メモ

女性が男性と同じ法的権利を有する国は世界のどこにもないことが調査で明らかに


世界銀行のまとめたレポート「女性・経済・法律 2024年版(Women, Business and the Law 2024)」で、世界的なジェンダーギャップがこれまでに想定されていたよりもはるかに大きいことが報告されました。女性が男性と同等の法的権利を有する国は世界のどこにもなく、女性が享受できる権利は男性の3分の2以下だったとのこと。

Women, Business and the Law 2024: Ensuring Women’s Full and Equal Participation in the Economy - YouTube


新データが示す予想以上に広範な世界のジェンダーギャップ
https://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2024/03/04/new-data-show-massive-wider-than-expected-global-gender-gap

WOMEN, BUSINESS AND THE LAW 2024
(PDFファイル)https://openknowledge.worldbank.org/server/api/core/bitstreams/d891abb1-ca9c-42cd-989f-32d3885189a2/content


When Women Win, the World Wins
https://blogs.worldbank.org/en/voices/when-women-win-world-wins

レポートは190の国と地域を対象に行われた調査の結果をまとめたものです。


調査の結果、女性が享受している法的権利は平均して男性の64%しかなく、前回調査時の77%をはるかに下回るものであることがわかりました。

たとえば、男女で同一の価値の労働を行ったとき、同一の賃金を支払うよう義務づける法律が98の国・地域で定められていますが、透明性確保や賃金格差をなくすよう強制する仕組みを取り入れているのは35カ国のみだったとのこと。


具体的には、アフリカのトーゴには「男性が持つ権利の77%を女性にも与える法律」という、サハラ以南のアフリカ諸国の中で際立つ存在の法律がありますが、この法律を順守させるための仕組みがないため女性が持つ権利は男性のおよそ27%で、このような割合はサハラ以南のアフリカ諸国で一般的なものとなっています。

今回の調査で、女性が享受する法的権利にまつわる数字が前回調査時より下がった理由は、新たに加わった「育児」と「暴力から守る安全施策」の2つの指標の影響です。

女性は男性と比べたとき、平均して1日に2.4時間は育児に費やす時間が多く、育児サービスが充実すると5年以内に女性の労働力参加が2倍以上になると考えられています。しかし、幼い子どもを抱える家庭に対する支援施策を提供しているのは、調査対象の半分にも満たない78の国・地域で、保育サービスの質に基準を設けているのはさらに少ない62の国・地域だったとのこと。


また、「家庭内暴力」「セクシャルハラスメント」「未成年結婚」「女性嫌悪殺人」から守る安全施策に関しては、ほとんど整備が進んでいるとはいえない状態で、たとえば「職場でのセクハラ禁止」に限るなら151の国・地域で法律が施行されているものの、「公共の場でのセクハラ禁止」になると、わずか39カ国まで減少します。

ビジネスでも女性の扱いは不遇で、起業時に性別格差がないよう配慮された調達プロセスが整備されているのは全体の20%程度。賃金も男性の77%しか支払われず、さらに定年退職の年齢についても62の国・地域で男性より低く、女性の経済的不安を増大させる内容となっています。


世界銀行グループの首席エコノミスト兼開発経済担当上級副総裁であるインダーミット・ギル氏によれば、差別的な法律や慣行によって生まれている男女間格差をなくすことができれば、世界の国内総生産は20%以上増加し、今後10年で世界の成長率は実質的に2倍になる可能性があるとのことです。

プロジェクトマネージャーのテア・トルンビッチ氏は「女性は全体の半数しか労働に参加していませんが、男性はほぼ4分の3が参加しています。これは不公平であるだけではなく不経済です」と述べた上で「各国は、人口の半分を占める女性を傍観者のままにとどめておく余裕はありません」と指摘しています。

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in メモ, Posted by logc_nt

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