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ドメインに絵文字が入った絵文字メールアドレスが作成できる「Mailoji」はどのように作られたのか?


ウェブサイトのURLやメールアドレスに使用されるドメイン名に、絵文字を使用したものが絵文字ドメインで、「😄.ws」などが存在します。そんな絵文字ドメインを用いたメールアドレスを取得できるサービス「Mailoji」を作成したベン・ストークスさんが、カザフスタンから300以上の絵文字ドメインを購入して「Mailoji」を構築した過程を解説しています。

Mailoji: I bought 300 emoji domain names from Kazakhstan and built an email service | Tiny Projects
https://tinyprojects.dev/projects/mailoji

「Mailoji」の開発者であるストークスさんは、「netflix.soy」というドメイン名を購入した経験から、「😄.ws」のような絵文字ドメインに興味を持ち始めます。インターネット上で絵文字を見ずに1日を過ごすことはかなり難しいくらいに絵文字は広く普及していますが、絵文字ドメインを実際に目にすることはほとんどありません。そこで、ストークスさんは「絵文字ドメインを購入する」というアイデアを思いつきます。

ストークスさんは初め、1文字の絵文字ドメインを購入することをもくろみますが、すでに4つの異なるTLD(😄.wsでいう「.ws」の部分)で絵文字ドメインを取得できるウェブサイトが存在していたそうです。このウェブサイト上で販売されている絵文字ドメインのうち、「絵文字を1つだけ使用した絵文字ドメイン」はほとんどすべてが取得済みであったそうですが、「.ws」というTLDを使った「📮.ws」という絵文字ドメインが利用可能だったため、ストークスさんはこれを購入します。


購入した絵文字ドメイン「📮.ws」宛に送信されたすべてのメールを通常のメールアドレスに転送するように設定し、Googleの無料メールサービスであるGmailを使って「ben@📮.ws」宛にメールを送信しますが、このメールが受信トレイに届くことはなかったそうです。


これは絵文字ドメインがスパムと認定されてしまったためであったことが判明。そこでストークスさんは、「逆に通常のメールアドレス宛のメールを絵文字ドメインを用いたメールアドレス宛に転送することができるのでは?」と考えた模様。

そこで、まず「ben@📮.ws」宛に送信されたメールを「[email protected]」という絵文字ドメインを使用していないメールアドレスに転送し、このアドレスからストークスさんが普段使用しているメールアドレス宛にメールを再び転送するという実験を行います。

この実験は成功し、「ben@📮.ws」宛に送信されたメールを通常のメールアドレスに転送することに成功。


続けて、絵文字ドメインについて調べたストークスさんは、世界でわずか13のTLDのみが絵文字ドメインの登録を受け入れていることを知ります。絵文字ドメインの登録を行っているのは、「.cf」「.ga」「.gq」「.la」「.ml」「.tk」「.st」「.fm」「.to」「.je」「.gg」「.kz」「.ws」の13個のみ。ただし、ストークスさんが絵文字ドメインを購入したサイトでは「.fm」「.ws」「.to」「.ml」という4つのTLDしか表示されていなかったそうです。

これらの4つのTLDではほぼすべての絵文字が使用されており、「🎩👓.ws」のような複数の絵文字を用いた絵文字ドメインも取得することができたそうです。ただし、ストークスさんは複数の絵文字が並んだドメインではなく絵文字が1つだけ使用された絵文字ドメインが欲しかったとのこと。


そこで、ストークスさんは他のTLDではどのような絵文字ドメインが取得されないまま残っているのかを調べます。すると、「.la」「.ga」「.gq」「.je」といったTLDではまだまだ取得されていない「絵文字が1つしか使われていない絵文字ドメイン」が多数あったそう。

ストークスさんは29ユーロ(約3800円)で「⭐.gg」という絵文字ドメインを取得しますが、購入した翌日に「絵文字ドメインを登録することはできるものの、機能させることはできない」という連絡をうけたそうです。


その後も絵文字ドメインを探し続けたストークスさんですが、多くのレジストラは絵文字ドメインを検索することすらできなかった模様。そんな中でストークスさんが発見したのが、カザフスタンのレジストラ。このレジストラのウェブサイトはロシア語で記述されていたそうですが、Google翻訳を用いて「.kz」の中から絵文字ドメインを探し、「⭐.kz」という絵文字ドメインを取得できることに気づきます。この絵文字ドメインを購入したことで、ついにストークスさんは「ben@⭐.kz」というメールアドレスを入手します。

さらに驚くべきことに、「.kz」では1文字の絵文字を使った絵文字ドメインがわずか8ドル(約870円)で販売されていたとのこと。そこで、ストークスさんはさまざまな絵文字を用いたメールアドレスを取得できるサービスを構築するというアイデアを思いつきます。

ストークスさんは最終的に150種類の絵文字ドメインを購入しており、その費用は1200ドル(13万円)程度になったと記しています。

そして購入した絵文字ドメインを使ったメールアドレスを登録できるウェブサイト「Mailoji」をストークスさんは作成します。絵文字ドメインを用いたメールがスパム認定されないように、上記の方法でメールを転送しながらメールが正しく相手に届けられるようにシステムが構築されています。

📩 Mailoji | Emoji Email Addresses


続いて、ストークスさんは「Mailoji」をTikTok上で宣伝し始めます。ストークスさんが作成したTikTok上で「Mailoji」を宣伝するムービーは以下の通り。

@mailoji

Emoji Email Addresses! ???????? #website #marketing #emails #marketingtools #marketingtips #seo #learnontiktok #marketingtiktok

♬ original sound - Mailoji ????


投稿した広告ムービーは少しずつ再生数が増加していき、投稿から2日で20万回以上再生され、60件の絵文字メールアドレスをテスト販売することに成功したそうです。


絵文字メールアドレスの需要が高いと確認したストークスさんは、追加で100件の絵文字ドメインを購入。

さらに、「Mailoji」の宣伝のために日本の声優が「マイロジ!」と読み上げるプロモーションムービーまで作成します。

Mailoji: Emoji Email Addresses - YouTube


複数の宣伝活動の後、「Mailoji」は新製品を共有・発見するためのウェブサイト・Product Hunt上でもサービスの宣伝を開始。Product Huntに掲載された当日、1日で6700PVを記録し、150以上の絵文字メールアドレスが売れたそうです。Product Hunt経由で売れた絵文字メールアドレスの中で最も人気の高い絵文字ドメインは「@🚀」だったそうです。

Mailoji - Emoji email addresses for everyone | Product Hunt


ストークスさんによると、記事作成時点での収益は1440ドル(約15万7000円)で、記事作成時点では300種類の絵文字ドメインが利用可能になっているとのこと。購入したすべての絵文字ドメインが収益を上げているわけではないものの、「絵文字メールアドレスサービスを作成するというのは、純粋に楽しかった」とストークスさんは語っています。

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in ネットサービス,   動画, Posted by logu_ii

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