連続して食べ過ぎなければ健康に悪影響はほとんどないという研究結果
限界ギリギリまでピザを食べるという実験の結果、「1回だけの食べ過ぎならば体に影響はほとんどない」ということが判明しました。
Physiological responses to maximal eating in men | British Journal of Nutrition | Cambridge Core
https://www.cambridge.org/core/journals/british-journal-of-nutrition/article/physiological-responses-to-maximal-eating-in-men/25C29D75CB1553B9D3D23E276295A4D8
All-you-can-eat pizza study shows body copes surprisingly well with one-off calorie indulgence
https://www.bath.ac.uk/announcements/all-you-can-eat-pizza-study-shows-body-copes-surprisingly-well-with-one-off-calorie-indulgence/
Pizza study shows body copes surprisingly well with one-off calorie indulgence -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2020/07/200724103753.htm
バース大学の栄養・運動・代謝センターの研究チームは、満腹を感じる程度にピザを食べたときと、「もう1口も食べられない」と感じるほど最大限にピザを食べたときの体の状態を比較するという実験を行いました。
被験者となったのは22歳から37歳までの健康な若い男性で、満腹を感じる程度の食事では平均1500kcalほどを食べましたが、最大限の食事では倍の3000kcalほどを食べたとのこと。最も多い量を食べた被験者の場合は5000kcalを超えるピザを平らげたそうです。なお、実験が行われたイギリスにおいて、国民保険サービスが定めた男性の推奨摂取カロリーは「1日2500kcal」であるため、最大限の食事では、1回の食事で1日の推奨量より多いカロリーが摂取された計算です。
被験者の血液などを調査したところ、最大限までピザを食べた場合には満腹を感じる程度に食べた場合に比べて、血中の糖分と脂肪分は正常範囲内にとどまったとのこと。具体的に確認された効果は以下。
・血糖値が高くなっていなかった。
・血糖値を下げる作用のあるインスリンが50%増加していた。
・2倍以上の脂質を摂取したにもかかわらず、中性脂肪と遊離脂肪酸からなる血中脂質はわずかに上昇した程度だった。
・インスリンの分泌を促進する作用のあるホルモンのGLP-1やペプチドYYが大幅に増加していた。
研究チームによると、今回の実験のように「過食」を行った場合には、余剰分のエネルギーは脂肪の形で体に蓄積されるとのこと。そのため毎日過食を続けてしまうと肥満になる可能性がありますが、健康な人がたまに食べ過ぎてしまう程度ならば、代謝制御を失うなどの健康に対する悪影響はないそうです。
論文の筆頭著者であるアーロン・ヘンギスト氏は「慢性的な過食は肥満や2型糖尿病、循環器疾患に悪影響を与えることが知られていますが、今回の結果は人体は突然の過食に非常にうまく対処できるということを示しています。健康な人間ならば『満腹』の2倍の量を食べきることが可能で、さらにエネルギー余剰にもうまく対処できます」とコメントしています。
今回の実験は被験者が若い健康的な男性に限られているため、研究チームは老人や女性、肥満者などで同様の結果が得られるかを調査する予定です。なお、最大限までピザを食べた被験者は、食事終了後4時間にわたって眠気や不快感などを訴え、「甘い物は別腹」という俗説に反して「何一つ食べたくない」と報告したとのことです。
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