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新型コロナ後遺症に苦しむ患者が最後の希望で「血液浄化療法」にすがるも効果はなくただ財産を失っただけという報告


新型コロナウイルスに感染した後、2カ月以上にわたってけん怠感や頭痛、息切れなどの(PDFファイル)罹患(りかん)後症状(新型コロナ後遺症)に苦しむケースがあり、この新型コロナ後遺症を完全に治癒する方法は記事作成時点で確立されていません。海外では新型コロナ後遺症に苦しむあまり、根拠のない高額な血液浄化治療に手を出して財産を失う人が出ていると報告されています。

Long covid patients travel abroad for expensive and experimental “blood washing” | The BMJ
https://www.bmj.com/content/378/bmj.o1671

People With Long COVID Are Traveling Overseas For Expensive 'Bloodwashing' Treatments
https://www.sciencealert.com/people-with-long-covid-pour-life-savings-into-bloodwashing-procedure

新型コロナウイルス感染症の発症後3カ月以上、あるいは新型コロナウイルス感染症から回復して2カ月以上、他の病気では説明できない症状が継続した場合、Long COVID(新型コロナ後遺症)と見なされるとのこと、新型コロナ後遺症の原因はまだわかっていませんが、一説によると、微小な血栓で血管の塞栓(そくせん)が起き、体内の血流や酸素の移動が妨げられることによって引き起こされると考えられています。


そこで、新型コロナ後遺症の治療法として「アフェレーシス」を行う医療機関がドイツやスイス、トルコなどで登場しているとのこと。アフェレーシスとは血液の血球と水溶性水分を分離する処理のことで、治療としては血漿交換や血球除去など、血液浄化をうたう療法が行われます。ただし、アフェレーシスが新型コロナ後遺症に効果があるというエビデンスはなく、専門家による査読を経た研究は発表されていません。

British Medical Journalによると、オランダ在住のある女性患者は2020年11月に新型コロナウイルスに感染してから、台所まで歩くのに2時間もかかってしまうほどのけん怠感を症状として訴えています。また、動悸(どうき)、息切れ、胸痛を訴えており、どれも新型コロナ後遺症の症状として典型的なものです。


女性は復職を2度試みましたが、最終的に2021年11月に辞職しました。女性は同様に新型コロナウイルスの後遺症に苦しむFacebookグループに参加して情報交換を行い、2022年3月にキプロスの医療機関を訪ねたそうです。

女性はキプロスの近くにアパートを借り、1回約1685ユーロ(約23万5000円)のアフェレーシス療法を2カ月間にわたって6回受けました。さらに高圧室で酸素を吸う高気圧酸素療法やビタミン剤の点滴や注射も行いました。しかし、そのどれも何の効果もなかったとのこと。結果として、女性患者はほぼ全財産を使い果たしてしまったそうです。


リーズ大学医学部で血管生物学を研究するロバート・アリエンス教授は「新型コロナウイルスによる血栓がどのように形成されるのかはまだはっきりとわかっておらず、アフェレーシスが微小血栓の再発を防止するかどうかも不明です。確かに微小血栓は病気のバイオマーカーになりえますが、それが原因だとどうしてわかるのでしょうか?アフェレーシスや抗凝固療法にはリスクがないわけではありません」と述べ、アフェレーシスを効果的と主張する医療機関に疑問を示しています。

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in メモ,   サイエンス, Posted by log1i_yk

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