Steam Deck OLEDが登場、画面だけでなくバッテリー性能やダウンロード速度も進化し前モデルは値下げ
Valveの携帯ゲーミングデバイス「Steam Deck」のOLED(有機EL)モデルが登場しました。前モデルのLCD(液晶ディスプレイ)に比べて色彩が豊かになったほか、バッテリー駆動時間が40Whrから50Whrに伸びたりWi-Fi 6Eに対応したりなどディスプレイ以外の性能も向上しています。
Steam Deck™
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Introducing Steam Deck OLED - November 16 - YouTube
Steam DeckのHDR OLEDディスプレイは、「目を見張るようなコントラスト」「卓越した鮮明度」「より大きな画面」を備えていて、豊かな色彩や深みを増した黒を体験できるとのこと。バッテリーは持続時間が30~50%向上し、ダウンロード速度は最大3倍に。ファンを大きくし、排熱性能を改善したことで、より低い温度で動作するようになっているとのこと。
「Steam Deck OLED」および前モデルの「Steam Deck LCD」のスペックは以下の通り。Steam Deck LCDには64GB・256GB・512GBの3つのモデルがありますが、ここでは256GBモデルのみ記しています。
モデル | 256GB LCD | 512GB OLED | 1TB OLED |
SSD | 256GB NVMe SSD | 512GB NVMe SSD | 1TB NVMe SSD |
ディスプレイ | 1280x800 光学結合LCD | 1280 x 800 HDR OLED | 1280 x 800 HDR OLED(プレミアムアンチグレアエッチングガラス採用) |
輝度 | 400ニト | 600ニト(SDR) ピーク輝度1000ニト(HDR) | 600ニト(SDR) ピーク輝度1000ニト(HDR) |
リフレッシュレート | 60Hz | 最大90Hz | 最大90Hz |
画面サイズ | 7インチ(対角) | 7.4インチ(対角) | 7.4インチ(対角) |
プロセッサ | 7nm APU | 6nm APU | 6nm APU |
RAM | 16 GB LPDDR5オンボードRAM(5500 MT/s クアッド 32ビットチャンネル) | 16 GB LPDDR5オンボードRAM(6400 MT/s クアッド 32ビットチャンネル) | 16 GB LPDDR5オンボードRAM(6400 MT/s クアッド 32ビットチャンネル) |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.3 | Bluetooth 5.3 |
Wi-Fi | Wi-Fi 5 | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6E |
バッテリー | 40Whrバッテリー;2~8時間のゲームプレイ | 50Whrバッテリー;3~12時間のゲームプレイ | 50Whrバッテリー;3~12時間のゲームプレイ |
充電 | 45W電源(1.5mケーブル付属) | 45W電源(2.5mケーブル付属) | 45W電源(2.5mケーブル付属) |
ライト | 環境光センサーALS | デュアル環境光センサーALS | デュアル環境光センサーALS |
サイズ | 298mm x 117mm x 49mm | 298mm x 117mm x 49mm | 298mm x 117mm x 49mm |
重量 | 約669g | 約640g | 約640g |
上記のほか、1TBモデルには「限定起動動画」ならびに「限定仮想キーボードテーマ」が搭載されているとのこと。他のモデルはキャリングケースが付いているところ、1TBモデルは「内側が取り外し可能なキャリングケース」が付属します。
その他の変更点としては、Bluetoothコントローラーからのスリープ解除に対応したこと、ディスプレイの修理/交換手順が改善されたこと、再開時間が30%短縮されたことなどが挙げられています。
本体をレビューしたThe Vergeによると、ヒートシンクが大型化したことでファンの音が静かになり、本体温度が最大10度低下。サーマルスロットリングによるフレームレートの低下も減少したとのこと。
注意すべきなのは、Steam Deck OLEDの主軸はあくまでディスプレイの変更にあり、「Steam Deck Pro」や「Steam Deck 2」といった次世代の強力なモデルが登場したわけではないということ。The Vergeによると、「サイバーパンク2077」では消費電力の低下やファンの静音化が確認できたものの、「Starfield」ではプレイ中にフリーズすることがあったそうです。バッテリーの持続時間は、「CONTROL」を最大80FPS設定で遊んで2時間11分。前モデルでは60FPS設定で2時間を超えなかったとのこと。
Engadgetは「より鮮明で応答性が向上している」「内蔵トラックパッドの触覚フィードバックはより正確に感じられた」「騒音はそれほど大きくなく、明らかに快適」と評価。
Rock Paper Shotgunは「サムスティックが新しくなり、中央部分がよりグリップしやすくなった」「過去モデルでは失われてしまう優れたコントラストと色の多様性が引き出される」との感想を記しています。
価格は、Steam Deck OLEDの512GBモデルが税込8万4800円、1TBモデルが税込9万9800円です。Steam Deck LCD 256GBモデルは2万円値下げされ、税込5万9800円となっています。
日本からは正規販売代理店のKOMODOを通じて入手可能。発売日は2023年11月17日(金)です。
なお、アメリカとカナダ限定で、本体がスケルトン仕様となった「リミテッドエディション」が販売されます。1TBモデルのみの販売で、価格は通常品より30ドル(約4500円)高くなっています。
OLEDモデルを手がけたValveのデザイナー、ジェレミー・セラン氏とジェイ・ショー氏にIGNがインタビューしています。電力効率について尋ねられたショー氏は「OLEDの電力効率が大幅に高く、デバイス内の占有面積も小さいため、少し大きめのバッテリーを使用することができました。APUも7nmから6nmまで小さくなったので、より明るい画面とより高いリフレッシュレートを保ちつつ、バッテリーを長持ちできるようになりました」との回答を残しています。
Valveは2023年9月に「Steam Deckの次世代モデルが登場するのは2025年後半かそれ以降になる可能性がある」と述べていましたが、ショー氏はこうした次世代モデルの登場について「Steam Deck 2についてはまだ検討していませんが、もちろん、時間が経つにつれて革新を続けていくので、さまざまな可能性は検討していきます」と回答しました。
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