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イーロン・マスクがOpenAIとサム・アルトマンを再び訴える


2024年2月末に一度OpenAIを訴えていたイーロン・マスク氏が、2024年8月に入って再びOpenAIとサム・アルトマンCEOを訴えました。

Elon Musk sues OpenAI, Sam Altman for making a “fool” out of him | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/08/openai-wouldnt-exist-without-me-elon-musk-says-reviving-lawsuit/

2024年2月末、イーロン・マスク氏は自身が主要投資家のひとりとして立ち上げに携わったOpenAIを訴えました。マスク氏は訴状の中で、非営利組織として立ち上げられたはずのOpenAIが「実際にはOpenAIは世界最大のテクノロジー企業であるMicrosoftの事実上のクローズドソースな子会社に変わってしまった」と主張しています。


マスク氏はOpenAI立ち上げ時に、「OpenAIを非営利組織として、その技術をオープンソースのまま維持する」という設立契約を結んだと主張。しかし、OpenAIはマスク氏とたもとを分かった後にMicrosoftと提携し、開発したあらゆる技術をオープンソースで公開することはなくなりました。そのため、マスク氏はOpenAIが設立契約に違反していると主張しているわけです。マスク氏は裁判所に対し、OpenAIをオープンソースのソフトウェアを開発する非営利団体に強制的に戻し、サム・アルトマン氏とグレッグ・ブロックマン氏が財務上の利益のためにOpenAIやその資産を利用すること、あるいはMicrosoftやその他の団体の利益のためにOpenAIを利用することを禁止する命令を出すよう求めていました。

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これに対して、OpenAIはマスク氏が主張するような設立契約は存在しないと反論。なお、一部のメディアも「マスク氏の主張を裏付けるような法的根拠はない」と報じていました。加えて、OpenAIは「OpenAIとテスラの合併」あるいは「OpenAIの過半数の株式の取得、取締役会の支配権の獲得、CEOへの就任」のいずれかをマスク氏が望んでいたとも主張しています。

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その後、2024年6月になってマスク氏は訴訟を取り下げました。

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2024年8月5日、マスク氏はOpenAIおよびサム・アルトマンCEOに対する訴訟を復活させました。マスク氏はアルトマン氏とその共謀者たちが「AIがもたらす実存的危機に対するマスク氏の人道的懸念につけ込んだ」「個人的な利益を追求するためにマスク氏と結んだ設立契約を裏切った」と主張しています。

訴状の中では、アルトマンCEOらがOpenAIを非営利組織から営利組織に移行していったことについて「アルトマンはエサを仕掛け、見せかけの利他主義でマスクを釣り上げ、非営利団体の技術が汎用人工知能(AGI)に近づき利益を上げる公算が立つと、筋書きをひっくり返してOpenAIを自分たちの個人的な貯金箱として利用し、数十億ドルの金儲けに利用しました」と記されています。

他にも、訴状には「アルトマンがマスクに売り込んだアイデアは、マスクが資金提供し支援する非営利団体が世界クラスの科学者をひきつけ、最先端のAI研究開発を実施し、汎用人工知能(AGI)の開発競争でGoogleのDeepMindに対する有意義な対抗勢力として、オープンソース化することで技術を分散化するというものでした。アルトマンはマスクに対し、この非営利組織は中立性、そして株主の利益ではなく人類の利益のための安全性とオープン性に重点を置くことを保証しました。しかし結局のところ、これはすべて空想的な慈善事業であり、アルトマンの長期にわたる詐欺的な罠だったのです」と記されており、アルトマンCEOはマスク氏に提示した数々の約束を守っておらず、これは同氏による詐欺行為であると主張しています。

さらに、マスク氏はOpenAIの立ち上げから5年間で自身が資金を提供しなければ「OpenAIは存在しなかったと言っても過言ではない」とも主張。加えて、マスク氏はアルトマンCEOからOpenAIを営利モデルに移行する計画を繰り返し持ちかけられたものの、自らの道徳観を固く守り、OpenAIを非営利組織のままにすべきと主張し続けたとも記しています。

しかし、OpenAIは2023年にMicrosoftと提携し、GPT-4をMicrosoftに対して独占的にライセンス供与しはじめました。さらに、OpenAIは有料サービスを提供するようになり、「GPT-4・GPT-4T・GPT-4oのアーキテクチャやハードウェア、トレーニング方法、トレーニングの詳細を含む研究開発結果をオープンソースとして公開しなくなった」とマスク氏は指摘。これもマスク氏と結んだ設立契約に違反する内容です。

マスク氏はOpenAIの詐欺行為、契約違反、虚偽広告、競争に不公平とみなされる行為、その他の違反行為の疑いで最大限の損害賠償を裁判所に命じるよう求めています。さらに、マスク氏は裁判所に対してOpenAIの最新モデルをAGIとみなし、Microsoftのライセンスを無効にすべきかどうかの判断も求めています。

訴状には「マスクはOpenAIの設立と維持に多額の資金とリソースを提供しましたが、その条件は、同社が非営利であり、その技術を一般の人々とオープンに共有し、権力を少数の人々の手に集中させないことでした」「被告らは、AGIを開発するためにマスクの寄付を繰り返し受け入れましたが、AGIが実現したあとにマスク氏との間で交わした条件を尊重する意図はありませんでした。その具体的な事例が、『GPT-4、GPT-4T、GPT-4oはすべてクローズドソースのままである』という点と、被告らが非営利だったOpenAIを完全な営利企業に変えようと積極的に取り組んできた点です」と記されています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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