8000時間以上プレイしたゲームに否定的なレビューを書いたのはどんな人物なのか?
Steamで900件以上のレビューが書かれ「非常に好評」と評価されている「Battlezone 98 Redux」には、8000時間以上もプレイしたにもかかわらず「おすすめしない」というレビューを投稿したユーザーがいます。なぜこの人物はそんなレビューを投稿するに至ったのか、ゲーム系ニュースサイト・PC Gamerのジョシュア・ウォレンス氏が本人に直接話を聞いた記事を公開しています。
I tracked down the guy who gave a negative review to Battlezone 98 Redux after playing for over 8,000 hours, and came away convinced he was right | PC Gamer
https://www.pcgamer.com/games/strategy/i-tracked-down-the-guy-who-gave-a-negative-review-to-battlezone-98-redux-after-playing-for-over-8-000-hours-and-came-away-convinced-he-was-right/
FPSとRTSを融合させたPC向けゲームとして1998年3月にアクティビジョンが発売した「Battlezone」のリメイク作が、問題となっている「Battlezone 98 Redux」です。
Steam:Battlezone 98 Redux
https://store.steampowered.com/app/301650/Battlezone_98_Redux/
記事作成時点でSteamでゲームを購入した人のレビューは925件投稿されており、トータルでは「非常に好評」という評価を得ています。しかし、レビュー投稿時点でプレイ時間が8461時間という、他を圧倒する数字を誇る「ハープ・マクダーパーソン」というレビュアーは「おすすめしません」と否定的評価を下しています。このレビュアーはニュースサイト・PC Gamerのジョシュア・ウォレンス氏により、スコット・スミス氏という人物であることがわかっています。
Steam コミュニティ :: Herp McDerperson :: Battlezone 98 Redux をレビューする
https://steamcommunity.com/id/herpmcderperson/recommended/301650/
アクティビジョンによる「Battlezone」の最後のパッチは1998年11月にリリースされたバージョン1.4で、2002年にはマルチプレイヤー向けサポートも終了してサーバーは閉鎖されました。しかし、マルチプレイヤー用ライブラリ「Anet」のソースコードがコミュニティで公開されたことで、有志は非公式ながらさらなるパッチを当てて遊び続けることができ、最終バージョンは「1.5.2.27 U1」に及んだとのこと。もちろん、スミス氏もこの非公式版を最後の最後まで遊んでいたユーザーの1人です。
もしBattlezone 98 Reduxが良質なリメイクであれば、スミス氏も文句は言わなかったかもしれませんが、実態は「非公式版にほぼすべての点で劣っている」と、スミス氏は述べています。
まず、Battlelezone 98 Reduxはグラフィックがアップグレードされているのですが、オリジナル版でスミス氏が最も魅力的な点だと感じていた「破壊された船が破片になって飛び散る」という表現がなくなっているため、スミス氏は「アップグレードとは言い難い」と厳しく切り捨てています。
また、非公式版には存在しなかった「ジャンプ狙撃が悪用可能」「衛星がレーダーの範囲を無視してすべてを発見可能」などのバグが多数発生。中には「セーブデータを読み込もうとすると30%くらいの確率でゲームがクラッシュする」という、かなりきついバグまであるとのこと。このため、スミス氏ら有志はLuaを用いてパッチを作成・公開しています。
そもそも、Battlezone 98 Reduxの発売時、スミス氏は「まったく欲しいとは思わなかった」とのこと。しかし、今後も非公式版が継続できるのか不安になりパニックになったスミス氏は、パブリッシャーのRebellionにメールを送ったそうです。
Rebellionから返事は来なかったものの、Battlezone 98 Redux発売によってユーザーが取り込まれた結果、非公式版のマルチプレイヤー環境は完全に破壊されました。こうして、スミス氏もBattlezone 98 Reduxへ移行せざるを得なくなったとのこと。
ところが前述のようにバグが多く、特に、マルチプレイヤーモードでは、インターネット環境とは無関係に回線が切断される事例が多く発生していました。また、マルチプレイヤーモードの開始と終了のお知らせが流れる公式Discordチャンネルに、一切何の発言もしない謎のユーザーが発生していることもわかりました。
スミス氏は1年間にわたって情報収集を続け、うまくいっていないマルチプレイヤーモードでユーザーに「誤ったアクティビティ体験」を提供するためのボットが動いていると結論づけています。公式がボットの運用を認めたものではありませんが、話を聞いたウォレンス氏は「信頼とコミュニケーションの欠如により、かつては情熱的で活動的な少数の人々の集まりだったものが、外部から乗っ取られ操られているような感覚がある」と記しています。
ちなみに、Steamのレビューには投稿時点のプレイ時間と現時点のプレイ時間の両方が表示されるため、スミス氏のプレイ時間総合計が9000時間を超えていることがわかっています。なぜ否定的なレビューを書いた以降も600時間にわたりプレイを続けているのかとウォレンス氏に尋ねられ、スミス氏は「誰かが抱える問題を解決するためだけにゲームを起動したのです」と答えています。
◆フォーラム開設中
本記事に関連するフォーラムをGIGAZINE公式Discordサーバーに設置しました。誰でも自由に書き込めるので、どしどしコメントしてください!Discordアカウントを持っていない場合は、アカウント作成手順解説記事を参考にアカウントを作成してみてください!
• Discord | "長時間プレイしてるゲームに否定的なレビューを書いたことある?" | GIGAZINE(ギガジン)
https://discord.com/channels/1037961069903216680/1304365108503248936
・関連記事
「Counter-Strike」に10年以上存在し続けるバグの原因がついに判明 - GIGAZINE
スーパーマリオ64の「開かずの扉」が28年越しに開けられる - GIGAZINE
NES版テトリスのレベル上限到達時のクラッシュを活用して任意のコードを実行し理論的にテトリスを無限プレイ可能にした猛者が登場 - GIGAZINE
予期せぬバグの原因は「満月」だった - GIGAZINE
・関連コンテンツ