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Cloudflareが嫌がらせ特化型掲示板「Kiwi Farms」をブロック、LGBT差別が人命の危機に発展することを考慮

by Web Summit

ホスティングサービス大手のCloudFlareが2022年9月4日に、オンライン上の人物やコミュニティに関する議論や嫌がらせを目的としたアメリカのインターネットフォーラムであるKiwi Farmsをブロックし、セキュリティサービスの提供を打ち切ったと発表しました。ブロックの背景には、トランスジェンダー差別をめぐるインターネット上での議論の過熱があると報じられています。

Blocking Kiwifarms
https://blog.cloudflare.com/kiwifarms-blocked/

Kiwi Farms: Anti-trans stalkers chasing Keffals around the world
https://www.nbcnews.com/tech/internet/cloudflare-kiwi-farms-keffals-anti-trans-rcna44834

Citing imminent danger Cloudflare drops hate site Kiwi Farms | AP News
https://apnews.com/article/technology-gay-rights-7d64f7b71736e091a4b5d1b3935551b5

Cloudflare reverses decision and drops trans trolling website Kiwi Farms | Internet | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2022/sep/04/cloudflare-reverses-decision-and-drops-trans-trolling-website-kiwi-farms

CloudFlareのマシュー・プリンスCEOは発表の中で、「この48時間でKiwi Farms上の脅威がこれ以上ないほど高まっており、私たちは法執行機関と積極的に協力してきましたが、もはや法執行機関の行動を待つことができないほど差し迫った緊急事態となりました」と述べて、Kiwi Farmsにまつわる問題の高まりが今回のブロックの理由だと説明しました。

We just blocked Kiwifarms. The threats on the site escalated enough in the last 48 hours that, in spite of proactively working with law enforcement, it became enough of an imminent emergency we could no longer wait for them to act. Details of our decision: https://t.co/xNnSXn65R6

— Matthew Prince ???? (@eastdakota)


Kiwi Farmsは、2013年2月から9年以上に渡って運営されてきた老舗のオンラインフォーラムですが、ターゲットを自殺に追い込むことを目的とした徹底的な嫌がらせなどの問題で知られており、これまで3人の自殺者を出したと報告されています。主なターゲットの1つはトランスジェンダーで、2018年には交通事故の治療費としてクラウドファンディングした資金を性転換手術に使った疑惑によりターゲットになったゲーム開発者が焼身自殺する事件が発生しました。

記事作成時点でも、Keffalsという名前で活動しているカナダのTwitch配信者でトランスジェンダー活動家のクララ・ソレンティ氏がターゲットとなっており、ソレンティ氏は2022年8月5日に同氏の名前をかたった銃乱射予告で警察に通報される、いわゆるスワッティングの被害を受けたとのこと。その後も、Uberアカウントがハッキングされて食事が送りつけられるなどの嫌がらせを受けたソレンティ氏はカナダ国外へと住所を移しましたが、転居先がさらされたことでそこでもスワッティング被害を受けました。

by Oregon Department of Transportation

こうした被害から、ソレンティ氏と同氏の支援者はTwitterで「#DropKiwiFarms(Kiwi Farmsを落とそう)」「#CloudflareProtectsTerrorists(Cloudflareはテロリストを擁護している)」といったタグを使った運動を展開するなどして、CloudFlareに圧力をかけていました。

プリンスCEOは、CloudFlareがKiwi Farmsをブロックした直接の理由を明かしていませんが、公式ブログでKiwi Farmsの停止を目的とした圧力キャンペーンが8月中旬頃から開始されていたことや、圧力がCloudflareだけでなくCloudflareを利用しているプロバイダーなどにも及んだことを明かしました。


ただし、この圧力キャンペーンが今回のブロックの直接的な理由ではないとプリンスCEOは強調しています。プリンスCEOは圧力キャンペーンの理念には共感しているとした上で、「私たちはセキュリティプロバイダーとして、たとえ世論やモラルに深く反していたとしても、お客様を保護することに全力を尽くします」と述べて、Kiwi FarmsをDDoS攻撃などのサイバー攻撃から守ってきたと述べました。

しかし、圧力キャンペーンがエスカレートし、これに対抗するようにKiwi Farmsでの投稿が急速に過激化したことを受けて、CloudFlareはもはや法執行機関の対応を待つことはできないとして、Kiwi Farmsへのセキュリティサービス提供を打ち切りました。

これにより、Kiwi Farmsは一時アクセスできない状態になりましたが、記事作成時点ではKiwiFarms.ruとして復活しています。ただし、セキュリティサービスはCloudFlareではなくロシアのDDoS対策サービスであるDDoS-Guardが利用されています。


プリンスCEOは、「私たちは今後も警察当局と積極的に協力し、Kiwi Farmsおよび違法と思われるコンテンツを投稿した個人に関する捜査に協力していきます。Kiwi Farmsをブロックしたことで一時的に事態は収拾しましたが、根本的な問題解決には至っていないことを認識しています」と述べて、引き続きインターネット上での過激な言論の危険性が高い状態が続いているとの見方を示しました。

またソレンティ氏は、CloudFlareがKiwi Farmsへのサービスを打ち切ったこと歓迎するとした上で、Kiwi Farmsをホスティングしているプロバイダーへの圧力キャンペーンを継続していくとの声明を発表しました。

Our statement on Cloudflare dropping Kiwi Farms. pic.twitter.com/PrjtnfPLuX

— keffals #DropKiwifarms (@keffals)

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in ネットサービス,   セキュリティ, Posted by log1l_ks

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