イギリスで900人もの郵便局関係者の起訴につながった会計システムの不具合について欧州富士通トップが「不具合は以前から知られていた」と発言
ICL Pathway Limited(後のFujitsu Services Limited)により開発された会計システム「Horizon IT」の欠陥により、イギリスで900人を超える郵便局長が起訴される事件が1999年から2015年にかけて相次いで発生しました。この事件について開催された公開調査において、富士通欧州部門共同最高経営責任者が「当初からシステムに欠陥があったことが知られていた」と発言したことがわかりました。
Post Office: ‘appalling’ that courts not told of bugs, Fujitsu boss admits | Post Office Horizon scandal | The Guardian
https://www.theguardian.com/uk-news/2024/jan/19/post-office-inquiry-horizon-it-scandal-software-fujitsu
Fujitsu bugs that sent innocent people to prison were known “from the start” | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/01/fujitsu-bugs-that-sent-innocent-people-to-prison-were-known-from-the-start/
イギリスの郵便局では窓口業務における処理を行うために、イギリスにある富士通の子会社・Fujitsu Services Limitedが開発した会計システム「Horizon IT」を使用しています。ところが、Horizon ITにはしばしば不足額が生じる不具合があったため、詐欺や窃盗などの疑惑が郵便局の関係者にかけられることとなり、1999年から2015年にかけて数多くの人々が有罪判決を受けました。
郵便局長や局員をはじめ起訴された関係者は900人にも上りましたが、2024年時点で有罪判決が覆ったのは93件のみとされています。
この事件に関する調査の中で、富士通欧州部門共同最高経営責任者のポール・パターソン氏がロンドンで開催された公開調査に出席しました。この中でパターソン氏はHorizon ITの欠陥について「すべてのバグとエラーは、何年も何年も前から、ある程度は知られていました」などと発言し、富士通側がバグの存在を認識しつつ放置したとの世間の疑惑を裏付けるような姿勢を見せたことが明らかになりました。
The Guardianによると、Horizon ITでは1999年の時点で29件のバグが確認されていたものの、郵便局関係者が起訴された際に行われた富士通社員の証人陳述は編集され、ついぞ公開されることはなかったとのこと。
公開調査を担当した主任弁護士のジェイソン・ビア氏からの指摘を受け、パターソン氏は「これは恥ずべきことです。すべての証拠が提出されるべきだったと考えています」と供述しました。またパターソン氏は別日に面会した英国議会議員に対し、「富士通は誤審に加担したことを謝罪したいと考えています。私たちは最初からこの問題に関与していて、システムにバグやエラーがあり、郵便局員の起訴に協力したと言えます。本当に申し訳なく思っています」とも述べていたそうです。
郵便局を管轄するケビン・ホリレイク閣外相は「最優先事項は、補償と、人々のために答えを出すことです。国民が責任を追及するのは至極当然のことです。政府はまた、冤罪を着せられた人々の迅速な保護と補償のための新法も計画しています」と語りました。
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