SK hynixが世界初の321層NANDフラッシュメモリの量産を開始、既存の238層NANDからデータ転送速度は12%・読み取り性能は13%・電力効率は10%以上向上
韓国の半導体製造企業・SK hynixが2024年11月21日に、世界初となる321層1Tb(テラビット:125GB)TLC(Triple Level Cell)4D NANDフラッシュメモリの量産を開始したことを発表しました。
SK hynix Starts Mass Production of World's First 321-High NAND
https://news.skhynix.com/sk-hynix-starts-mass-production-of-world-first-321-high-nand/
SK Hynix Begins Mass Producing World's First TLC-Based 321-Layer 4D NAND Flash
https://wccftech.com/sk-hynix-begins-mass-producing-worlds-first-tlc-based-4d-nand-flash-321-layers/
SK hynixは2023年6月に238層のNANDの量産を開始していましたが、今回の321層NANDはこの製品と比較してデータ転送速度が12%、読み取り性能が13%、データ読み取り時の電力効率が10%以上向上しているとのこと。
世界初の238層4D NANDフラッシュメモリの量産をSK hynixが開始、前モデル比較でデータ転送速度は50%高速・エネルギー使用量は21%減・製造効率は34%向上
CuA/PuC - GIGAZINE
SK hynixは今回の発表について「積層技術における技術的ブレークスルーを見つけることで、300層以上のNANDを量産する世界初のサプライヤーとなりました」と述べています。
300層以上の積層は、SK hynixがメモリセルのスタックを3つにする「3プラグ」プロセス技術の採用に成功したことで実現したそうです。SK hynixはこの技術について「優れた生産効率で知られるこのプロセスは、3回のプラグ工程の終了後、最適化されたフォローアップ工程を経て、3つのプラグを電気的に接続します。このプロセスにおいて我々は半導体の反りを防止する低応力材料を開発し、プラグ間のアライメントを自動で補正する技術を導入しました」と説明しました。
以下はセルのレイヤー数と水平密度を増やし、ビット数を大幅に増加させる技術「Multi-Site Cell(MSC)」の説明です。これにより、SK hynixはNANDフラッシュメモリの大容量化・高速化・信頼性向上に成功したそうです。
MSC - YouTube
また、SK hynixによると従来の238層NANDと同じ開発プラットフォームを採用し、プロセス切り替えによる影響を最小限に抑えた結果、生産性を従来比で59%向上させることに成功したとのこと。
このNANDについてSK hynixは「低消費電力と高性能が求められる初期のAIアプリケーションに対し、今回の321層NANDを提供することで、製品用途を着実に拡大させていきます」と語っています。また、SK hynixのNAND開発責任者であるJungdal Choi氏は「SK hynixは、HBMが主導するDRAM事業に加えて、超高性能NAND分野の完璧なポートフォリオを追加することで、フルスタックAIメモリプロバイダーへと前進する軌道に乗っています」と述べ、AIデータセンターとオンデバイスAI向けのSSDに代表されるAIストレージ市場のけん引に一歩近づいたことをアピールしました。
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