太陽に照らされた熱々のコンクリートに卵を落とすと果たして目玉焼きは焼けるのか?


3月に入って季節が春になっても日本はまだ寒い日が続きますが、南半球のオーストラリアは日本と季節が逆になるので、3月は晩夏から初秋といったところ。それでも近年の気候変動もあってか、気温が40度を超えることも多いそうです。そんな真夏日の太陽に照りつけられてジリジリと焼けたコンクリートに卵を落とすと目玉焼きが焼けるかどうかについて、モナッシュ大学理学部副学部長のクリス・トンプソン氏が解説しています。

Sunny side up: can you really fry an egg on the footpath on a hot day?
https://theconversation.com/sunny-side-up-can-you-really-fry-an-egg-on-the-footpath-on-a-hot-day-172616

卵は殻とカラザ、卵白と卵黄で構成されています。可食部は卵白と卵黄ですが、この2つの成分は大きく異なります。卵の質量のおよそ3分の2を占める卵白は90%が水分で、残りはタンパク質でできています。これに対して、卵黄の質量のおよそ半分が水、4分の1が脂肪、6分の1がタンパク質、残りが炭水化物でできています。

卵白と卵黄に大きく共通しているのが水とタンパク質です。以下の図は卵白に含まれるタンパク質の立体構造で、クリックするとGIFアニメーションで全体像を見ることができます。リボンのように見えるのはアミノ酸がつながってできたポリペプチドが折り畳まれて立体的な構造をとった高分子鎖で、この高分子鎖がさらに集合して立体構造(四次構造)を取り、その構造によってタンパク質はさまざまな働きをするというわけです。この卵白に含まれるタンパク質は水とよく混ざります。


しかし、タンパク質に熱が加わると、立体構造がほどけて変化してしまうため、性質も大きく変わります。卵白のタンパク質の場合は水と混ざらなくなり、凝固してしまいます。そのため、卵に熱を加えると固まってしまい、元に戻すことができなくなってしまいます。

変性する温度はタンパク質によって異なります。卵白を構成するタンパク質の場合は約60度で凝固しだし、約80度で完全に凝固しますが、卵黄は約65度で凝固するようになり、約70度で完全に凝固します。日本で作られる温泉玉子はこの微妙な温度差と温泉の熱を利用して、半分凝固した状態まで卵を熱することで作られます。


どれだけ真夏日が暑くても、コンクリートの温度が80度に達しなければ、卵白が固まらず、目玉焼きにするのは難しいものがあります。一般的に道路を舗装するコンクリートは黒色で、太陽の熱を吸収しやすくなってはいますが、それでも温度が目玉焼きを作れるほど熱されるためには日当たりや気温、素材などの条件がそろっていなければ不可能。さらにコンクリートは熱の伝導体としては金属に大きく劣るため、卵への熱の通りはフライパンよりもはるかに悪くなってしまいます。また、卵を落とすことでコンクリートの温度も下がってしまうという問題もあります。

このことから、トンプソン氏は「コンクリートで目玉焼きを焼こうとしても、がっかりするかもしれません。屋内のキッチンで焼く方がはるかに賢明です。屋内の方が卵は十分熱せられますし、あなたも涼しいところで調理できるからです」と論じています。

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in サイエンス,   , Posted by log1i_yk

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