120年前に現像されたガラスの乾板を「サイアノタイプ」で写真に焼き付ける方法
「サイアノタイプ」は19世紀に発明された写真のプリント方式で、特殊な薬品を使った化学反応で日光で印画することで、青色が特徴のモノクロ写真をプリントすることができます。カメラやレンズに関するさまざまな動画を投稿しているYouTuberのマシュー・スターン氏が、120年前に撮影されたガラス乾板からサイアノタイプで写真を現像する工程をムービーで公開しています。
Developing 120-Year-Old Photos found in a Time Capsule - YouTube
ムービーは、スターン氏の古い実家にある薄暗い物置から始まります。
たんすの引き出しから、古い箱を発見。
中に入っていたのは切り絵の人形や花、コインや文房具。1900年頃に少女が使っていた筆箱と思われます。
その中に入っていた封筒
その中には現像済みのガラス乾板が2枚入っていました。
ガラス乾板とはセルロイド製の写真フィルムが発明される以前に使われていた感光材料で、特殊な薬品を塗ったガラス板を露光することで映像を定着することができます。
光に透かしてみると、ネコの姿が浮かび上がりました。
スターン氏はこのガラス乾板からサイアノタイプで写真を焼き付けます。用意したのは、ガラス乾板と同じ大きさの額縁。
トレイとスポンジブラシ、スポイト。
そしてサイアノタイプの焼き付けに使う薬品。A液とB液に分かれています。
A液とB液をスポイトでトレイに滴下。
スポンジブラシでA液とB液をしっかり混ぜ合わせます。
そして、そのままスポンジブラシで薬液を紙に塗りつけて、印画紙を用意します
額縁にガラス乾板を収め、その上から印画紙を置きます。
サイアノタイプの薬液は紫外線で化学反応を起こして青色に変化します。印画紙に塗った薬液のうち、ガラス乾板の黒い部分に覆われていると変化せず、それ以外は紫外線によって青く発色するというわけ。
UVライトで30分弱照射した後、額縁から取り出した印画紙は全体的に青く変色しています。
現像はこれで終わりではなく、バットに注いだ水で余分な薬液を洗い流します。
その後、さらに印画紙を過酸化水素水で洗浄。
そして、洗濯ばさみで挟んで干します。過酸化水素水で洗い流すと、青色の濃淡がはっきりしたのがわかります。
焼き付けが終わるとこんな感じ。黒ではなく青のモノクロ写真なので、一般的な白黒写真よりも独特の雰囲気があります。
ネコの毛並みやヒゲなど、細かい部分もはっきりと写っています。モチーフは、おそらく乾板の持ち主だった少女の愛猫だったのかもしれません。
スターン氏は、もう1枚のガラス乾板も焼き付けています。
もう1枚の方には、ネコ以外に何か他の動物も写っている模様。
1枚目と同じ手順で印画紙に焼き付けます。
できあがった写真はこんな感じ。
ネコと一緒に写っていたのは、気持ちよさそうに寝る犬でした。
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