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一年中温度を一定に保つ地下温室「ワリピニ温室」の仕組み


断熱性に優れた温室で作物を栽培し、厳しい冬や乾燥した夏による作物への影響を減らす「ワリピニ」という伝統的な温室があります。この温室に魅せられた園芸家のライアン氏が実際にワリピニを建築し、ワリピニの利点や育てるべき作物、かかった費用について解説しました。

Sunken Greenhouse: The Solution To Plant Year Round - The Tiny Life
https://thetinylife.com/sunken-greenhouse/

ライアン氏はもともと趣味で家庭菜園に熱中していましたが、天候に左右される現状にやきもきし、1年中好きに使えるワリピニの話を聞いて実際に試してみたいと考えたそうです。


ワリピニが通常の温室と大きく異なるのは、床を掘り下げた「竪穴式」のデザインになっていること。作物を植える地面が周囲の地盤より低く、熱気と冷気の両方が保持されるような設計になっており、これにより室内の温度が一定に保たれます。


従来の温室は四方をガラスの壁で囲み、屋根もガラスで作られています。この温室は早く暖まることはできても、長時間にわたって温度を維持することはできません。

一方で竪穴式温室は、太陽光を取り入れるための開放壁と、熱エネルギーを遮断するための土留め壁を有しています。さらに「コールドシンク」と呼ばれる一段低い穴も併設されており、冷たい空気はここに沈み、暖かい空気は上昇します。壁が地中の熱を遮断することに加え、広く傾斜した屋根で太陽光を取り込むことにより、たとえ地上の寒さが厳しくても地中で農作物を温かく育てることができるようになっています。


ワリピニの最大のメリットは室温を維持できることにありますが、それ以外にも風雨をしのいだり、地面の傾斜を無視できたり、虫を寄せ付けなかったりするといったメリットもあります。

そんなワリピニで育てるのにおすすめな作物は地域によりけりですが、夏はキュウリ・なす・オクラ・トマト・カボチャ・メロンなど。夏は湿気が多くなるため、適切に換気したり、散水・排水システムを整えたりすることが大事。室温が維持されているか確認するのも、日差しの多い夏の間にするのが重要だとライアン氏は助言しています。

秋におすすめの作物はベビーキャロット・レタス・じゃがいも・ビーツ・芽キャベツ・カブなど。秋は日差しが弱まるので、作物に日光が当たる位置を考慮する必要があります。


冬はブロッコリー・カリフラワー・キャベツ・ケール・ルッコラ・ニンニクなどがおすすめ。寒い地域に住んでいる人は、室内に土のうやレンガなどを敷き詰めて、断熱することも効果的です。

春のおすすめはタマネギ・ネギ・フダンソウ・ラディッシュ・ほうれん草・スイートコーンなど。春は新しいシーズンに向けてすべてを整えるのに最適な季節でもあります。春先にプランターや花壇を設置し、雑草や資材、ゴミを取り除き、植物を剪定するのも大事。

建築にかかる費用としては、土だけの原始的なワラピニなら200ドル(約2万6000円)から300ドル(約3万9000円)、全面ガラス張りでポリカーボネート製の屋根などを乗せた高価なものなら1万5000ドル(約200万円)から2万ドル(約260万円)ほどだとのこと。ライアン氏は建築の大まかな手順や各種資料も用意しているので、気になった人は確認してみてください。

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in Posted by log1p_kr

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