重たい毛布には安眠効果がある
ふわふわの毛布は空気を多く含んで断熱効果が高く、体温が外気に吸収されにくくなるため、冬の寒さが厳しくなると毛布が安眠に欠かせません。また、毛布のずっしりとした重さに安心感を覚えるという人も多いはず。オーストラリアにあるフリンダース大学の研究チームが、重たい毛布は不眠症や不安症などの精神疾患を改善するのに役立つ可能性があるという研究結果を発表しました。
Weighted Blankets as a Sleep Intervention: A Scoping Review | The American Journal of Occupational Therapy | American Occupational Therapy Association
https://research.aota.org/ajot/article-abstract/78/5/7805205160/25951/Weighted-Blankets-as-a-Sleep-Intervention-A
Improving sleep with weighted blankets – News
https://news.flinders.edu.au/blog/2024/10/18/improving-sleep-with-weighted-blankets/
Weighted Blankets Really Can Do Wonders For a Good Night's Sleep : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/weighted-blankets-really-can-do-wonders-for-a-good-nights-sleep
フリンダース大学のケアリング・フューチャーズ研究所に所属する作業療法士のスザンヌ・ドーソン博士のチームが、既存の研究18件の結果を分析しました。対象となった研究の実験規模は被験者が最大4092名でした。
研究の主要な発見として、成人における重たい毛布の使用は、睡眠の質を向上させ、寝つきを改善することが確認されました。研究者たちは、重たい毛布が体に与える暖かい抱擁のような感覚が、人間の触れ合いがもたらす効果と同様の利点をもたらすと説明しています。
一方、子供たちに関する研究結果はより複雑でした。ADHDや自閉症スペクトラム障害を持つ子供たちの場合、睡眠改善効果は一貫していませんでしたが、多くの親からは前向きな報告があり、子供たちが日中の活動でより集中力を発揮し、不安が軽減されたという観察結果が得られています。
研究チームは、十分な睡眠を取れないことが心臓病や脳卒中、精神的健康問題などの慢性疾患のリスクを高める、あるいは悪化させる可能性があることを指摘しています。そのため、重たい毛布は特に不眠症や不安障害、うつ病などの精神的健康問題を抱える成人にとって、有効な支援ツールとなる可能性があります。
ドーソン博士はまた、認知症患者の睡眠介入としての重たい毛布の実現可能性と効果を評価する関連プロジェクトも進めており、最終段階にあることを明らかにしています。この研究の影響は既に実践的な変化をもたらしており、南オーストラリアの公的精神医療サービス全体で重たい毛布使用に関するプロトコルの変更につながりました。
ただし、重たい毛布の最適な使用方法については標準化された推奨事項が確立されておらず、毛布の種類や重さ、使用頻度、使用時間などについてどのような違いが生まれるかはわかっていません。特に認知機能に困難がある人々が使用する場合は、使用者が自分で簡単に毛布を取り扱えることが重要な要件として挙げられます。
研究チームは、今回の研究が重たい毛布が睡眠改善の有効なツールとなり得ることを示す重要な科学的根拠を提供していることを認めた上で、さらなる厳密な研究が必要であることを強調しています。
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