生き物

なぜネコはゴロゴロ喉を鳴らすが「ほえない」のか?


ネコは「ゴロゴロ」と喉を鳴らすことで知られていますが、ネコだけでなくチーターやクーガーなどのネコ科も喉を鳴らします。それでは全てのネコ科が喉を鳴らすのかというと、ライオンやトラ、ジャガーは喉を鳴らすことができず、その代わりに「ほえる」能力を有しています。ネコ科に見られる「喉を鳴らす行為かほえる行為、どちらか一方しか出来ない」という特徴について、カーネギー自然史博物館で哺乳類専門学芸員を務めるジョン・ウィブル氏が解説しています。

Why can't house cats roar? | Live Science
https://www.livescience.com/why-house-cats-cannot-roar

ネコがリラックスしているときに喉をゴロゴロ鳴らすというのは有名ですが、チーターやクーガー、オオヤマネコなども喉をゴロゴロ鳴らすことで知られています。そして、これらのネコ科はほえません。

Cheetah Purring - A Cute Big Cat Videos Compilation - YouTube


一方、ライオンやトラ、ジャガーは喉を鳴らしませんが、ほえます。

Lions Roaring Compilation - YouTube


このようにネコ科において喉を鳴らす行為とほえる行為は排他的な関係にあります。ウィブル氏によると、ほえることができる種のほうが珍しく、ユキヒョウを例外とする大型のネコ科の代表格であるヒョウ属のみがほえ、その他のネコ科は喉を鳴らすとのこと。

ネコが口から発する音は、人間同様に肺から排出された空気が声帯を震わせることで生み出されています。喉を鳴らす行為とほえる行為が排他的な理由については未解明な点も存在しますが、ウィブル氏は舌骨と喉頭の2つが原因だと考えられると説明します。

ウィブル氏によると、あらゆる哺乳類は下顎骨の下方、舌根部と喉頭の間に舌骨と呼ばれる小骨を有しています。そしてほえられるネコ科においては舌骨を構成する一対の細長い弾性靭帯が特異的な配置になっており、低音を生み出せるほど声帯を下方に移動させられるそうです。

また、喉頭自体も喉を鳴らす種とほえる種では異なります。ほえる種では声帯を構成する組織がより長く、伸縮性に富み、強靱(きょうじん)で、肉厚かつ脂肪が多いとのこと。2011年に発表された論文では、ライオンとトラの声帯組織の生体力学的および形態学的データから発することのできる音の基本周波数を再現したところ、唸るような低音は出すことができるが喉を鳴らすことはできないと結論づけられています。


以上のようにネコ科の鳴き声が大型種と小型種で異なる理由は「何らかの進化上の利点があるのでは」とウィブル氏は推測していますが、ほえる行為が縄張りを守る際に用いられることが知られる一方、喉を鳴らす行為が野生環境でどのような意味を有しているのかについては明確な回答は存在していません。喉を鳴らす音が沈静効果を生み出すという説や外敵から子猫の鳴き声をごまかす際に使われるという説が存在しますが、ウィブル氏は「私が飼っているネコは私の知る限りでは満足のサインとして喉を鳴らします。しかし、それが喉を鳴らすことのできる野生のネコ科にも言えるかどうかはわかりません」とコメントしました。

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in 生き物, Posted by darkhorse_log

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