動画

中国民間企業のロケット「天龍3号」が打ち上げ予定のない静止点火試験で空に飛び立ち墜落&大爆発を起こす事故が発生


2024年6月30日、中国の民間宇宙開発企業である天兵科技(Space Pioneer)が、河南省鞏義市(きょうぎし)にある実験施設で「天龍3号」ロケットの第1段エンジンの静止点火試験を行いました。試験の目的は天龍3号のエンジンの動作チェックであり、ロケットを空に打ち上げる予定はなかったものの、天龍3号は宙を舞ったのち墜落するという悲惨な結果に終わっています。

Chinese rocket static-fire test results in unintended launch and huge explosion - SpaceNews
https://spacenews.com/chinese-rocket-static-fire-test-results-in-unintended-launch-and-huge-explosion/

Space Pioneerは開発中の天龍3号の第1段エンジンの動作実験として、静止点火試験を実施しました。天龍3号の第1段エンジンには9基のブースターが搭載されており、静止点火試験では天龍3号を試験場に固定し、エンジンの燃焼試験を行いました。しかし、飛び立つ予定のなかった天龍3号が試験場から離陸し、墜落するという事故が起きています。以下の投稿に添付されたムービーを再生すると、すさまじい事故の模様を見ることができます。


動画はものすごい煙が発生しているところからスタート。


煙の中からロケットが飛び立ちます。


グングン高度を上げていく天龍3号。


しかし、途中で黒煙を吐きます。


その後、天龍3号は斜めに傾いていき、ついにエンジンも停止。


そのまま落下し大爆発を起こします。なお、天龍3号の燃料はケロシンと液体酸素の混合物であるため、「墜落時にはこの燃料が大量に残っていたようで爆発を起こしています」とニュースメディアのSpaceNewsは指摘しています。


他にも別アングルから撮影された「天龍3号墜落の瞬間」が、中国のSNSであるWeiboに投稿されています


なお、上海を拠点とするニュースメディアのThe Paperは、河南省の当局者が「今回のロケット墜落による死傷者はゼロ」とコメントしたと報じています。

天龍3号の墜落後、Space Pioneerはロケット本体と試験台の接続部分に構造的な欠陥があったと声明で発表。この声明によると、天龍3号に搭載されているコンピューターが自動でエンジンを停止したため、ロケットは試験場の南西1.5kmの位置に墜落したそうです。なお、Space Pioneerも今回の墜落事故による死傷者はゼロと報告しています。

关于天龙三号大型液体运载火箭一子级动力系统试车的情况说明
https://mp.weixin.qq.com/s/6K2mdDWviOlk30oU-JH90Q


SpaceNewsは「ロケットの静的点火試験で問題が発生することは珍しくありません。2020年にはSpaceXのスターシップのプロトタイプが静的点火試験時に爆発しました。しかし、ロケットが固定を逃れて空に打ち上がってしまうという出来事は珍しいです」と記しています。

Space Pioneerは天龍2号で初めて商業ロケットの打ち上げに成功した中国の民間宇宙開発企業として注目を集めており、開発中の天龍3号は天龍2号よりもはるかに大きく、直径は3.8メートル、離陸時の重量は590トンとされています。なお、天龍3号は17トンの積載物を低軌道に、14トンの積載物を高度500kmの太陽同期軌道に打ち上げることができるというロケットです。

なお、Space Pioneerは今回の試験で天龍3号が820トンの推力を得たと報告しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ロケットの一部が月に衝突することの何が問題なのか? - GIGAZINE

中国が打ち上げたロケットの部品が学校付近に落下、オレンジ色の有毒な煙が立ち上る事態に - GIGAZINE

降り注ぐ宇宙ロケットの残骸と共に生活する人々がいる - GIGAZINE

アンタレス・ロケットが打上直後に発火して墜落・大爆発したムービー集 - GIGAZINE

ロシアの「プロトンMロケット」が打ち上げ失敗・墜落・爆発炎上するまでの一部始終がよくわかるムービー - GIGAZINE

in 動画, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.