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3kbpsという低いビットレートでも高音質を実現するコーデック「Lyra」をGoogleが開発


2021年2月25日、Googleが3kbpsという低いビットレートでも、元音声と遜色ないほどの音質を維持できるコーデックLyra」を開発したと発表しました。

Google AI Blog: Lyra: A New Very Low-Bitrate Codec for Speech Compression
https://ai.googleblog.com/2021/02/lyra-new-very-low-bitrate-codec-for.html


ほとんどのコーデックでは音声信号をサンプルごとに圧縮して送信することで高音質を実現するモデルを使用していますが、このモデルでは低いビットレートで元の音質を再現することができません。しかしGoogleが新しく開発したモデルは、最小限のデータを使用して音声を再生成できるようになっているとのこと。

低いビットレートでも元の音質を再現できるのは、オープンフォーマットとして公開されている非可逆音声圧縮フォーマット「Opus」の6kbpsが限界とされていました。しかしLyraは3kbpsでも動作するように設計されています。

以下は、複数の被験者による評価をまとめた平均オピニオン評点の結果で、左から参考として用意された高音質の音声・Lyra・Opus・Speexのスコアを表しています。このテストでLyraは、ビットレートが6kbpsのOpusをはるかに上回るスコアを獲得しました。


実際に、Googleの公式ブログで公開されているサンプルを聴き比べると、Lyraがいかに優れているかが分かります。

まず、以下がオリジナルの音声です。


続いて、Opusで処理した音声が以下。聞き取れないわけではありませんが、トランシーバーでの無線通信のようなざらつきが感じられます。


そして、これがLyraで処理した音声です。オリジナルとまったく同じとはいきませんが、ざらつきがなく非常にクリアなことが分かります。


音声と動画のためのコーデックを開発するための課題の一つは、いかに少ないデータ使用量で品質を向上させるかにあります。ムービーは音声よりも帯域幅を消費しているように感じられるかもしれませんが、実は最新の動画コーデックは一部の音声コーデックよりも低いビットレートを実現する可能性があるとのこと。

低ビットレートの動画コーデックと音声コーデックを組み合わせることで、低帯域幅のネットワークでも高品質なビデオ通話などが実現できる可能性があるとのこと。Lyraを動画圧縮コーデックのAV1などと組み合わせると、56kbpsのダイヤルアップ接続でインターネットに接続しているユーザーともシームレスにビデオ通話が可能だと開発チームは述べています。

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in ソフトウェア, Posted by log1p_kr

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