F1やNASCARのプロドライバーがeスポーツイベントに参戦、新型コロナウイルスの影響で
新型コロナウイルスの影響はモータースポーツにも波及しており、2020年に開催予定だったF1世界選手権のオーストラリアGPやベトナムGPが中止となっており、NASCAR主催のレースも無観客での開催が発表されました。新型コロナウイルスの影響で活躍の場を失ったプロのレーシングドライバーたちですが、その活躍の場をレーシングゲームに移し、多くのファンを魅了しています。
Virtual F1 and NASCAR events are filling the gap left by canceled races - The Verge
https://www.theverge.com/2020/3/22/21184192/sim-racing-coronavirus-f1-nascar-iracing-veloce-esports-max-verstappen-lando-norris
新型コロナウイルスの影響により、サッカーや野球、バスケットボールといった多くのスポーツが試合の延期を発表しています。モータースポーツの分野も同様に興行の中止に追いやられているのですが、ファンはプロのレーサーたちによる熱いレースの様子をゲームの世界で楽しむことが可能です。
F1、NASCAR、IndyCarといったモーターレースを主催する団体は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に合わせてシーズン開幕戦を中止しました。レースが中止されてから数分後に、NASCARのスポッターとして働くTJ Majors氏は、中止となったアトランタでのレースをゲーム上で再現するために電話をかけ始めました。
そして、モータースポーツのシミュレーターとして有名な「iRacing」を用いて中止となったレースを再現することが決定。レースの様子はTwitch上で生配信され、ピーク時の同時視聴者数は2万3000人超、約2時間のレースは合計7万人もの視聴者がチェックしたそうです。レースの全編はTwitch上で公開されており、こちらの視聴者数は約1万5000人となっています。iRacingのマーケティングディレクターであるKevin Bobbit氏は、「ほとんど予告も広告もない中で開催されたレースは、非常に印象的な結果を残しました」とコメントしています。
PodiumeSports - Podium and iRacing Present: The Replacements 100 at Atlanta Motor Speedway - Twitch
レースに出場したのはNASCARのスター選手であるAnthony Alfredo選手、Justin Allgaier選手、Tyler Ankrum選手、Alex Bowman選手、Chase Briscoe選手、William Byron選手、Dale Earnhardt Jr.選手、Noah Gragson選手、Justin Haley選手、Parker Kligerman選手、Garrett Smithley選手、Bubba Wallace選手の12人。スポッターとして参戦したのはKevin Hamlin氏、TJ Majors氏、Coleman Pressley氏、Josh Williams氏の4人。さらに、ゲストとして元アメフト選手のカイル・ロング氏と、歌手のティム・ダガー氏がレースに参加しています。
スポッターのKevin Hamlin氏は、NASCAR関係者の50%以上がiRacingをプレイしているため、それぞれの自宅にハンドル・ペダル・カスタムPCといった「iRacingをプレイするための環境」が整っているのではと推測し、NASCARのレースをiRacingで開催するというアイデアを思い付いたと語っています。
現役レーサーのParker Kligerman選手は、「すべてのレースが中止された際、すぐに私の電話が鳴って『レースをしましょう!』と告げられました。そのため、NASCARのレースがiRacingで開催されるという話がすぐにまとまったことに、驚きはありませんでした」と語っています。なお、Kligerman選手はレース中にPCのWindows Updateが始まってしまったため、マシンがコースの壁面に突っ込んでしまうというアクシデントに見舞われています。
Poor Parker.@pkligerman | #Replacements100 pic.twitter.com/NdfkTb5PZO
— Xfinity Racing (@XfinityRacing) 2020年3月15日
Kligerman選手はモータースポーツとeスポーツの相性の良さを強調しており、「モータースポーツゲームは現実世界と同じようにプレイできる唯一のeスポーツです。世界中の多くの有名ドライバーが常にレースゲームをプレイしているのは、楽しいからだけではなく、ゲームがドライバーを助けてくれると感じることができるからです。NBA 2Kでレブロン・ジェームスを倒したからといって、バスケットコートで本当にレブロンを倒せるというわけではありません。しかし、モータースポーツゲームの中で私やほかの選手を追い抜かすことができたなら、実際のモーターレースでも同じことが起こるかもしれません」とコメントしました。
なお、iRacingを用いて現役レーサーやスポッターたちが繰り広げたレースに対しては、「良いレースだった」という感想が多く集まっています。
Was #TheReplacements100 a good race?
— Jeff Gluck (@jeff_gluck) 2020年3月15日
また、モータースポーツ関連のニュースサイトであるThe Raceの主催者であり、メルセデスベンツのF1eスポーツチームを監督するDarren Cox氏が、オーストラリアGPの中止アナウンスを聞いたのちに、レースシミュレーションゲームの「rFactor 2」を用いてレースを開催するアイデアを思いついています。同氏の主催したレースでは、マックス・フェルスタッペン氏やサイモン・パジェノ氏、フェリックス・ローゼンクヴィスト氏といった元F1ドライバーやIndyCarのスター選手であるファン・パブロ・モントーヤ氏なども参戦しています。
レースの様子は以下のムービーで視聴可能です。レースは2020年3月15日にライブ配信されたのち、55万回以上再生されています。
The Race All-Star esports Battle - Australian F1 GP alternative event (rFactor 2 + surprise circuit) - YouTube
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