レビュー

「マジック:ザ・ギャザリング」の生みの親が開発したローグライク系カードバトル「Roguebook」はぶっ壊れバランスのコンボを自力で生み出す戦略性の高さが肝


マジック:ザ・ギャザリング(MtG)のゲームデザイナーとして知られるリチャード・ガーフィールド氏が開発に携わったローグライク系カードバトルが「Roguebook」です。ランダム要素とシビアさを兼ね備えたローグライクとカードバトルを組み合わせた作品は「Slay the Spire」など多数登場していますが、その中でも複数キャラクターを操作するという点やカードに特殊能力を付与できるという点が特徴的とのことなので、実際にプレイしてみました。

Steam:Roguebook
https://store.steampowered.com/app/1076200/Roguebook/

ゲームをスタートすると、不思議な光を放つ一冊の本が登場。


登場するキャラクターは、この「Roguebook」という名前の奇妙な本に捕らわれてしまった……というストーリーです。


本の世界はこんな感じ。ヘクスと呼ばれる六角形のタイルで構成されたフィールドで、色の付いているタイルが自由に動ける範囲です。


フィールドに降り立った時点では動ける範囲はごくわずかで、この範囲を広げるためには「筆」「インク」という2種類のアイテムを使います。画面下部からマップ上の好きなタイルを1つ表示するという「きっちりインク」を使うと、以下のように着色されます。


さらに周辺2マスのタイルを表示する「筆」を使うと……


一発で広い範囲が表示されます。こんな感じでドンドン行ける範囲を増やしていくというのがRoguebookのフィールドパートです。


フィールドの中には「戦闘」「宝箱」などのオブジェクトが設置されており、クリックで起動します。今回は「ノーマル戦闘」に突入してみます。


戦闘画面はこんな感じで、中央左側に自軍、中央右側に敵、下側が手札という構図。


各手札の左上にはコストが書かれており……


このコストを支払うことで、エネルギーがゼロになるまでカードをプレイできます。エネルギーの左上に描かれているのは、デッキの残り枚数です。


戦闘の基本的な流れは、こちらのターンで攻撃や防御のカードで敵のHPを削ったりガードを獲得したりしておきます。そしてターンエンドをクリックすることで敵のターンに突入し、敵のターンではそれぞれの敵が予定されている行動をしてくる……というもの。敵の行動は、頭上に表示されているバルーンで大まかにわかるほか、バルーンにカーソルを合わせることで詳細をチェックすることもできます。


このとき重要になるのが、自軍には「前衛/後衛」があるという点。コストの周りをグルッと取り囲むように矢印が2つ描かれているカードをプレイすると……


以下のようにキャラクターの前後がクルッと入れ替わります。Roguebookの自軍は原則2人で、キャラクターごとにHPが別個に設定されているという扱い。敵の攻撃は、貫通攻撃などの例外を除いて前衛のキャラクターが全て引き受けます。


このあたりの流れがわかりやすい序盤の戦闘はこんな感じ。

ローグライク×カードバトルな「Roguebook」の序盤の戦闘はこんな感じ - YouTube


一方のキャラクターが倒されてしまった場合、デッキに「傷」という何の効果もなく使用すらできないお邪魔カードが追加されます。倒されてしまったキャラクターは戦闘終了後に低HPで復活し、キャラクター2人が戦闘中に同時に倒れた状態にならない限りはゲームオーバーになりませんが、「傷」がデッキを圧迫するので、その後の戦闘が徐々にしんどくなるというシステム。Actごとに存在するボスを倒せば「傷」はデッキから除去されますが、大量の「傷」を抱えた状態でボスを討伐するというのは至難の業。


カードは各キャラクター専用のカードがごちゃ混ぜでデッキに入っており、使用すると対応するキャラクターがアクションを実行するというシステム。効果も非常に幅広く、前衛に出ると同時に攻撃して敵が倒れた場合にはHPを回復するという「魂の吸収」や……


全ての敵にダメージを与え、攻撃が当たった敵の数だけブロックを獲得する「旋風」


ボスまたはエリート敵の戦闘に勝利するためにダメージが永続的に増加する全体攻撃「撃ち合い」


被ダメージを2倍にする「クリティカルヒット」のデバフを敵に与える「見張りの望遠鏡」など、単純なダメージ/ガード系カード以外にもドロー/エネルギー増加/バフ/デバフ系カードが幅広く揃っており、「マジック:ザ・ギャザリング」のデザイナーとして知られるリチャード・ガーフィールド氏が開発に参加しているとだけあって、想像できる効果はだいたい存在するという感じ。


そしてカードに関する本作最大の特徴が「ジェム」というアイテムで強化できるという点。フィールドで表示できるデッキ画面では、所有しているジェムとカードにはめ込んで、ジェムの効果をカードに付与することができます。


レア度の低いジェムは「ダメージを3増加させる」「ブロックを4増加させる」など効果がそこまで高くありませんが、レア度の高いジェムは「ドローするたびにコストが1減る」「使用すると戦闘終了時まで使えなくなるが、敵を倒した場合には攻撃力を1永続的に増加させる」「使っても次のターンの開始時に手札に戻ってくる」など超強力な効果を秘めたものも。


ジェムをはめ込めるソケットの数はカードごとに毎回ランダムで設定されるので、強力効果のジェムを2個ブッ刺してバランス崩壊級のカードが誕生することも。以下は「ドローするたびにコストが1減る」「使っても次のターンの開始時に手札に戻ってくる」というジェムを刺した単体攻撃の「ぺちゃんこ」をイベントで2枚に増やしたデッキを使っています。高火力のぺちゃんこがジェムの効果で0コスト&次のターンで手札に舞い戻ってくるという、完全に「もうこれだけでいいんじゃないかな」という状態。

ローグライク×カードバトル「Roguebook」は合成によってバランス崩壊級カードを作成できる - YouTube


ジェムのほかにも、「財宝」という装備品的なアイテムも存在します。財宝の効果も、「ターンを終了しても使用しなかったエネルギーが保存される」「毎ターン最初の攻撃はダメージが2倍になる」「カードを1枚引くたびに1ブロックを獲得する」など非常に多様。


ジェムと財宝を組み合わせることでコンボの威力が倍増するケースも。実際にプレイの中で出くわしたのは、エネルギーを増加させる効果を持つ「闘志」というバフをひたすら稼げるカード×ターン終了時に「闘志」の値に応じたブロックを獲得する財宝という組み合わせや、戦闘終了時まで指定したカードのコストを減らせるカード×ドロー枚数を増やせる財宝などの組み合わせがありました。


そうなると「ぶっ壊れコンボが作れるなら楽勝なのでは?」と考えてしまいますが、「そもそも壊れバランスのコンボを作り上げることが前提のバランス」という印象。基本の防御カードが「1コスト8ブロック」にもかかわらず雑魚敵ですら「20ダメージ×2」くらいの攻撃をバンバン繰り出してくるので、そもそも何らかのバランスブレイカーなコンボを作り上げないとボスにたどり着くことすら困難。そして雑魚敵が強いので、ぶっ壊れコンボ用に取っておきたいジェムがあったとしても、すぐに使わないという全滅するという状況に追い込まれ、「ほどほどの強さのコンボ」で妥協せざるを得ないという流れになりがち。


そうした流れの中で出てくるのが「限られたリソースの中でできる限り強いコンボを開発する」という楽しさです。ジェムも財宝も種類が多いので、「これとこれを組み合わせるとメチャクチャ強い」というのがわかっていたとしても全てのピースが揃う状況にはまずなりません。なので、戦闘バランス自体は「順当にやっていると負ける」という大味なところがありますが、自分の持っている知識と今置かれている状況を組み合わせて新しいコンボを生み出して苦境を打破するというクリエイティブな楽しさがあります。


フィールドには戦闘以外にもお金でアイテムを購入できるショップやお金でカードを買える宝箱、ランダムイベントを発生させるタイルなどが隠されており、「プレイするたびに展開が変わる」というローグライク要素はかなり強め。緻密な計算が生み出すギリギリのスリルよりも、頭の中で「これとこれを組み合わせると強いのでは……?」というのを考えるのが楽しいという人にオススメです。


そのほかにも、プレイ中に獲得したリソースで回復剤の出現確率を増やしたりゴールドの獲得量を増やしたりできる「強くてニューゲーム」な要素もあるので、つい繰り返しプレイしたくなる時間泥棒なゲームでした。


「Roguebook」はSteamで税込2570円で販売中。なお、記事掲載時点では2021年1月6日までスペシャルプロモーション中とのことで、35%オフの1670円で購入可能となっていました。

Steam で 35% オフ:Roguebook
https://store.steampowered.com/app/1076200/Roguebook/

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in レビュー,   動画,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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