鳥インフルエンザが人に感染しやすくなるように変異した可能性、卵の価格上昇が家計を直撃する事態も

鳥インフルエンザの検査で陽性反応を示した10代の若者が、呼吸困難による危篤状態でカナダの病院に運び込まれました。この患者は、変異により人から人への感染力が強くなったウイルスに感染している可能性があることが、新しく判明しました。

Bird flu in Canada may have mutated to become more transmissible to humans | Bird flu | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2024/nov/19/bird-flu-cases-mutation-canada

Retailers report egg shortage as higher prices continue amid bird flu - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/business/2024/11/20/egg-shortage-prices-bird-flu-holidays/

2024年11月8日、H5N1型鳥インフルエンザに感染したヒトとしてはカナダ初の症例と見られる患者が、ブリティッシュコロンビア州の小児病院に入院しました。患者の症状が出始めたのは11月2日で、患者は記事作成時点でも重度の呼吸不全による急性呼吸窮迫症候群で危篤状態とのこと。

患者が感染していた鳥インフルエンザウイルスのH5N1変異株の予備的なゲノム解析により、ウイルスに対する感受性を高めることが知られているゲノム部位に潜在的な変異が見られることがわかりました。

これは、H5N1型の鳥インフルエンザウイルスが鳥類のウイルスよりヒトウイルスに近くなる能力を持っていることを示している可能性がありますが、この変異が実際に人間にどのような影響をもたらすかや、危険性の変化についてはまだ明らかではありません。

カナダ・サスカチュワン大学のウイルス学者であるアンジェラ・ラスムセン氏は、「どのような影響が出るかははっきりしていませんが、警告のサインであることは確かです。私たちには、この変異について真剣に注意する必要がありますし、可能な限り人間への感染を減らすよう努力しなくてはなりません」と話しました。

これまでのところ、カナダの患者の家族や友人、治療にあたった医療関係者などの接触者の中に新しい感染者は見つかっていません。

カナダの患者は、鳥類との接触はしていませんでしたが、身の回りにはペットの犬、猫、は虫類がいました。専門家は、これらの動物のいずれかが鳥インフルエンザで死んだ鳥や動物と接触してウイルスに感染し、それを患者にうつしたのではないかと考えています。

ヒトに感染しやすくなった鳥インフルエンザの変異が公衆衛生上の危機に発展するかはまだ未知数ですが、北米では既に家きん類における鳥インフルエンザの感染拡大が深刻化しており、特に卵の価格の上昇として人々の身近な問題となっています。

疾病管理予防センター(CDC)によると、2022年2月にアメリカで初めて高病原性鳥インフルエンザが鳥類に感染して以来、48の州で1億800万羽以上の家きん類が鳥インフルエンザにかかっているとのこと。

鶏が死んで減少したことで卵の価格も上昇しており、2024年10月の12個パックの平均価格は前年同月から30.4％高い3.37ドル(約520円)になったことが報告されています。

アメリカ農業局連盟のエコノミストであるバーント・ネルソン氏は「鳥インフルエンザは、卵の価格に関与する最大の要因です。鳥インフルエンザが寄せては返す流行の波を繰り返す中、卵の価格も波のように上下しています」と話しました。