Meta製SNS「Threads」が「Appleのデータ保護は幻想」という実態を浮き彫りにしているとの指摘
Metaは2023年7月6日に、当時Twitterという名称だったXの対抗馬と目されるSNSアプリ「Threads」をリリースしましたが、プライバシーの不透明さにより記事作成時点でもEUでの公開が実現していません。そんなThreadsを開発したMetaや、アプリの配信をApp Storeで承認しているAppleのプライバシー慣行の問題点について、デザインに関する情報や知識を発信している「Growth Design」がわかりやすいスライド資料にまとめて解説しました。
Apple vs Meta: The Illusion of Privacy
https://growth.design/case-studies/apple-privacy-policy
上記URLにアクセスしたのが以下。右下のボタンかキーボードの右矢印キーで次のページに移ることができます。
Growth Designの共同設立者であるダン・ベノニ氏は、Threadsの話題を聞いてさっそく試してみるべく、App StoreからThreadsアプリをインストールしました。この時点で、ベノニ氏の気持ちを表す精神レベルのゲージは5ポイントアップしています。
特に問題なくInstagramアカウントでログインしたベノニ氏は、プライバシー設定画面で少し引っかかりつつも登録を続けることにしました。
しかし、「Threadsのしくみ」の画面で完全にストップしてしまいました。
なぜなら、灰色の文字の中に迷彩のように灰色のリンクが隠されており、まるでThreadsが扱う個人情報についての詳細を隠そうとしているかのように見えたからです。ここでせっかく上がっていたベノニ氏の精神レベルのゲージが5ポイント下がってしまいました。
一体どんなデータがThreadsで扱われるのか確かめるべく、ベノニ氏はApp StoreのThreadsのページに戻ってから画面を下にスクロールしてみました。すると、健康データや財務情報、閲覧履歴、さらには機密情報とかなりセンシティブなデータまで収集されることが判明し、ゲージがさらに10ポイントダウンしてしまいます。
ほかにどんなデータが使われるのか確かめるため、「その他のデータ」をタップしてみます。
表示されたのが以下。スクロールバーのサイズにより、このページに列挙されている情報がとてつもなく多いことが判明しました。
ここでベノニ氏のゲージはさらにダウン。
しかも、そのデータの内容は「メッセージの内容」「性的指向」「健康および医療情報」など非常に個人的なものばかり。これにベノニ氏は思わず「超キモい!」と口走ります。
ここで表示された追加情報によると、Threadsはプライバシーの問題でEUでサービスを開始できておらず、ドイツで下された欧州司法裁判の判決により雲行きはさらに怪しくなっているとのことです。
ベノニ氏は、「さらにクレイジーなのは、Metaが生活に関するあらゆるデータを要求しておきながら、恥ずかしげもなくそれを『しくみ』画面の下に隠していることです」と非難しました。
これは、情報の提示の仕方によってユーザーの意思決定が左右されてしまうことを指す心理学用語「フレーミング」を狙ったものだとのこと。
これに気づかずにThreadsを開始してしまった後にThreadsアカウントを削除しようと思うと、一緒にInstagramアカウントまで消されてしまうため、Instagramアカウントが人質のようになっているとベノニ氏は指摘します。
以上から、ベノニ氏がThreadsに与えた透明性レベルの評価は「0と1の中間」でした。
ベノニ氏は、ささいなデータなら収集されても構わないと考えていますが、「データ収集によるプライバシー侵害が深刻ならそれ相応の透明性を担保しなければならないにもかかわらず、Metaは逆に透明性を下げている」という点は問題だとしています。
データ収集の度合いと透明性の比率は、透明性(Transparency)と侵入性(Intrusiveness)の頭文字から「T.I.レシオ」と呼ばれており、Threadsのようなアプローチは「T.I.レシオが低い」と表現されるとのことです。
もし、Metaが収集しようとしているデータに見合った透明性を心がけた場合、「しくみ」の画面は右のようになります。しかし、Metaにこのような透明性を期待するのは望み薄です。
それでは、多額の広告費を投じてプライバシー保護をアピールし、まるでプライバシーの守護者のように振る舞っているAppleはどうかというと、そうでもないとのこと。
ベノニ氏は、男性が服を適当になでるだけのボディーチェックをしているインターネット・ミームを流して「Appleが裏で許しているデータ収集を見ると、Appleはこの男のようなものです」と述べました。
Appleはアプリにトラッキングを許可しない設定ができる取り組みを行っていますが、設定しても広告主が簡単にデータを収集できるため、期待したような効果はないことが検証により判明しているとのことです。
もしAppleが宣伝ほどプライバシーを重視しているというのであれば、Threadsの配布ページには目立つところにプライバシーに関する警告が表示されているべきだとベノニ氏は提案しています。
さらに、プライバシーを尊重しているアプリの場合もそのことが一目でわかるようにします。こうすることで、企業やアプリの開発者にプライバシーを尊重するインセンティブを与えることができます。
ここまでの流れをおさらいします。まず、アプリの導入が手軽にできたことでベノニ氏の精神レベルはプラスから始まります。
しかし、「Threadsのしくみ」の画面に不審な点が見つかり、すぐに精神レベルがダウンしてしまいました。
そして、App Storeに戻ってThreadsが不気味なほど個人情報を収集していることにうんざりし、プライバシーに関するAppleの主張もそれほど信頼できないことに気づいてさらにテンションがどん底に落ちます。
その後ベノニ氏は、「もしAppleが本当にプライバシーを重視しているのなら、App Storeに明確な警告を表示するはず」という気づきを得て悟りの境地に至っていました。
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in ソフトウェア, Posted by log1l_ks
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