砂浜の穴掘り遊びには命の危険があり救助方法を誤るとさらなる事態を引き起こす
砂浜での穴掘りは夏の定番の遊びですが、実は浅い穴にも命の危険につながるリスクが潜んでいます。そんな砂浜での穴掘りの危険性や救助方法について、砂浜専門家のスティーブン・レザーマン教授が解説しています。
Dig safely when building sandcastles and tunnels this summer – collapsing sand holes can cause suffocation and even death
https://theconversation.com/dig-safely-when-building-sandcastles-and-tunnels-this-summer-collapsing-sand-holes-can-cause-suffocation-and-even-death-224704
砂浜の穴掘りに起因する事故は国内外で数多く発生しています。例えば、日本では2011年に「砂浜に掘った落とし穴に転落した2人が死亡する事故」が発生しています。また、アメリカでは2024年2月に「7歳の子どもが自分で掘った深さ1.5mの穴に埋まり死亡する事故」が発生しているほか、「1997年から2007年の間に合計21人が砂浜の穴に埋まって死亡した」という調査結果も存在しています。
レザーマン教授によると、砂浜での事故には「砂の崩れやすさ」が大きく関係しているとのこと。砂は水にぬれている間は安定しているため深く掘り進めたり高く積み上げたりできますが、乾燥すると安定性が失われて崩れてしまいます。このため、「一見すると安定しているように見える穴が、時間が経過すると崩れてしまった」という状況が発生し、事故につながるというわけです。
また、「砂の重さ」も事故のリスク増大に関係しています。雪山などで雪崩に巻き込まれた場合は「雪の中を泳いで浮上する」という対策が有効ですが、砂は雪よりも圧倒的に重いため、砂の下に埋まってしまうと自力で脱出するのは非常に困難とのこと。
さらに、救助方法を誤ると被害が増してしまうこともあります。前述の通り砂は非常に崩れやすいため、砂に埋まった人を助けようとして砂を掘り起こそうとしても「掘った砂が崩れて穴が埋まる」というループに陥ってしまいます。レザーマン教授はこのような事態を防ぐために「穴に板を差し込み、砂が元に戻ることを防ぐ」「埋まった人の口を露出させ、胸の上の砂を除去するように努める」「複数人で作業する場合は穴の近くには2~3人の少数を配置し、残りの人員は穴から掘り出した砂を離れた位置に運ぶ作業に徹する」といった対策を推奨しています。
死亡事故につながった穴の大きさは、直径が0.6~4.6m、深さが0.6~3.7mだったとのこと。レザーマン教授は、穴掘り遊びをする際は深さの限度を「グループ内で最も背が低いメンバーの膝の高さ」に設定するように呼びかけています。また、事故を防ぐためにも、遊んだ後は穴を埋めて帰るように注意喚起しています。
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