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ジョブズがGoogle幹部に「Appleのブラウザ開発チームを引き抜こうとするな」と怒りの電話をかけた記録


テクノロジー企業の内部メールを複数公開しているウェブサイト「Internal Tech Emails」が「スティーブ・ジョブズがGoogleの幹部に怒りの電話をかけた際のGoogle社内メール」を公開しました。メールの内容からはGoogleによるApple社員の引き抜きに対するジョブズの怒りやGoogle幹部の慌てる様子が読み取れます。

Sergey Brin: "Irate call from Steve Jobs"
https://www.techemails.com/p/sergey-brin-irate-call-from-steve-jobs

Internal Tech Emailsが公開したのは、Googleの共同創業者であるセルゲイ・ブリン氏やラリー・ペイジ氏、2015年までエンジニアリング担当上級副社長を務めていたアラン・ユースタス氏らが交わした一連のメールです。一連のメールは2005年2月13日にジョブズ氏がブリン氏に「GoogleがApple社員を引き抜こうとしているのではないか」と問い合わせたことに端を発しています。メールの内容は以下の通り。

日時:2005年2月13日1時6分
送信者:セルゲイ・ブリン
件名:スティーブ・ジョブズからの怒りの電話
本文:
今日、スティーブ・ジョブズから電話がありました。彼は「GoogleがSafariの開発チームを引き抜こうとしている」という件に激しく怒っていました。彼は、Googleがブラウザを開発していたSafariの開発チームを引き抜こうとしていると確信しているようでした。彼の言動は脅迫のようでしたが、私はそれを悪く言うつもりはありません。

とにかく、私は「Googleはブラウザを開発していない」「私の知る限り、Googleが組織的にSafariの開発チームを引き抜こうとしている事実はない」ということをジョブズ氏に伝えました。さらに、AppleとSafariに関する採用戦略について確認すると伝えたところ、彼は落ち着いたようでした。


Mozilla出身の開発者がGoogleで働いていることも伝えました。ただし、Firefoxの拡張版をリリース予定であることは伝えていません。(リリースすることになるかどうか分かりませんし)

また、ブラウザに詳しいApple出身開発者を最近雇用したこともジョブズ氏に伝えました。彼は「自発的にGoogleに来た人を雇うことは問題ないが、組織的な引き抜き活動に怒っているのだ」と言っていました。

というわけで、Appleからの引き抜き活動について知っていることを共有してください。

それと、もう1つ。FirefoxとSafariの両方を持つことはバカげているように感じます。FirefoxとSafariの双方を活用できる統一戦略があるのではないでしょうか。確かに、FirefoxとSafariを合わせればウェブ全体に影響を与えるシェアを獲得できます。


日時:2005年2月13日16時16分
送信者:アラン・ユースタス
件名:Re:スティーブ・ジョブズからの怒りの電話
本文:
ベンと私は、2カ月間にわたってSafari開発チームの○○氏を雇用するために働いてきました。彼のブラウザ開発技術は世界トップクラスです。Mozillaも彼を雇用しようとしています。先週ようやく話し合いのスケジュールを調節できました。彼とは月曜日に会談予定なので、オファー次第では引き抜ける可能性が高いです。彼はInternet Explorerに代わるブラウザの登場を気にかけてるようでした。彼以外にSafari開発チームとの連絡は行っていないはずですが、確認してみます。彼がGoogleに来ないとしても、他の才能ある人がGoogleに来る可能性が高いことも知っています。



日時:2005年2月17日10時31分
送信者:ウィリアム・キャンベル
件名:スティーブ・ジョブズ
本文:
やあセルゲイ。スティーブからまた電話がありました。彼はGoogleがブラウザ開発者を引き抜こうとしていることに怒っています。彼に電話した方がいいです。

日時:2005年2月17日10時42分
送信者:ラリー・ペイジ
件名:Fwd:スティーブ・ジョブズ
本文:
ジョブズ氏が数分前に電話してきて、私と話すように求めてきました。候補者はどこにいますか?

日時:2005年2月17日10時45分
送信者:ラリー・ペイジ
件名:Re:スティーブ・ジョブズ
本文:
セルゲイが今からジョブズ氏と電話します。


日時:2005年2月17日12時20分
送信者:セルゲイ・ブリン
件名:Re:FW:[Fwd:Re:スティーブ・ジョブズからの怒りの電話]
本文:
今日もジョブズ氏から怒りの電話がかかってきました。ジョブズ氏が怒っているからといって私たちの採用戦略を変更するべきではありませんが、一応共有しておきます。要約すると、彼は「Appleの開発者を1人でも引き抜いたら、それは戦争を意味する」と話していました。私は「結果は約束できませんが、経営陣と話し合います」と伝えました。また、彼に「Googleが引き抜きオファーを撤回することを望んでいるか」を尋ねたところ、答えは「イエス」でした。

提示された情報をもう一度確認すると、ジョブズ氏はチーム全体について話していて、単一の従業員については話していないように思われます。つまり、妥協案は○○氏の雇用作戦は継続し、Appleの許可がない限り他の従業員にはオファーを出さないことです。

いずれにしても、Appleと話し合いの機会を持つまでは、新たなApple従業員に連絡を取ることはやめておきましょう。


上記のメールをまとめると、Googleは2005年頃にAppleからブラウザ開発者の引き抜きを検討していたものの、ジョブズ氏からの怒りの電話を受けて引き抜き計画を縮小したようです。なお、メールが交わされた3年後の2008年にはGoogle製ブラウザ「Chrome」が発表されており、Chromeは記事作成時点ではシェア1位のブラウザとなっています。

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in ソフトウェア, Posted by log1o_hf

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