サイエンス

なぜウォンバットのうんちは四角いのかという謎が少しずつ解き明かされている


オーストラリアに生息する小型の哺乳類「ウォンバット」は毎日100個近くの立方体のうんちを作り出します。この奇妙な形のうんちがどのように作り出されるかという疑問を解消するべく、研究者たちは奮闘を続けています。

Intestines of non-uniform stiffness mold the corners of wombat feces - Soft Matter (RSC Publishing)
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2021/sm/d0sm01230k

How do wombats poop cubes? Scientists get to the bottom of the mystery | Science | AAAS
https://www.sciencemag.org/news/2021/01/how-do-wombats-poop-cubes-scientists-get-bottom-mystery

How wombats poop cubes | Science News
https://www.sciencenews.org/article/how-wombats-poop-cubes

ウォンバットはオーストラリアの草原や低木林、ユーカリ林などに生息しており、夜行性のため昼は地下に掘った巣穴で過ごし、夜は植物を食べに地上を動き回ります。以前から四角いうんちをすることで知られていたウォンバットですが、なぜ、どのようにして四角いうんちをするのかについては明らかになっていませんでした。


2018年11月にジョージア工科大学パトリシア・ヤン氏らが発表した研究結果によると、ウォンバットのうんちは腸の最後の部分で圧力がかけられ固くなるとのこと。しかしこの研究の際にウォンバットの腸の中には弾力性のある2つの小さな溝があることが判明するも、その機能については謎が残ったままとなりました。

今回ヤン氏らはウォンバットの死骸を解剖して腸の筋肉と組織を調査し、異なる厚さと固さを持つ領域を発見。その領域を2D数学モデル化し、消化リズムに合わせてどのような形をとるのかシミュレーションを行った結果、腸の蠕動(ぜんどう)の様子が明らかになりました。

他の哺乳類は腸の蠕動はあらゆる方向で一貫していますが、ウォンバットの場合不規則な収縮を見せるといいます。腸の固い部分が速く収縮してうんちを固め、柔らかい部分はゆっくりと収縮してエッジを形成、この不規則な運動と溝のある組織によってうんちを立方体に仕上げていると考えられるとのこと。通常の2~3倍にまで収縮するウォンバットの腸のうち後半8%でのみうんちの形状が立方体に変化するということも判明しています。

乾燥したうんちはさまざまな地形に重ねて置くことが可能で、高台でうんちをすることを好むウォンバットの性質からも「縄張りの主張や目印にするために立方体の形状をとっているのでは」と推測されていますが、詳しいことはまだ分かっていません。


ウォンバットの四角いうんちの研究で2019年にイグノーベル物理学賞を受賞したこともある研究チームですが、今回の研究結果は「飼育下のウォンバットの健康管理に役立つ」と主張しています。論文の共著者であるデビッド・フー氏は、「うんちが四角ければ四角いほどウォンバットは健康ですが、飼育されたウォンバットのうんちは、しばしば野生の個体ほど四角くないことがあります」と話しました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1p_kr

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