セキュリティ

アメリカ政府による大規模監視を暴いた機密資料「スノーデン文書」はどうなったのか?


2013年、アメリカ中央情報局(CIA)の元職員で、国家安全保障局(NSA)の契約職員だったエドワード・スノーデン氏が記者に託した機密文書(スノーデン文書)によって、政府による大規模な通信監視の実態が明らかになりました。告発から13年を経た2026年9月、デジタル監視に対抗するための調査やツール開発を行う団体「Libroot」が、報道機関に渡った膨大な文書の公開と保管の経緯を調べています。

What happened to the Snowden archive - Libroot.org
https://libroot.org/posts/what-happened-to-the-snowden-archive


スノーデン氏がNSAから持ち出した文書には、NSAが発信元と着信先の電話番号、通話の日時や通話時間を収集する仕組みや、電子メールやチャットの内容を収集する監視プログラム「PRISM」などの詳細が記されていました。

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スノーデン氏は文書を自らインターネットに一括公開するのではなく、ジャーナリストのグレン・グリーンウォルド氏や映画監督のローラ・ポイトラス氏らに託しました。グリーンウォルド氏がX(旧Twitter)に投稿した声明によると、スノーデン氏は記者と編集者が文書を精査し、公開によって人の名誉を傷つけたり私的な情報をさらしたり安全を脅かしたりしないよう配慮した上で、社会に知らせる意義のある文書だけを選んで公開するよう求めていたとのこと。


スノーデン文書の一部はThe Guardian・The Washington Post・The New York Times・ProPublica・Der Spiegelなどの報道機関にも渡り、各社の報道につながりました。このうちThe New York TimesとProPublicaはThe Guardianから文書の提供を受けたとのこと。The Guardianは2013年にイギリス政府の要請で文書を保存していたコンピューターを破壊しましたが、コピーはアメリカにも残されていました。


Librootが公開記録を調べたところ、The Guardianによる新たなスノーデン文書の公開は2014年2月、The Washington Postは2014年7月、Der Spiegelは2015年1月、The New York TimesとProPublicaは2015年8月で途絶えていました。また、その後も文書の公開を続けていたニュースサイトのThe Interceptも、2019年3月に未公開分を含むスノーデン文書を保管・調査するアーカイブでの作業を終了すると発表し、同年5月29日にNSAの内部ニュースレター「SIDtoday」をまとめて公開。Librootは、この日を最後に新たなスノーデン文書の公開が止まっていると指摘しました。


The Guardianでスノーデン文書の報道に携わった元記者のイーウェン・マカスキル氏は、2023年のインタビューで、スノーデン文書を公開しなくなった理由について、記事の読者数が次第に減り、関心が薄れていったためだと説明しています。また、スノーデン文書には専門用語やコードネームが多く、一般の読者には理解しにくいものもあったとのこと。

また、アーカイブ閉鎖当時にThe Interceptを運営していたFirst Look Mediaは、グリーンウォルド氏とポイトラス氏が管理するスノーデン文書を両氏との合意に基づいて利用していました。同社はアーカイブ閉鎖について「ほかの報道に力を注ぐため」だと説明。The Interceptの共同創設者であるグリーンウォルド氏は2019年のX(旧Twitter)投稿で、予算の制約に加えて文書の公開を引き継ぐ大学や研究機関を探したいという自身の考えも作業終了の判断につながったと述べています。


一方、同じくThe Interceptの共同創設者であるポイトラス氏は、スタッフの削減によって文書の安全な保管に支障が出ると反対していました。グリーンウォルド氏は2021年の取材で、ポイトラス氏と当時の編集長ベッツィー・リード氏が、人員削減後も文書の安全を守れるかどうかをめぐって対立したことも閉鎖の原因だったと説明しています。

アーカイブが閉鎖された後、The Interceptが保管していたスノーデン文書そのものがどうなったかは明らかになっていません。Der Spiegelなどでスノーデン文書の分析や報道に携わったジェイコブ・アッペルバウム氏は、2023年のインタビューで、「The Interceptがコピーを破棄した」と内部関係者から聞いたと述べました。ただし、これは匿名の情報源に基づく証言で、破棄が確認されたわけではありません。同年、Computer Weeklyがスノーデン文書を保有しているか尋ねた際も、The Interceptの広報担当者は「機密の取材資料についてはコメントしない」と回答しています。

その一方で、グリーンウォルド氏は2019年のX(旧Twitter)投稿で、自分とポイトラス氏はそれぞれスノーデン文書の完全なコピーを持っていると説明していました。また、マカスキル氏は2023年のインタビューで、自分の知る限りではThe New York Timesのオフィスにもスノーデン文書が保管されており、その文書についてはThe Guardianが責任を持っていると語っています。

また、The Washington Postでスノーデン文書の報道を担当したバートン・ゲルマン氏は、2020年にRedditで寄せられた質問に回答し、手元に残る未公開の文書は、技術や事務に関する細かな情報、既に報じた内容の補足、あるいは公開すべきでない作戦担当者の氏名などを扱ったものだと判断して報道をやめたと説明しました。文書はできる限り安全に保管し、簡単にはアクセスできないようにしているとのことです。

保管されている文書を研究機関に引き継ぐことにも難しさがありました。スノーデン氏は2019年のポッドキャストで、残るスノーデン文書を調べるには相当な手間がかかり、ニュース記事よりも書籍にまとめるのが向いていると説明。アメリカの大学は連邦政府の助成金に依存しているため受け入れに慎重で、海外の大学に文書を渡せば、アメリカ政府から機密情報を外国に渡したと非難される恐れがあると語っています。

なお、スノーデン文書そのものの新規公開が止まった後も、その内容に基づく新たな研究や報道は出ています。アッペルバウム氏は2022年の博士論文で、NSAによる通信傍受などについてそれまで報じられていなかった情報を記しました。

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Librootは2026年8月から9月にかけて、文書の保管状況や公開をやめた理由を確かめるために20を超える個人・組織に問い合わせました。しかし、返答があったのはThe Guardianの元弁護士と広報窓口の2件だけで、どちらからも質問への具体的な回答は得られなかったと報告しています。

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in セキュリティ, Posted by log1b_ok

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