アメリカ定番の落書き「キルロイ参上」とは何なのか?
by Marshall Astor - Food Fetishist
「Kilroy Was Here(キルロイ参上)」は、壁の向こうから長い鼻を垂らしているキャラクターとともに描かれるアメリカ定番の落書きです。そんな「キルロイ参上」の来歴について、教養をテーマにするウェブサイトThoughtCo.comが解説しています。
The Story Behind the Phrase "Kilroy Was Here"
https://www.thoughtco.com/killroy-was-here-4152093
「キルロイ参上」は、橋の欄干や学校の食堂、共用のバスルーム、果ては軍艦の船倉やミサイルの砲弾などにすら描かれたこともあるというアメリカ定番の落書きで、バッグス・バニーには「世界で初めて月に行ったと思ったら、すでに『キルロイ参上』の落書きが描かれていた」というエピソードすら存在します。
ThoughtCo.comによると、「キルロイ参上」はアメリカ以前にオーストラリアやイギリスでも流行したことがあるそうです。オーストラリアのバージョンは壁の向こうから長い鼻を垂らしているキャラクターのみの落書きでしたが、イギリスのバージョンはキャラクターに加えて「Wot, no ~~?(おいおい、~~なしかよ)」というもので、「キルロイ参上」にはこうした「ミームDNA」と呼べる経緯があるとのこと。
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「キルロイ参上」がアメリカで本格的に流行したのは、第二次世界大戦頃だとされています。この「キルロイ」なる人物が一体誰なのかは諸説ありますが、マサチューセッツ州のフォアリバー造船所で建造された軍艦には、建造中でなければ記せない位置にまで「キルロイ参上」が描かれていたことから、同造船所に勤務していた溶接検査官のジョン・J・キルロイ氏が「キルロイ」だとする説が有力です。
ThoughtCo.comによると、「キルロイ参上」が第二次世界大戦中のアメリカ軍人にとって特別な意味を持っていたとのこと。この落書きは斥候兵によって橋頭堡に描かれることが多く、軍人にとっては「橋頭堡によく描かれている落書き」だったそうです。世界大戦という険しい戦争が進行するとともにアメリカは世界各地に橋頭堡を築き上げることとなり、橋頭堡によく描かれていた「キルロイ参上」は「アメリカの力の及ばない場所はない」という誇りに象徴に徐々に変わっていったとのこと。ThoughtCo.comは、敵陣奥深くに打ち込まれるミサイルに「キルロイ参上」が描かれていたことも、「アメリカの力の及ばない場所はない」というメッセージを表すものだとしています。
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また、「キルロイ参上」にはアメリカと敵対していたソ連・ナチスドイツの主導者であるヨシフ・スターリンとアドルフ・ヒトラーにまつわる逸話も残されています。この逸話によると、スターリンはポツダム会談の際にトイレに描かれていた「キルロイ参上」を見て「キルロイって誰だ?」と言い、ヒトラーはドイツ軍によって回収されたアメリカ側の兵装の多くに「キルロイ参上」が描かれていたことから「キルロイはどんなところにでも入り込める超人的なスパイだ」と信じていたとされています。
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