「好きです、付き合ってください」という「愛の告白」は日本を含む一部の国で特有の文化であるという指摘
カップルとしてお付き合いをしたり、結婚を見据えて関係を深めていきたいとき、「好きです、付き合ってください」「結婚を前提に付き合ってください」というような「愛の告白」をするという一般的なイメージがあります。しかしそのような「告白」は日本をはじめとした一部の国で特有の文化であり、西洋文化では奇妙に映ることがあるという点を、海外向けの日本語学習トピックを掲載するTOFUGUのライターであるマミ・スズキ氏が語っています。また、スズキ氏の解説を受けて、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでも「告白」について話題になっています。
Kokuhaku: Japan's Love Confessing Culture
https://www.tofugu.com/japan/kokuhaku-love-confessing-japan/
Kokuhaku: Japan’s Love Confessing Culture (2013) | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=36560114
スズキ氏はカナダに住む日本語研究者で、カナダ出身である夫と付き合いたてのころに「I love you」と口にした際に、ちょっとしたトラブルに遭遇したとのこと。スズキ氏によると、西洋文化では英語では「Love」という言葉は重要な言葉であり、あまりむやみに使用すべきではないという反応を受けることがあります。しかし、日本では深い付き合いを始める際、ほとんどの場合で「好きです。付き合ってください(I love you. Can we start seeing each other?)」という「愛の告白」から始まります。この「愛の告白」があるまでは、一緒に出かけたり2人だけのイベントを過ごした場合でも、厳密には関係が始まっていないという点が、日本人の文化特有だとスズキ氏は指摘しています。
スズキ氏は日本人の「愛の告白」について「スイッチのようなもの」と説明しています。仲が深まっても手を触れることすらできない場合があるのは、「告白」というスイッチを必要としているからであり、スイッチが入ると「深い関係モード」に入ることができるというわけです。また、愛の告白をして正式に付き合った場合、他の人と深い関係を持つと「浮気」と見なされますが、これも交際の初期段階における西洋と日本で文化の違いが見られる点となっています。
「愛の告白」システムは、自然に関係を深めていく西洋の文化と比べると、少し奇妙に感じられるものかもしれません。しかし、スズキ氏は「このシステムは最初から関係を明確にし、デートを開始しやすくするのに役立つと思います。告白する際にはお互いの認識や期待を教え合うようなもののため、微妙な関係に気まずい瞬間を過ごす必要はありません」と述べています。
Hacker Newsではスズキ氏が指摘する「愛の告白文化」について、実体験を含めた意見が複数挙がっています。日本へたびたび旅行して長期滞在した経験もあるという人は「告白は、相手の行動や気持ちの曖昧さをほとんど解消してくれるほか、自分の気持ちを明確に表現できることが気に入っています。また、カップルになることを同意するまで、カップルのように振る舞わないことをお互いが理解していることも気に入っており、アメリカに比べて新鮮だと感じます」と述べています。一方でそれに対し、「真剣な交際に同意するまでは何のアクションも起こらないということですか?それが私たちのスタイルよりも新鮮で優れているとは思いません」という意見や、「最初にセックスせずに、誰かと関係を築きたいかどうかをどうやって知ることができますか?」というコメントもあり、関係の探し方について奇妙に思う人もいます。
また、潜在的な見えない関係を段階的に進めていけることから「告白はより良い方法」とする意見と、さまざまな関係のデートだからこそ楽しいため形式的なことは好ましいとは思えないという意見とで対立も起きていますが、結果として「日本の文化が興味深いです」と語られています。
そのほか、愛の告白から関係をスタートするというのは西洋文化では珍しいが日本特有のものではなく、ヨーロッパの遊牧的なライフスタイルにはかつて存在したという指摘や、現在でもヨーロッパの複数の場所で同じ視点が存在するというコメントのほか、ブラジルの文化には付き合ってから数週間から数カ月後に「排他的なカップルになるかどうか」を意味する「namorar」というものがあり、最初のデートに行く前に宣言することはないものの、日本の告白文化に非常に似ているという意見も挙がっています。
・関連記事
なぜ「忍者」はアメリカ人にここまで愛されるようになったのか? - GIGAZINE
一体サムライをなんだと思っているのかよくわからない自由奔放なイラストいろいろ - GIGAZINE
海外から見た日本のぶっとんだ性事情トップ10 - GIGAZINE
日本のエロマンガやエロアニメなどがオーストラリアで禁止される - GIGAZINE
日本人はどのようにアメリカの文化を改良しているのか? - GIGAZINE
・関連コンテンツ