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LinuxのユーザーがMicrosoftのイベントでLinuxのインストールディスクを配布しまくった「シリコンバレー茶会」

by Mike Cohen

Linuxカーネルは1991年に当時フィンランドの学生だったリーナス・トーバルズにより「フリーなOS」として公開されました。このLinuxカーネルは30年以上にわたって開発が続けられており、開発コミュニティはオープンソースコミュニティの象徴ともいえます。そんなLinuxのユーザーグループがMicrosoftのイベントで行った活動が「Silicon Valley Tea Party(シリコンバレー茶会)」です。

Silicon Valley Tea Party
https://marc.merlins.org/linux/teaparty/

Silicon Valley Tea Partyは「Great 1998 Linux Revolt」と呼ばれるイベントを受けて開催されたイベントです。


Microsoftは1998年6月にWindows 98をリリースすることを発表しました。これを受けて、Linuxのユーザーグループは「Windows 98の購入者にLinuxのインストールディスクを無料で配布する」という計画を立ち上げました。この計画は「Linuxというオープンソースの代替OSの存在を広める」という目的で立てられ、「言論の自由を行使した平和的なデモンストレーション」を行うものでした。

リリース当日の6月24日深夜、カリフォルニア州サニーエールにある電気店「Fry's Electronics」に、シリコンバレー在住のLinuxユーザー約60人が集まりました。プラカードや垂れ幕を掲げた彼らは、SUSE Linuxのインストールディスク250枚をWindows 98の購入者に無料で配布。さらにユーザーたちは「Linux TV」と称しながら行列する人々にインタビューし、Windowsのクラッシュ問題を指摘しながら、「Linuxは無料でソースコードも提供されますよ」とアピールを行いました。

当然ながら、Fry's Electronics側は警察に通報。結果として、集結したLinuxユーザーは警察によって追い出され、別の家電小売店に移動したそうです。次に向かった家電小売店はLinuxユーザーに友好的で、Linuxの啓発活動も黙認したとのこと。この一連のイベントが「Great 1998 Linux Revolt」です。

Great 1998 Linux Revoltは、Windows 98の発売数時間前に急きょ計画されて突発的に行われたため、統制が取れていませんでした。この反省を生かして再度開催されたのがSilicon Valley Tea Partyです。

Silicon Valley Tea Partyは、Microsoftがカリフォルニア州のシリコンバレーに開発者センターを開設したことがきっかけで開催されました。Linuxのユーザーグループは、この開発者センターのオープニングイベント会場に集結し、SUSE LinuxとCaldera OpenLinuxのインストールディスク計500枚を持参して集結。オープニングイベントの参加者や通りすがりの人にディスクを配布しました。


LinuxのマスコットであるペンギンのTuxが描かれたプラカード。「Windows user REPENT!(Windowsユーザーよ、悔い改めよ)」というメッセージも添えられています。


通りがかった車の運転手にもディスクを配っています。


運転手がいない場合はワイパーにディスクを挟んで配布。


一通り配布が終わった後、ユーザーたちは地元のピザ屋に打ち上げにいったとのこと。すると、Microsoftの社員だったリック・モーエン氏がピザ屋に電話をかけ、各自にビールとソーダを1杯ずつおごってくれたそうです。


Silicon Valley Tea Partyを記録したユーザーは「今でも私は『MicrosoftのOSはひどいし、ソフトウェア製品の多くもひどい』と思っています。Microsoftは独占企業で、法律をあまり気にせず競争相手を潰すことに躍起になっているし、プロトコルやファイル形式を絶えず変更して、人々が実際に互換性を持たないようにするのは明らかに悪だと思っています」と述べながらも、Great 1998 Linux Revoltの反省を生かしたことで、Microsoftと友好的な関係を築いたままイベントを行うことができたと振り返っています。

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in ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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