仮想通貨の少額利用を非課税として日常利用を促進する法案
「仮想通貨は日常生活の一部になる可能性があるが、現在の税制がそれを阻んでいる」として、日常的な買い物における仮想通貨の使用を簡素化するため、「Virtual Currency Tax Fairness Act(仮想通貨課税公正法)」法案がアメリカ上院に提出されました。
Toomey and Sinema Introduce Bipartisan Legislation to Simplify Use of Digital Assets for Everyday Purchases | United States Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs
https://www.banking.senate.gov/newsroom/minority/toomey-and-sinema-introduce-bipartisan-legislation-to-simplify-use-of-digital-assets-for-everyday-purchases
Bipartisan Bill Seeks to Eliminate Taxes on Crypto Transactions Under $50 - Decrypt
https://decrypt.co/106006/bipartisan-bill-seeks-to-eliminate-taxes-on-crypto-transactions-under-50
法案を提出したのは上院銀行委員会メンバーのパット・トゥーミー上院議員(共和党)とキルステン・シネマ上院議員(民主党)。
トゥーミー議員によると、仮想通貨課税公正法は「コーヒーを買うような小さな個人取引を非課税にすることで、アメリカ人がより簡単に仮想通貨を日常の支払い方法として使えるようにするもの」だとのこと。
現行法の下では、仮想通貨を使うたびに課税対象となる事象が発生します。前述の例だと、ある個人が仮想通貨でコーヒーを買った場合、仮想通貨の価値が高まると、取引からキャピタルゲインを得ることができます。
法案は、50ドル(約6900円)未満の個人取引を行った場合、および個人取引において50ドル未満の利益が出る場合を対象に課税を免除することで、日常の中の取引での仮想通貨利用を簡素化するものです。
免除の仕組みを利用して脱税しようとする悪質業者への対抗策として、法案には「同一取引の一部またはすべての販売または両替」を「1件の販売または両替」として扱う集計ルールが盛り込まれています。
なお、この法案は2022年2月にスーザン・デルベネ下院議員(民主党)、デビッド・シュヴァイケルト下院議員(共和党)らが提出した法案の改訂版です。デルベネ議員とシュヴァイケルト議員は2020年1月にも同名法案を提出していますが、その際は採択されなかったとのこと。
ちなみに、上院議会ではシンシア・ルミス上院議員(共和党)とカーステン・ギリブランド上院議員(民主党)が提出した「Responsible Financial Innovation Act(責任金融革新法)」という法案が審議中。この法案も仮想通貨に関するもので「仮想通貨取引による200ドル(約2万7000円)以下の利益について、内国歳入庁へ情報を提供する義務をなくす」という内容です。同時に、仮想通貨に関連する監督権限を内国歳入庁ではなく証券取引委員会に付与するようなものになっているとのこと。ただし、仮想通貨情報を扱うニュースサイトのDecryptによれば、可決の見込みは薄いそうです。
Senate Bill Would End SEC's Oversight of Most Crypto, Create $200 Tax Exemption - Decrypt
https://decrypt.co/102180/lummis-gillibrand-bill
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