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イーロン・マスクが「Xの広告売上不振の原因はユダヤ人団体」だとして訴訟を起こすと脅迫


イーロン・マスク氏が2022年にX(当時はTwitter)を買収して以来、主要広告主の多くがXへの出稿を停止し同社の広告収入が低迷するなど、Xは主要な収益源である広告事業での苦戦が続いています。そんな中、CEOの職を退きXのCTO兼任取締役となったマスク氏が、広告収入の低迷の原因はユダヤ人団体であるとして、告訴を示唆する発言をXに投稿しました。

Elon Musk blames Anti-Defamation League for ad sales slump, threatens lawsuit
https://www.axios.com/2023/09/04/elon-musk-anti-defamation-league-x-ad-sales-slump

Elon Musk 'likes' trending #BanTheADL posts as white supremacist ad runs on platform | Mashable
https://mashable.com/article/x-twitter-elon-musk-white-supremacist-ad-ban-adl-hashtag

マスク氏は2023年9月4日のXへの投稿で、「はっきり言っておきますが、私は言論の自由には賛成ですが反ユダヤ主義には反対です」と口火を切りました。


発言の意図をただしたXユーザーに対し、マスク氏は「買収以来、名誉毀損(きそん)防止同盟(ADL)はこのプラットフォームと私を反ユダヤ主義者だと虚偽の主張を行い、このプラットフォームを潰そうとしています」と説明。続くポストでマスク氏はさらに「アメリカでのXの広告収入は、主にADLによる広告主への圧力が原因でいまだに60%減少しています。これは広告主から聞いた話です」とADLを非難しました。


そして、何らかの行動を起こすのか尋ねたユーザーに「このようなことが続くようであれば、皮肉にも『名誉毀損防止』連盟に対して名誉毀損訴訟を起こすしかないでしょうね。もし彼らが名誉毀損訴訟で敗訴すれば、私たちは彼らの名称から『防止(Anti)』の部分を削除するよう主張します」と返答し、訴訟提起も辞さない考えを示しました。


マスク氏がADLに言及した背景には、Xでヘイトスピーチが急増していると指摘したADLのレポートがあります。ADLは2023年5月に公開した報告書の中で、「マスク氏の方針によりXアカウントの凍結解除が行われた結果、2月以降2173件のアカウントから悪質な反ユダヤ主義の主張が5000件以上確認された」と発表しました。

Xへの非難を続けるADLに対し、マスク氏は対決姿勢をあらわにするようになりました。その直接の発端となったのは、ADLのジョナサン・グリーンブラット代表とXのリンダ・ヤッカリーノCEOのやりとりや、それに対するXユーザーの反応です。

グリーンブラット氏の「Xのヘイトスピーチにどう対処するべきかついて、リンダ・ヤッカリーノCEOと非常に率直で生産的な会話をしました」とのポストにヤッカリーノ氏が感謝を表明すると、これに反発したXユーザーらが「#BanTheADL(ADLを追放しよう)」というキャンペーンを展開し、ハッシュタグがXでトレンド入りしました。


「#BanTheADL」のトレンドに反応したマスク氏は「この件について世論調査を行うべきでしょうか?」と述べています。


反差別を掲げる団体とマスク氏が対立したのは、これが初めてではありません。マスク氏は以前にも、ヘイトスピーチを監視しているイギリスの非営利団体・デジタルヘイト対策センター(Center for Countering Digital Hate:CCDH)に対し、「問題かつ根拠のない主張を行った」として訴訟をほのめかしています。

X(旧Twitter)が「マスク氏の買収後Twitterでヘイトスピーチが急増している」と指摘した非営利団体に訴訟をちらつかせる - GIGAZINE


ADLの広報担当者は、声明の中で「反ユダヤ主義者、白人至上主義者、陰謀論者、その他の荒らしが私たちの組織に対して組織的な攻撃を開始したことに驚きはありませんし、そのことで私たちが動揺することもありません。憎悪に満ちたグループは明らかにADLとXのリーダーの会談に動揺したようですが、私たちはこのような陰湿な努力にはひるみません。むしろ、あらゆる形の憎しみと闘い、ユダヤ人コミュニティやその他の疎外されたグループの安全を確保するという我々のコミットメントを揺るぎないものにする原動力となるのです」とのコメントしました。

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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