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「家庭用蓄電池は火事を起こしやすいのか否か?」を調査した研究結果が報告される


電気代の節約や安定的な電力の確保を目的として家庭用蓄電池を導入する家庭が増えつつあります。しかし、家庭用蓄電池には大型のリチウムイオン電池が搭載されているため「火災のリスクがあるのでは?」と心配している人も多いはず。そんな「家庭用蓄電池の火災リスク」についての分析結果をドイツのアーヘン工科大学の研究チームが公開しました。

Quantitative Fire Risk Assessment of Battery Home Storage Systems in Comparison to General House Fires in Germany and Other Battery Related Fires by Florian Hölting, Aniket Kapse, Fabian Breer, Jan Figgener, Mark Junker, Dirk Uwe Sauer :: SSRN
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4995517

研究チームがまとめた「ドイツの各地域における家庭用蓄電池が原因の火災発生件数」(左)と「ドイツの各地域における家庭用蓄電池の総蓄電量」(右)を示すグラフが以下。総蓄電量が多い、つまり家庭用蓄電池が広く普及している地域ほど火災の発生件数が多くなることが分かります。


火災の発生した月の分布はこんな感じ。


時間の分布が以下。太陽が出ている時間帯に火災が多く発生しています。


そして、「一般的な住宅火災(House fire)」「内燃機関が原因の火災(ICE)」「電気自動車が原因の火災(EV)」「家庭用蓄電池が原因の火災(HSS)」「太陽光発電が原因の火災(PV)」「衣類乾燥機が原因の火災(Tumble dryer)」「エアコンが原因の火災(Cooling unit)」の発生リスクをまとめたグラフが以下。家庭用蓄電池による火災の発生リスクは0.0049%で、一般的な住宅火災の50分の1であることが判明しました。また、家庭用蓄電池による火災のリスクは内燃機関車両や電気自動車による火災のリスクよりも低いことも分かっています。


研究チームは分析結果をもとに「現代の家電製品は一般的に火災の発生リスクが低く、これは家庭用蓄電池にも当てはまる」と結論付けています。なお、論文は記事作成時点では未査読の状態です。

ちなみに、GIGAZINE編集部でも停電時の電力確保のためにテスラの家庭用蓄電池「Powerwall」を導入しています。Powerwallや太陽光パネルの設置過程は以下の記事にまとめてあるので、気になる人はチェックしてみてください。

あのテスラが販売する家庭用蓄電池「Powerwall」を設置してみたよレポート - GIGAZINE


また、Powerwallの設置にかかった費用も公開しています。

テスラ「Powerwall」の設置費用は何円かかったか?本物の見積書など13ページ分を修正なしで全公開 - GIGAZINE

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in ハードウェア, Posted by log1o_hf

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