Appleはかつてコンデンサの向きを間違えた製品を製造していた
「ピザボックス」とも呼ばれるAppleのコンピューター「Macintosh LC III」で、Appleがコンデンサを逆向きに取り付けていたことがわかりました。ソフトウェア開発者のダグ・ブラウン氏が実際に分解して確かめました。
Downtown Doug Brown » The capacitor that Apple soldered incorrectly at the factory
https://www.downtowndougbrown.com/2024/11/the-capacitor-that-apple-soldered-incorrectly-at-the-factory/
Macintosh LC IIIは1993年初頭から1994年初頭まで生産されたモデルで、主に教育市場をターゲットにしていましたが、以前から「コンデンサが逆である」といううわさがインターネット上で流れていたそうです。また、同じうわさはPerforma 450/460/466/467といった消費者向け派生モデルにも現れていたといいます。
ブラウン氏はPerforma 450を入手し、分解して確かめました。以下がコンデンサーを取り外す前のボードで、C19、C21、C22のマイナス側がすべて上向きになっており、ボード上の+のサインと一致しているのがわかります。
取り外したのが以下。ここから、各コンデンサのマイナス端子はグランドプレーンに向かい、プラス端子はすべて電源コネクターのピンに向かっていることが判明します。電源が供給する3つの電源レールにはそれぞれ1つのバルクコンデンサがあり、C19は+5V用、C21は+12V用、C22は-5V用となっていますが、C22のプラス端子が電源コネクタの-5Vピンに直接つながっているのがわかります。
コンデンサのプラス端子が電源のプラス側に向かうのは何の問題もありませんが、マイナスに向かうのは問題で、システムに電源が入るとC22の両端に-5Vがかかることになります。本来は、マイナス端子が-5Vに接続されていなければなりません。
ブラウン氏が初代「Macintosh LC」と後継の「Macintosh LC II」を調べたところ、こちらは異常なしだったといいます。また、Macintosh LC IIIの後継機であるMacintosh LC 475でも正常に取り付けられていました。
ブラウン氏は「私は、AppleがLC IIIでミスを犯したと確信しています。工場出荷時の部品配置の問題だけでなく、PCBのシルクも間違っています。疑問点は『なぜ当時発覚しなかったのか』という点ですが、コンデンサが設計上逆電圧に耐えられるもので、逆向きに取り付けて負荷がかかり続けても大爆発することがなかったからと説明できます」と述べました。
また、ブラウン氏は「最近、趣味の世界では多くの人がタンタルコンデンサを代用品として使っているので、コンデンサの向きについて広く知られていないのは潜在的に危険だと思います。工場出荷時に取り付けられていたような通常のコンデンサでは問題なく動作するようですが、タンタルコンデンサはそれほど寛容ではありません。正しくない向きに取り付けた場合、シリアルポートに問題が発生し、最悪の場合はコンデンサが爆発するか発火することになります」と述べ、テクノロジー愛好家に注意を促しました。
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