ヴィーガンの入店を精神的健康を理由に拒否したレストランに星1レビュー爆撃が殺到
「自身の目的のために動物を利用する権利はない」と主張して卵や乳製品を含むあらゆる動物由来の食物を避ける考え方が「ヴィーガン」です。イギリス出身の有名シェフジョン・マウンテン氏が、自身がオーストラリアで経営するレストラン「FYRE」で精神的健康を理由に、ヴィーガンの入店を拒否する投稿をFacebookに掲載したところ、「FYRE」のページには星1のレビューが殺到しました。
A celebrity chef banned vegans from his restaurant due to his mental health—then got dogpiled with one-star reviews, before meat lovers came to his defense | Fortune
https://fortune.com/2023/06/21/celebrity-chef-john-mountain-bans-vegans-fyre-restaurant-mental-health-one-star-reviews/
Perth Fyre chef John Mountain says business is booming after vegan ban following negative review | Daily Mail Online
https://www.dailymail.co.uk/news/article-12218093/Perth-Fyre-chef-John-Mountain-says-business-booming-vegan-ban-following-negative-review.html
マウンテン氏がヴィーガンの入店を拒否することをFacebookに投稿したきっかけは、ヴィーガンの女性からのレビューがきっかけとされています。その女性はFYREで32ドル(約4500円)のニョッキとリゾットを食べた際に「まあまあですが、それほど食べごたえはありません」とのレビューを投稿しました。また、「レストランがどんな人物にでも対応できるようにすることは、現代社会で重要なことですが、植物ベースの食事でヴィーガンを満足させられないことは、シェフとしてあなたが劣っているということです」とマウンテン氏を批判しています。
ヴィーガン女性の批判的なレビューを受けて憤慨したマウンテン氏はFYREのFacebookページに「悲しいことに、すべてのヴィーガンのお客様は現在、精神的健康の理由から入店することはできません。ご理解のほどよろしくお願いいたします」と投稿しました。
マウンテン氏のこの投稿を受けて、FYREには多くの星1レビューが集まり、当初星4だったFYREのGoogle評価は2.8にまで低下しました。しかしマウンテン氏は「このたびは否定的なレビューをありがとうございます。あなたのこの店での体験を自由に共有してください。二度とお目にかからないことを祈っています」と反論しています。
一方でFYREに対しては「以前行ったことがある」という人々がFYREを非難しており、「ヴィーガンに対して野菜を調理できないシェフは本当にシェフと呼べるのでしょうか」「スタッフの態度が悪く、料理の味は一定の基準に達していません」といった意見や「この店で鶏肉を食べたあと気分が悪くなりました。おそらく調理は適切でしたが、食材の保管状況が悪い可能性があります」との真偽不明の批判も寄せられています。
このような意見を受けてマウンテン氏は「ヴィーガンを入店拒否する投稿をしたことは後悔していませんが、否定的なレビューで私のビジネスに損害を与える人に対しては怒りを覚えます」と述べています。
また、マウンテン氏の投稿とその後のレビュー爆撃の報道が広まると、マウンテン氏を支持する大勢のユーザーが肯定的なレビューを送信しました。海外メディアのFortuneによると、一度星2.8まで低下したFYREのGoogle評価は多数の肯定的なレビューを受けて星4.5に急上昇したとのこと。寄せられた意見には「FYREの料理は完成度が高く、価格も品質に見合ったものです」「FYREの料理が大好きです!スタッフの質も非常に良く、肉を食べたい人にはこのレストランを強くお勧めします。ヴィーガンのような劣ったダイエットをする人はFYREを訪れる必要はありません」などが記されています。
こうした支援もあって、マウンテン氏の店の経営は劇的に回復したとのこと。マウンテン氏は「物事がとんでもなくうまくいっています。いつもは、この美しいレストランに6人ほどのお客様しかいないのに、この前の夜には35人からディナーの予約が入りました。ヴィーガンの皆さんには本当に感謝しています。これで私は新しい牧場を買って、動物たちに素晴らしいお世話をすることができます」と話しました。
一方で、活動家のタッシュ・ピーターソン氏は「マウンテン氏がヴィーガン女性からの正当な苦情に腹を立てて、ヴィーガン全体を差別することは決して許される行為ではありません。このシェフの行動はイスラム教徒や女性を差別する人と何も変わらないと思います。これは露骨な差別の一種です」と強く批判しています。
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