非常にシンプルな「陶器製浄水器」の仕組みと大量製造方法

発展途上国では衛生的で安全な水を確保することが困難な場所が多く、人々の健康が常に脅かされています。持続可能な「ローテク」のノウハウを調査・実験・共有する非営利組織「Low-tech Lab」が、手軽に安全な飲料水を確保できる「陶器製浄水器」の仕組みとその製造方法を公開しています。
Ceramic water filter - Low-tech Lab
https://wiki.lowtechlab.org/wiki/Filtre_%C3%A0_eau_c%C3%A9ramique/en
How to get safe drinking water for 20$ ? - Ceramic water filter - Tutorial - YouTube

陶器製浄水器は数百年前から利用されてきた、不衛生な水をろ過・浄化するためのシンプルなシステムです。汚れた水をフィルターの役目を担う多孔質の陶器製ポットに注ぐと、ゆっくりとポットを通過してろ過された水がにじみ出してくるので、別の容器で水を受けて集めます。確保された安全な水は保管することもできます。

陶器製浄水器による浄化能力は主に「機械的捕捉」と「吸着」という2つのメカニズムに基づいています。物理的ろ過については陶器製ポットを製造する際に、おがくずやもみ殻といった可燃性材料を適切なサイズに裁断して粘土に混ぜ込み焼成することで、フィルターに微細な孔が形成されます。陶器製ポットの孔が病原体や汚染物質をブロックすることにより安全な水を得ることができるというわけです。

さらに、オプションとしてコロイド性銀(コロイダルシルバー)を添加するとポット自体が強力な抗菌作用を発揮するようになります。コロイド性銀が持つ抗菌作用が病原体の細胞膜を破壊して死滅させるだけでなく、フィルター自体に細菌が繁殖する事態を防止するので陶器製浄水器の衛生状態を保つことができます。

今の陶器製浄水器の原型は1981年にグアテマラの中央アメリカ工業研究研究所(ICAITI)のフェルナンド・マサリエゴス博士によって開発されました。博士が陶器製浄水器を作った目的は、地域で安価に製造できるフィルターでバクテリアにより汚染された水を浄化し、最も貧しい人々にも安全に供給することでした。博士は陶器製浄水器に関する知識を無償譲渡し、NGO「Potters for Peace」と共に世界中の陶工に陶器製浄水器を地元で生産するための訓練を始め、2020年時点では世界の39か国で61の工場が博士が開発した製法により陶器製浄水器を製造しているとのこと。

陶器製浄水器の製造は以下のステップで半工業的規模で行われます。
1. 原材料の準備:粘土粉末・可燃性材料(おがくず・もみ殻など)・清潔な水を準備する
2. 原材料の混合:全ての材料を均一に混ぜ合わせ成形しやすいペースト状にする
3. 粘土の成形:粘土混合物をプレス機で加工しやすい立方体状に成形する
4. プレス加工:油圧プレス機を使い立方体をフィルターの形状に圧搾成形する
5. 表面仕上げと刻印:フィルターの縁を滑らかにし、製造日・バッチ番号・フィルター番号などを刻印する
6. 乾燥:焼成前に乾燥させ余分な水分を取り除く
7. 焼成:粘土をガラス化させ最終的な強度と多孔性を与える
8. 流量テスト:フィルターのろ過流量が適切かをテストし品質を保証する
9. コロイド性銀の塗布:必要に応じてフィルター表面にコロイド性銀を塗布する
10. 梱包:蛇口付きの貯水容器と共にフィルターを梱包する

作成に必要な材料・設備をまとめると以下の通りです。
・粘土:フィルターの主成分であり種類・粒子サイズがろ過性能に大きく影響する
・可燃性材料(おがくず・もみ殻など):焼成時に燃焼して微細な孔を形成し水の流れを促進する
・コロイド性銀:抗菌作用により病原体を殺菌しフィルターの衛生状態を維持する
・ミキサー:粘土・可燃性材料・水を混ぜる
・押出機:粘土混合物を成形用のブロック状に押し出す
・油圧プレス機:雄型と雌型で成形する
・乾燥棚:焼成前にフィルターを乾燥させる
・窯:焼成用
・流し台:流量試験を実施する

陶器製浄水器は使用方法・メンテナンス・交換に関する説明書と共に提供されます。貯水タンク・蛇口・蓋は定期的に清掃する必要があり、陶器フィルター本体は6ヶ月ごとに清掃しひび割れが見つかるか2~3年経過したら新品と交換が必要となります。
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