50~59歳が378人、60~69歳が419人、70歳以上が154人でした。


そして、研究チームが2型糖尿病と診断された年齢と認知症リスクを調べた結果、50歳未満で糖尿病と診断された人は、70歳以上で診断された人に比べて認知症を発症する可能性が1.9倍、つまり90%も高いことが判明しました。

診断時の年齢が50~59歳なら72%増、60~69歳なら70%増と、2型糖尿病になるのが若ければ若いほど認知症のリスクが高くなる傾向があり、平均すると診断が1年早くなるごとに認知症リスクは1.9%上昇していたとのことです。

この研究の主任著者であるウー氏は「早期に糖尿病と診断されることが認知症のリスクを高める理由はまだ明確ではありませんが、これまでの研究では、中年期に2型糖尿病と診断された人は血管合併症、血糖コントロール不良、インスリン抵抗性など、認知症の既知のリスク要因がみられる可能性が高いことが示されています」と述べました。


特筆すべき要素のひとつが肥満です。対象者のうち46.7%に当たる567人が肥満でしたが、50歳未満で2型糖尿病と診断された肥満の人は、50歳以上で診断された肥満ではない人に比べて、認知症リスクが3倍以上も高かったとのこと。

こうした研究結果から、ウー氏は「私たちの研究は、糖尿病の診断における年齢の重要性を強調しており、食事や運動、あるいは薬物療法などを通じて肥満を特にターゲットにすることが、糖尿病を患う若い成人の認知症を予防する上で役に立つ可能性があることを示唆しています」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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