日本は何位?64カ国を対象にした数学・理科の国際調査レポート「TIMSS 2023」
オランダに本部を置く国際教育到達度評価学会が、合計64カ国で同じ学年の子どもの学力を調査した「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS) 2023」を公開しました。どの国の子どもが高いスコアを出したのかが明らかになっています。
International Results - TIMSS 2023
https://timss2023.org/results/
TIMSS2023の結果(概要)
(PDFファイル)https://www.nier.go.jp/timss/2023/gaiyou.pdf
調査では4年生(日本では小学4年生)と8年生(日本では中学2年生)が対象となり、4年生では59カ国の1万2016校から35万9098人、8年生では44カ国の8786校から29万7262人のデータが集計されました。日本では141校から3875人の小学4年生と、133校から3905人の中学2年生のデータがランダムに抽出されました。
小学4年生の算数の成績を国別にスコア化したのが以下。左上から右下にかけて、成績が良かった国順に記載されています。1位はシンガポールで615点、2位が607点の台湾、3位が594点の韓国となっています。日本は591点で5位でした。この点数は、1995年調査時における平均点を「500点」として計算されたものです。
男女別に見ると、大多数の国で成績に差があり、男子の方が平均得点が高い国は40カ国、差がない国は17カ国、女子の方が平均得点が高い国は1カ国でした。
中学2年生では、トップ3のシンガポール、台湾、韓国の順位は変わらず、日本は4位に食い込みました。
男女別では、ほぼ半数の国で男子が有利でした。
⽂部科学省・国⽴教育政策研究所がTIMSS 2023の概要をまとめた資料によると、「日本の算数・数学の平均得点は、引き続き世界トップレベル。前回調査と⽐較して、⽇本は⼩・中学校とも平均得点に有意な変化はない。前回調査と同⼀問題の平均正答率は同程度」とのことです。
なお、調査では以下のような問題が出されたそうです。
TIMSS 2023の資料によると、英語圏では以下のような問題が出題されたとのこと。
スコアを75点刻みで分類し、小4算数では「625点:幅広い⽂脈において、概念や表現を関連付けることができる」「550点:簡単な場⾯において算数の知識を実演し、表現を関連付けることができる」「475点:算数についての基礎的な理解はある」などと評価した場合において、日本では高得点層に当たる子どもが国際中央値より多く、またそのような子どもは年々微増していることが示されています。
小4理科では、1位からシンガポール、韓国、台湾、トルコ、イングランドが並び、日本は6位でした。
性別では、男女差のない国が多いことが示されています。
中2では日本が3位に。文科省は「日本の理科の平均得点は、引き続き世界トップレベル。前回調査と⽐較して、⽇本は⼩学校・中学校とも、平均得点が有意に低下。前回調査と同⼀問題の平均正答率は同程度」と言及しています。
中2でも男女差はないか、片方の性別が有利になることがほぼ同等にあるという結果でした。
なお、日本においても算数・数学、理科ともに男性の平均得点がやや高いという結果が出ています。一方、文科省が主導する全国学力・学習状況調査において、2012年、2015年、2018年、2022年の結果のまとめでは、「算数・数学、理科ともに、⼥⼦の⽅が男⼦より平均正答率が⾼いが、男⼥の平均値には実質的な差はない」という結果が示されているそうです。
75点刻みの評価においては、前回調査より高得点層の減少が見られています。
なお、TIMSS 2023の理科では、新しく作成された問題が⼩学校で88題、中学校で109題(いずれも全体の50%)出題されたとのこと。文科省によると、これらの新しい問題には、⽇本の児童⽣徒になじみのない熱帯・乾燥帯の⽣態系についての問題や、日本の子どもの学習時期と⼀致していない問題も含まれているそうです。実際、今回の調査では新しい問題ほど正答率が国際平均を下回ることが多かったというデータが示されており、文科省は「理科の結果を分析する際には、このようなことにも留意する必要がある」と記しています。
経済状況と成績を関連付けたデータでは、社会経済的地位が高いほど成績が良いという結果が示されています。
学校の経済状況でも同じで、お金のある学校の子どもは、貧乏な学校の子どもより高い成績を示しました。
また、学業上の成功を非常に重視している学校の子どもは、重視度が「普通」あるいは「中程度」の学校より平均成績が高くなりました。
算数・数学、理科への興味・関⼼に関する調査では、2003年から2023年にかけて、「数学/理科を勉強すると⽇常⽣活に役⽴つ」と答えた日本人(中2)の割合が増えていることが示されています。
「算数・数学の勉強は楽しい」と答えた人の割合は、中2で上昇傾向にありますが、国際平均を下回っています。
理科では、「勉強は楽しい」と答えた小4の割合が、2007年以降一貫して国際平均を上回っています。
理科については、TIMSS 2023の資料で「授業で時々実験を行うことは、実験を頻繁に行うか、まったく行わない場合よりも、小4の平均的な理科の成績を向上させることに役立っている」との結果が示されています。
この点について、日本の子どもが実験を行う頻度は国際的にかなり高い水準にあることが示されています。
また、理数系科目への興味・関心は、男子の方が女子より高いとのことです。
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in Posted by log1p_kr
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