AI

世界37カ国のうち日本を含むほとんどの国で「AIは雇用増加ではなく雇用喪失を引き起こす」と予想されていることが判明


生成AIはこれまで人間の労働者が担っていたさまざまなタスクを代替することが可能で、AIの導入によって雇用が減少するのではないかとの懸念が高まっています。中には「AIは産業革命のように、一部の仕事を消し去る代わりに新たな仕事も生み出す」という意見もありますが、アメリカのピュー研究所が世界37カ国を対象に行った調査では、日本を含むほとんどの国で「AIは雇用喪失を引き起こす」と予想されていることが判明しました。

Globally, More People Expect AI to Cause Job Loss Than Growth | Pew Research Center
https://www.pewresearch.org/global/2026/09/17/globally-more-people-expect-ai-to-cause-job-loss-than-growth/

ピュー研究所が2026年初頭に世界37カ国を対象にした調査を行い、人々がAIについてどのような考えを抱いているのかを分析しました。2026年9月17日のレポートで報告された主な内容は以下の通り。

◆雇用に対する懸念
ピュー研究所は回答者に対し、「AIが次の20年間で自身の国の雇用にどのような影響を引き起こすと思うのか」を尋ねました。その結果、日本を含むほとんどの国で「AIは雇用喪失を引き起こす」と回答した人の割合が「AIは雇用増加を引き起こす」と回答した人を上回りました。

以下のグラフは青色が「AIは雇用喪失を引き起こす」、薄いクリーム色が「雇用に大した影響はない」、黄土色が「AIは雇用増加を引き起こす」、灰色が「よくわからない」と回答した人の割合を示したもの。特にオーストラリア・韓国・アメリカでは70%以上がAIが雇用喪失を引き起こすと回答し、日本でも49%が同じように回答しました。一方、AIが雇用増加を引き起こすと回答した人の割合は圧倒的に少数で、AIが雇用喪失を引き起こすと回答した割合を上回ったのはナイジェリアのみで、その差もわずか1パーセントポイント(ポイント)でした。


ピュー研究所は、全体的には「AIは雇用喪失を引き起こす」と考える人が多かった一方で、成人の5分の1以上はAIが雇用にもたらす影響について確信が持てていないと指摘。特にケニア・タイ・フィリピン・コロンビア・マレーシア・スリランカ・インド・メキシコといった中所得国家では「よくわからない」と回答した人が35%を超えています。

以下のグラフは縦軸が「AIは雇用喪失を引き起こす」と答えた人の割合、横軸が1人あたりのGDPを表したものです。全体的に1人あたりGDPが高い国の方がAIによる雇用喪失の懸念が高いことがわかります。


多くの国において、AIによる雇用喪失の懸念は50歳以上の高齢層よりも18~34歳の若年層で一般的でした。以下のグラフは横軸がAIによる雇用喪失を懸念する人の割合を表しており、青色が50歳以上、灰色が34~49歳、黄土色が18~34歳の回答割合を示したもの。カナダ・フランス・シンガポール・スウェーデンといった高所得国だけでなく、インド・インドネシア・マレーシアといった中所得国でも、若年層の方がAIによる雇用喪失を懸念する傾向がみられます。


今回の調査では他にも、「主に高所得国では男性よりも女性の方がAIによる雇用喪失を懸念する割合が高い」「中所得国では世帯収入や教育水準が高い人ほどAIによる雇用喪失を懸念する割合が高く、世帯収入や教育水準が低い人はAIへの影響がわからないと回答する割合が高い」などの傾向が確認されました。

◆不平等に対する懸念
「AIは貧富の差を拡大させると思うのか」を尋ねたところ、全体的に人々はAIが貧富の差を拡大し、不平等を悪化させると回答する傾向がみられました。しかし、この質問についてはAIによる雇用への影響と比較して、「わからない」と回答する人の割合が高くなりました。

以下のグラフは青色が「AIは貧富の差を拡大させる」、薄いクリーム色が「貧富の差に大した影響はない」、黄土色が「AIは貧富の差を縮小させる」、灰色が「よくわからない」と回答した人の割合を示したもの。比較的裕福な国ほどAIが貧富の差を拡大させると考える傾向が強く、特に韓国・オーストラリア・アメリカ・ギリシャ・カナダでは4割以上の人々が、AIは貧富の差を拡大させると考えていました。逆にAIは貧富の差を縮小させると考える人はほとんどおらず、37カ国中29カ国ではその割合が1桁にとどまっています。


AIが貧富の差にもたらす影響についての見解は、政治的なイデオロギーが強く関連しています。ピュー研究所が回答者のイデオロギーを調べた28カ国のうちアメリカ・スペイン・オーストラリア・フランス・ギリシャ・イタリア・イギリス・アルゼンチンの8カ国で、右派よりも左派の方がAIは貧富の差を拡大すると考える傾向が強いことがわかりました。以下のグラフは、横軸がAIは貧富の差を拡大すると考える人の割合を、黄土色が右派、灰色が中道派、青色が差はを示しています。中でもアメリカでは右派と左派の差が31ポイントとなっており、イデオロギーによる隔たりが非常に大きいことがわかります。


年齢ごとに見ていくと、アメリカでは「AIは貧富の差を拡大する」と考える割合は50歳以上の高齢層が38%なのに対し、18~34歳の若年層では56%とはるかに高くなりました。オーストラリア・カナダ・ポーランド・シンガポールといった高所得国でも、若い世代ほどAIによる格差拡大を懸念する傾向がみられました。一方、アルゼンチン・チリ・ハンガリー・イタリア・ペルーでは状況が逆転し、高齢層の方がAIは貧富の差を拡大すると考える傾向が強まったとのことです。

◆日常生活におけるAIの利用拡大
ピュー研究所は雇用や経済格差といったトピックとは別に、日常生活におけるAIの利用拡大をどう思うかについても尋ねています。その結果、全体では約37%がAIの利用拡大について懸念している一方、41%は不安と期待が同程度だと回答しました。

以下のグラフは日常生活におけるAIの利用拡大についての見解を尋ねたもので、青色が「懸念している」、薄いクリーム色が「期待と不安を同程度持っている」、黄土色が「ワクワクしている」と回答した人の割合を示したもの。全体的に懸念していると回答した人が多いものの、期待と不安が同程度の人も多く、ガーナ・ナイジェリア・イスラエル・韓国・バングラデシュではワクワクしている人の方が多い結果となりました。中でも韓国は、AIによる雇用喪失や格差拡大を懸念する人が多い一方で、日常面ではAIにワクワクする人が多い傾向がみられます。


回答者の傾向を細かく見ると、多くの国ではAIテクノロジーに関する情報や記事に多く触れている人ほど、日常面ではAIに対してより楽観的な見方をする傾向がありました。また、15カ国では50歳以上の高齢層の方が18~34歳の若年層より日常的なAI使用について懸念する割合が高くなりました。

しかし、一部の国では日常的なAI使用に対する懸念を持つ若年層の割合が増加しています。以下のグラフは縦軸が日常的なAI使用に懸念を抱く人の割合を、横軸が年を表したもので、青色が50歳以上の高齢層、灰色が35~49歳の中年層、黄土色が18~34歳の若年層です。アメリカでは長らく、若年層が最もAIについての懸念が低い年齢層でしたが、2026年には最も懸念が多い年齢層になりました。スウェーデン・ポーランド・ブラジル・日本・オーストラリアといった国々でも、2025年より2026年の方がAIについて懸念する若年層が増えているのがわかります。


また、ピュー研究所はアメリカにおいて、リベラルな民主党員と保守的な共和党員の間で、AIへの考えにどのような違いがあるのかも調査しています。

Democrats now more worried than Republicans about AI, its impact on jobs | Pew Research Center
https://www.pewresearch.org/short-reads/2026/09/16/democrats-are-now-more-worried-than-republicans-about-ai-and-its-impact-on-jobs/

2026年6月に行われた調査の結果、日常生活におけるAIの利用拡大を懸念する層は民主党支持者で56%に達した一方、共和党支持者では49%にとどまりました。以下のグラフは日常生活におけるAIの利用拡大についての考えを支持する党別にまとめたもので、赤色が共和党支持、青色が民主党支持、灰色が無党派層です。AIの利用拡大を懸念する人を示したグラフ(左)を見ると、共和党支持者では年々割合が減っているのに対し、民主党支持者では懸念する人の割合が増えていることがわかります。また、AIの利用拡大に期待と不安の両方を抱く人を示したグラフ(中)を見ると、共和党支持者の割合が年々増えていますが、AIの利用拡大に期待を抱く人を示したグラフ(右)では、特に共和党支持者が増えているわけではないことがわかります。共和党支持者の中でも、AIの利用拡大に期待のみを抱く人はかなりの少数派です。


以下のグラフは、AIによる雇用への影響についての回答を支持する党別にまとめたもので、青色が「AIは雇用喪失を引き起こす」、クリーム色が「AIは雇用に大した影響を与えない」、黄土色が「AIは雇用増加を引き起こす」と回答した人を示しています。共和党支持者(中)でも依然としてAIが雇用喪失を引き起こすと考える人が多数派ですが、民主党支持者(右)は2024年から2026年にかけて雇用喪失への懸念を強めていることがうかがえます。

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in AI, Posted by log1h_ik

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