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ロシアによるウクライナ侵攻の直後にチェルノブイリ原子力発電所の放射線量が急上昇した理由は?


2022年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた直後に、チェルノブイリ原子力発電所に設けられた放射線センサーの値が急激に上昇しました。この理由について「ロシアの軍用車両が動き回ったことで、地中の放射性物質が巻き上げられた」という見方が出ていますが、実態は異なるとジャーナリストのキム・ゼッター氏が報告しています。

Radiation Spikes at Chernobyl: A Mystery Few Seem Interested in Solving
https://zetter.substack.com/p/radiation-spikes-at-chernobyl-a-mystery


ゼッター氏によると、チェルノブイリ原発周辺のセンサーで放射線量が増加した理由を「ロシア軍の動きによるもの」と非難するウクライナ当局の見方は複数の専門家に否定されたとのこと。

一方で挙がるのが放射線センサーがハックされていた可能性です。セキュリティ研究家のルーベン・サンタマルタ氏は2017年の段階で、チェルノブイリ原発で用いられていたものとは異なる放射線センサーに脆弱性があり、記録されたデータを操作できる可能性を指摘しています。

Go Nuclear: Breaking Radiation Monitoring Devices
(PDFファイル)https://www.blackhat.com/docs/us-17/wednesday/us-17-Santamarta-Go-Nuclear-Breaking Radition-Monitoring-Devices-wp.pdf


サンタマルタ氏は、同じ脆弱性がチェルノブイリ原発で用いられた放射線センサーにもあったのではないかと考えて調査を行い、「数値は操作されている」という見方を示しました。

サンタマルタ氏の調べによると、2月24日20時40分から25日10時50分にかけて、放射線量の急上昇が複数のセンサーで発生。30分から2時間ほど経過すると、値は通常値に戻っていました。ただ、同時に値の急上昇がみられたセンサーが、現地では数km単位で離れており、それより近くにあった他のセンサーには反応がなかったというケースがあったとのこと。

サンタマルタ氏の示した原発周辺の地図。赤い点は放射線量の急上昇が確認されたセンサー、緑の点は通常通りだったセンサーを示しています。


現地で放射線量の急上昇が実際に起きたと考えられる類似のケースに当てはまらないことから、サンタマルタ氏は、データがハッカーによってリモートで書き換えられたか、あるいはデータ処理を行うサーバーに直接アクセスできる何者かによって操作された可能性が高いと結論づけました。

なお、ハッキングの可能性を指摘したのはサンタマルタ氏が初ではなく、2022年2月25日の報道の時点で一部の専門家から指摘されています。

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in メモ, Posted by logc_nt

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