アニメーター・井上俊之&今村亮によるアニメ映画『彼女の想いで』トークセッション、作画監督の仕事や「影付け」を井上俊之が語る
ANIME FANTASISTA JAPAN 2024の初日となった2024年8月11日(日)、アニメーターの井上俊之さんと今村亮さんによるトークセッション「『彼女の想いで』から考える」が開催されました。
アニメ・ファンタジスタ・ジャパン2024
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トークセッションは1時間にわたって行われ、非常に濃厚なトークが繰り広げられました。以下にその内容をかなりざっくりとまとめました。発言者ごとに分けていますが、一言一句このように発言したというわけではありません。
左からモデレーターの高瀬康司さん、今村亮さん、井上俊之さん。
モデレーター・高瀬康司さん(以下、高瀬):
お話の出発点になるのは、武蔵野市にあるSTUDIO4℃さんの初劇場作品『MEMORIES』の中の一編である『彼女の想いで』です。この作品は、井上さんが珍しくキャラクターデザインと作画監督を担当しています。
井上俊之さん(以下、井上):
確かに、40年以上アニメーターをやっていますが、作画監督をやったのはいくつあるだろう……実質的に僕と梶島正樹くんでやった『Gu-Guガンモ』とこの『MEMORIES』、あとは教育映画系で『空気がなくなる日』とかです。『パルムの樹』では作画監督をやりましたが、キャラクターデザインはやっていないですね。作画監督の手伝いはたびたびやるのですが、両方となると『MEMORIES』ぐらいか。
高瀬:
そのように、井上さんにとっても思い入れのある作品なのではないかと。
井上:
結果的に思い入れのある作品になりました。キャラクターデザインを引き受けたのも渋々で、結果的にはがっつりと作画監督もすることになった作品です。『彼女の想いで』は最初に作って、それから『大砲の町』を作って、もうちょっと時間があり、公開は『攻殻機動隊/GHOST IN THE SHELL』と同時期ぐらいになったのではないかと思います。『攻殻』もやりましたが、『MEMORIES』はオリンピックのころにキャラクターデザインをやった記憶があります。あと、毛利衛さんが宇宙に行ったときに作業をしていたのを覚えています(編注:毛利さんのスペースシャトル搭乗ミッションは1992年9月12日~20日実施)。無重力を描かなければならないとき、毛利さんが宇宙ステーションにいる姿を見て覚悟が決まった覚えがあります。無重力はSFアニメでも避けてきた部分で、毛利さんの姿を見るまでは無重力シーンをどうごまかすか考えていましたが、あれを見て逃げられないなと思い、マジメに描こうとしました。
高瀬:
当時の社会現象が反映されているのは面白いですね。
井上:
見たら描きたくなったというのが正しいかもしれません。
高瀬:
一方、今村さんは1986年生まれとのこと。『彼女の想いで』はどういうきっかけでご覧になりましたか?
今村亮さん(以下、今村):
自分がアニメ業界に入ったころ、作画MADというのがすごく流行っていました。それでいろんな人に興味を持ち、そこで見た作品もいいけれどさらに深掘りしたいなと、『彼女の想いで』や『工事中止命令』などを……。
井上:
それは映画館で見たわけではなくてビデオソフトとかですか?
今村:
はい、そうです。
高瀬:
『彼女の想いで』を好きな作品の1つに挙げておられますが、どういったところに魅力を感じましたか?
今村:
井上さんが作画監督をされた希少価値のある絵が40分近く堪能できる、他にない作品なので、それだけで価値があるなと。
高瀬:
井上さんの色が強く出ているということですね。
井上:
当時、アニメーション制作の終盤になると作画監督の修正が間に合わないとか、作画監督が修正しようにも直しきれないものがあると、作画監督の補佐が直すことがありました。クレジットには出ませんが、そういうのは普通でした。僕もいろいろとお手伝いをしたことがありますが、当時、作画監督補佐のところに回ってくるのは、絵的にも内容的にもとても問題のあるカットでした。『MEMORIES』までの経験はそういうものだったので、「作画監督というのは原画を描き直すものだ」と思っていて、自分の前に原画の上がりを積まれると、納得いかないものはどんな形であれ描き直してしまうことが多かったんです。そうなると、自分が作画監督をやった場合は自分で描き直すことになるのが目に見えていて、とても「できる」とは言えないので作画監督は断り続けていました。
井上:
『MEMORIES』で引き受けることになったのは、「修正しないでいいような腕利きを集める」と口説かれたからで、1原画マンとして腕を振るえばいいということだったんです。実際にはその予定メンバー全員は集まらなくて。僕の色が濃く出ているというのは、結果的に普通の原画上がりへの修正というレベルを超えて、6~7割は全修正みたいになってしまったからではないかと思います。有望な若手も含めて集まってくれたのにけっこう容赦なく直したので当時は「この野郎」と思われたかもしれません。でも、立場が違ったら僕の原画も描き直されただろうから、そこは時効ということで。
高瀬:
そんな中で、今村さんが具体的に惹かれた部分というのは……。
井上:
今村くんは当時の作り方を知らないので、いまの作画監督のやり方で推測するのではないかと思うんです。僕は若手アニメーターの森匡三くんから「『MEMORIES』のこのシーンは誰が描いたのですか?」と聞かれて、答えに困ったことがありました。原画マンはもちろんいるのですが、僕が全修正した部分だったので……有望な若手である森くんにはその経緯とともに、結果的には僕の原画のようになっていると伝えました。今のやり方であれば、プロが見れば「ここは作画監督の修正だな、でもこのあたりに原画マンの感じが残っているな」というのがわかると思うのですが、『MEMORIES』は原画マンが透けて見えない部分があると思います。
今村:
沖浦さんのところはわかりましたね。
井上:
沖浦啓之のところは僕は顔しか直していなくて、プロポーションも演技のさせ方、タイミングと完全にスルーしました。透けて見えるであろうのは新井浩一さん、沖浦くんなどかな。
高瀬:
でも、沖浦さんは「自分のところが浮いて見えるから、直してほしかった」とおっしゃっていましたよ?
井上:
言ってました?それに近いことを言われたことはあるけれど、本心かなあ……?
(会場笑)
高瀬:
改めて、今村さんが作画面で惹かれた部分は?
今村:
井上さんの品のいい絵がずっと見られるということです。超絶な画力の上の立体感、的確な影付け。当時流行していた、「模様の影付け」ではない、的確な稜線への影付け。なかむらたかしさんとかの流れがあるのかなと思ったのですが。
井上:
『MEMORIES』にはなかむらさんの感じは出てないんじゃないかと僕自身は思いますけど、当時は過渡期でした。80年代的なアニメーションの影付けというのは、マッドハウス全盛期の『カムイの剣』『幻魔大戦』『時空の旅人』『迷宮物語』などで見られる、衣服の立体には沿わないような濃厚な影付けで、絵をゴージャスに見せて密度を上げるノリというのがあったんです。でも僕はもっとうまいやり方があるんじゃないかと思って。そこに『御先祖様万々歳!』が来て、うつのみや理くんがいち早く、理想的でありつつ立体的で、かつ動かすのに過不足ない絵を実現していました。
高瀬:
『御先祖様万々歳!』は1989年から1990年にかけてのリリースなので、『MEMORIES』の直前だったんですね。
井上:
『MEMORIES』の直前に出会った『御先祖様万々歳!』をセルルックの理想型だと確信して、言葉にはしなかったと思いますが、その体験が『MEMORIES』を作らせたといえます。
今村:
井上さんは直前に『走れメロス』に参加されていたと思いますが、沖浦さんのデザインはどう思われていたんですか?
井上:
『メロス』の影響もかなりダイレクトに受けています。『MEMORIES』のキャラ表が今回展示されているのでぜひ見ていただければと思いますが、影響は強く出ていると思います。『御先祖様』を見て『メロス』を研究したのが『MEMORIES』に生かされているかなと。でも、『メロス』は『御先祖様』の影響は受けていないように思いました。『御先祖様』は以前以後と言えるぐらいオリジナリティあふれる作品ですけれど、まだ影響を消化しきれていなかったのかもしれない。
高瀬:
今村さんの「品がいい」の話の途中ですみません。
井上:
そうだ(笑) なんとなくわかる気がします。僕が憧れる作画って品がいい方向ではなくて……言葉は悪いけれど、下品なぐらいのほうがセルになった時にインパクトがあって。大平晋也くんなんかは個性的な作画をしていて、僕自身は、自分の個性には満足できなくて、自分の殻が破れないなと、そういうものに憧れてきたところがあります。『MEMORIES』はいい意味で結実した作品だとは思うけれど、自分自身は「品がいい」と言われる部分には不満があります。生まれ変わったように、自分がすごいと思うような作画をしたいと思い続けて、殻を破れないまま40年が過ぎ、もうすぐ寿命が尽きそうで、死ぬまでに殻は破れるのだろうかと。
(会場笑)
井上:
半ぼけぐらいになれば、暴れん坊な作画ができるのかもしれないという夢は持っていますけれど。
高瀬:
今村さんはそういった品の良さを目指すべきものとして考えておられるのではないですか?
井上:
でも好きな作画と描きたい作画はちょっと違ったりしますよね。一致する人もいますけど、僕は若干ズレがあって、本当に好みが多くて「これいいな!」と思ったりする。今村くんもあるんじゃないかなと思うんですが。
今村:
あります。僕の井上さん評は、絶対に負けず嫌いだなと思っていて。
井上:
はい、はっきりと負けず嫌いです(笑)。でも、負けを認められる人間だとも思っています。白旗を揚げつつも、一矢報いる方法はないかなと考えています。
今村:
その戦いの歴史が、井上さんをパーフェクトアニメーターたるものにしているのではないかと、僕は勝手に思っています。
井上:
負けず嫌いですが、負けは自覚できるので、分析する性格なんです。でも、今村くんも似た資質を持っていると思う。僕が今村くんをちゃんと認識したのは、『海獣の子供』という作品のお疲れ様本のイラスト寄稿で、本人を前に言うのも何なんだけれど、衝撃を受けました。こんな上手い人がいたのかと。
今村:
おっ。
井上:
僕は何人も上手い人を見てきたけれど、衝撃を受けるほどというのはそれほどなくて。……ネットでは国境を越えて衝撃を与えてくる人が多くいて、最近は日々、ネットを見ては負け宣言をしては元気がなくなってますが。
(会場笑)
井上:
でも、日本人アニメーターで衝撃を受けることはそれほどなくて、そこは負けず嫌いなところかなと思いますが、今村くんのイラストを見たときには「敵わないかも」と思いました。アニメーターは、デッサンが上手い人は多いけれど、絵心のある絵が描けないという人も多いと思うんです。僕も、アニメの原画は描けるけれど、上手な絵が描けないんです。画力がないというか、画才がないというか……。
今村:
1枚絵が描けるかどうか、みたいなことですね。
井上:
僕は絵を描く力は乏しくて、アニメをやっていなければ絵なんて描いていないような人間です。そんな僕が見ていると、多くのアニメーターも同じだなと思うんです。その中で、今村くんには画才があると感じました。よく研究して描いているなというのは見ると一発でわかりますから、女性の体の構造を捉えて描こうとしているなと。『お兄ちゃんはおしまい!』なんて描き手の欲望が正直に現れていて……放送して大丈夫ですか?
(会場笑)
井上:
うまくて素晴らしいと、私は称賛します。Xに上げていた、短く言うと問題がありそうなタイトルの作品も、タイミングが心地よくて。
今村:
正式名称『生徒会にも穴はある!』ですね(笑)
井上:
4コマ撮りで、意図的に中割りを入れずに描いている感じが非常に好ましいです。僕も4コマ撮りは好きなんです。海外では少ない方が好まれて、巨匠のリチャード・ウィリアムズさんなんかは1コマ撮り至上主義で、彼の前では「これは3コマ撮りで作りました」なんて言えないです。近年は日本風の制作も増えましたが、10年ぐらい前までは、海外では「3コマ撮りだとカクカクして見える」と言われました。あのカクカクがいいのにね。
今村:
見ている人に、間を補完させますよね。4コマ撮りで飛んでいる間、見ている人は単純な中割りではなく、別の原画を想像して補完しているように思うんです。
高瀬:
リチャード・ウィリアムズさんの場合は補完しないということですね。
井上:
自分で描いちゃう人だから。でも1コマ撮りはなめらかにつなぐだけだから、行間がなくて、つまらない説明が詰まった文章のように思えます。読んだ人が行間を想像した方が面白かったのに、と。中割りを入れたことで何かが失われて、つまらないものになることはよくあります。高畑勲さんも、「原画ではあんなに生き生きしていたのに、動画を入れると失われる」と言っていたことがあります。豊かな想像をしていたのに、単純な中割りで説明したことで、原画の持っていた輝きが失われたと。話を戻すと、『生徒会にも穴はある!』のPVは4コマ撮りで、いい絵が4コマ分残るので目に残りやすいというのもありますね。今村くんの上手な絵が2コマ撮りよりも印象に残り、しかも間の動きが補完されるので「こいつ、わかっているな」と思いながら見ていました。新しい方も、美麗な絵の連続で、素晴らしかったです。
今村:
ありがとうございます。
高瀬:
井上さんの今村さんへの高評価は、絵の力が大きいですか?
井上:
もうウェブ系とあまり言わないのかな、デジタルで作画を始めた人たちがいますよね。特に動きを最重要視して、ドローイングの1枚1枚についてのクオリティはそこまで重要視しないという。動きの途中の絵はほとんど認識されないので、そこに力を込めても、というタイプです。
高瀬:
ネットでヘッドハンティングされて原画を描き始めたような人たちが共通して持っていたスタイルが、結果的にウェブ系と呼ばれたのかなと。ゼロ年代後半から10年代前半ぐらいまで、ありましたね。
井上:
僕は育った時代が違うので、ウェブ系のマネはできませんが、意識には共通のところがあります。そして彼ら以降に活躍する世代は、ウェブ系のような思想を持ちつつ、動きも大事にしています。
今村:
ウェブ系に憧れて入ってきつつ、ドローイングも大事にするというバヒ・JDくんとかですね。そのバヒ・JDくんを見て育った人たちも出てきています。
井上:
ウェブ系を凌駕する人たちが出てきたので、ネットを見ては「俺たちの時代は終わった」と思っています。作画遊蕩で森匡三くんと対談しましたが、僕の絵を「お袋の味」と言っていました。お袋の味は、料亭に比べると味も質も落ちるけど、どちらが好きか聞かれると「母の肉じゃが」みたいな。それで育ったということが大事で、今村くんにとって『MEMORIES』はお袋の味的なところなのかなと。冷静に考えたら、いまの上質なアニメの方がいいのではないかと思うけれど(笑)
今村:
僕にとってはいまだに高級割烹の味です
井上:
『MEMORIES』は僕のアニメーターとしての青春時代で、80年代の経験がいい形で結実したことが、そういう評価につながっているのかもしれない。具体的に理想のアニメ、今後目指すべき姿はどういうものかというのを、言葉にして残しておきたいを思うようになってきていて(笑)、最近のアニメーションはすさまじいクオリティのものが出てきていて、すごいことなんだけれど商業アニメとしてはどうなんだろうとも思っています。作る限界を超えているんじゃないかと。アニメに熱量はあった方がいいけれど、情報と熱量がさすがに過剰すぎる気がしていて。商業アニメとしては、ルックや描き方にちょうどいいものがあるんじゃないかと。最近見た作品では『化け猫あんずちゃん』が対局で、描き込まない方向で作られていて、好ましく思いました。
今村:
確かに、もっとアニメーションにむらがあっていいのになと思います。ここだというところではイラストのように描き込まれた絵でもいいけれど、カットごとにもっと差はあってもいいんじゃないかと。
井上:
ロングの絵の時はもっと情報を省いてもいいのに、寄りの時と同じ情報を持ったものが描かれていて……激しく動き回るところはウェブ系的発想で、色が違うところさえ識別できればいいんじゃないかなと思います。
今村:
もっとやっていっていいですよね。僕が最近見た中だと『ルックバック』とか。
井上:
このあと押山監督が来ますけれど、『ルックバック』は対抗意識はあったと思います。今はいくらでも足し算で光や効果を足せますが、『ルックバック』は何も足していないぐらいにシンプルで、背景にキャラクターが乗っているだけ。グラデーションもデジタルで簡単にぼかせるけれど、潔いぐらいに塗り分けていて、僕が「もうちょっとぼかしてもいいんじゃない?」と思うぐらい。
今村:
あの潔さがいいですね。
井上:
ネットでも動画が好評で、絵に足し算的効果がなくても誰も指摘しなくて。『あんずちゃん』と『ルックバック』、それに『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』は背景をぼかすことすらないぐらいに潔い。本当に素晴らしいんです。絵に自信があるなら、それこそ今村くんぐらいの力があるなら、むきだしの背景だけでも勝負できるんじゃないかと思います。だからぜひ、俺が死んだあとはその方向に業界を牽引していってほしい(笑)
(会場笑)
1時間にわたるトークを繰り広げたのち、井上さんと今村さんは著書へのサイン会を行いました。
なお、今村さんは「2周目なら絵を入れてくれる」ということで行列が長く伸び、場所を移してサイン会を続けていました。
現地ではもっと詳しい話が聞けるので、ぜひ「ANIME FANTASISTA JAPAN」に足を運んでみてください。
ちなみに、まとめの至らない部分について井上さんより指摘をいただいています。
ややニュアンスの違うところありつつも全体コンパクトにまとめて頂いてます
— 井上俊之 (@181ino) August 12, 2024
ただ後半のweb系以降への言及は若干訂正を
「web以降台頭して来た方達は思想面はweb圭を継承しつつもドローイングも大事にする傾向がある」と言ったはずです。 https://t.co/3oRmnI2v2S
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