会議・締め切り・フルタイム従業員がゼロでも年間180億円もの取引を生み出す決済サービス「Gumroad」
音楽・コミック・アプリなどのデジタルコンテンツをリンク1つで直接顧客に販売できるという決済サービス「Gumroad」は、会議・締め切り・フルタイム従業員がゼロという先鋭的な労働形態によって運営が行われています。「どうしてこんな特殊な労働形態になったのか」という疑問について、Gumroadを創業したサヒール・ラヴィンギアCEO自身がブログ上で解説しています。
No Meetings, No Deadlines, No Full-Time Employees - Sahil Lavingia
https://sahillavingia.com/work
Gumroadは事前審査がない点を特徴とするデジタルコンテンツ専門の決済サービス。日本を含む190カ国に対応しており、決済手段はクレジットカードのみ。決済手数料は0.25ドル(約26円)+販売価格の5%です。
「Gumroadはどんなサービスなのか」「実際に使うとどんな感じなのか」という疑問は、以下の記事を読むと解決します。
音楽・コミック・アプリなどのデジタルコンテンツをリンク1つで顧客に直接販売できる「Gumroad」はこうやって使うよレビュー - GIGAZINE
Gumroadを利用するユーザーは年々増加しており、総決済額は年間1億7500万ドル(約182億円)にも達します。Gumroad自身の年間収益は1100万ドル(約11億4000万円)ほどで、前年比で85%という成長率です。
成長を続けるGumroadですが、ラヴィンギアCEOは常に順調な道のりではなかったと語ります。ラヴィンギアCEOによると、2011年に創業したGumroadは2015年には23人の正社員を抱えるまでに成長したものの、資金調達の失敗を受けて2016年には「従業員はラヴィンギアCEOのみ」という状態に転落していたとのこと。
2016年当時、ラヴィンギアCEOは新しく正社員を雇わず、BigBinaryというインドの請負業者と契約を結ぶという決定を下します。こうしてラヴィンギアCEOは、BigBinaryの契約社員数人と、レイオフしていたカスタマーサポート担当者と時給制の雇用契約を結びました。
当時のラヴィンギアCEOは燃え尽きた状態で、「会議や締め切りのない文化」を求めていたとのこと。そこでラヴィンギアCEOは、GitHubやNotion、Slackなどの共同作業に適したビジネスツールを活用することでオンラインでコミュニケーションをとれる環境を整えて会議を撤廃。さらに「ユーザーが稼ぐ資金を最大化する」というシンプルかつ計測可能な目標を唯一のものとすることで個別の達成目標などを廃止し、納期自体をなくしました。さらに、個別の達成目標がなくなったことで各プロジェクトの優先順位などもなくなったため、「各社員がやりたいプロジェクトに専念する」という形態も採用したとのこと。
こうした労働形態の革新により、Gumroadの勤務時間は週に20~35時間程度、時給はカスタマーサポート担当者で50ドル(約5200円)、製品責任者で250ドル(約2万6000円)となっているそうです。ただし、医療費や福利厚生だけでなく、仕事に使うスマートフォンやノートPC、インターネット契約なども自己負担とのこと。
ラヴィンギアCEOはGumroadがスキルアップなどには適していないと認めつつ、成長よりも自由、スピードよりも持続可能性、仕事よりも人生を重視した企業だと述べ、「Gumroadはクリエイターによるクリエイターのための会社です」と結んでいます。
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