Raspberry Pi公式ブログは18台のRaspberry Pi 4上で構築されている

「Raspberry Pi 4 Model B」が2019年6月24日に発表されました。前モデルであるRaspberry Pi 3 Model B+よりもCPUやRAMが大きく進化し、ギガビットイーサネットやUSB Type-Cポートも搭載したと話題になったRaspberry Pi 4は、なんとRaspberry Piの公式ブログを構築するサーバーに使われているそうです。

Raspberry Pi on Raspberry Pi | Mythic Beasts
https://blog.mythic-beasts.com/author/pete/

The Raspberry Pi 4 launch site runs on a Pi 4 cluster | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2019/06/the-raspberry-pi-4-launch-site-runs-on-a-pi-4-cluster/

Raspberry Pi 4がどれだけスペックアップしたのかは以下の記事にまとめられています。

新「Raspberry Pi 4」が4Kサポート＆CPU高速化など大幅にスペックアップして登場 - GIGAZINE

Raspberry Piを使った個人向けホスティングサービスを提供しているISPのMystic Beastsは、Raspberry Pi財団から18台ものRaspberry Pi 4のサンプルを提供されたとのこと。もともとはそのRaspberry Pi 4を使ってクラウドサーバーを構築しようと考えていたそうですが、Raspberry 4 Model Bを受け取った時点ではクラウドサーバー運用に不可欠な機能がファームウェアに搭載されておらず、泣く泣く断念したとのこと。そこで、Raspberry Piの公式ブログのサーバーをRaspberry Piで構築しようと考えたそうです。

そして18台のRaspberry Pi 4でWordPress環境を構築したクラスタが以下の画像。18台のうち14台(56コア・56GB RAM)がPHPコードの実行を処理し、2台(8コア・8GB RAM)が静的ファイルを処理し、2台(8コア・8GB RAM)がmemcachedを実行しているそうです。

2019年6月22日の深夜には、本番トラフィックが既存のサーバーからRaspberry Pi 4クラスタへ移行しました。Raspberry Pi 3 Model B+だとページ生成におよそ2.1秒かかったのに対して、Raspberry Pi 4 Model Bではおよそ0.8秒でページが生成されたとのこと。一般的なエンドユーザーの操作はほとんどのページがキャッシュから提供されるのでもっと高速になるはずだとMystic Beastsは予想しています。

しかし、Mystic Beastsは「残念ながら、今回の構成はRaspberry Piの公式サイトの標準的な本番環境にはなりません。今回構築したRaspberry Pi 4ではオンラインストレージではなく、SDカードによるローカル・ストレージを採用しています」と述べています。さらに、OSはLinuxディストリビューションの1つであるDebian 10 Busterだそうですが、Debian 10 Busterは正式リリースは2019年7月6日であるため、インストールされているのはまだリリース前のテスト版。そのため、「決してこのRaspberry Piクラスタの構成をミッションクリティカルなウェブサイトに使わないように」と注意を促しています。

記事作成時点では、Raspberry Piの公式ブログはRaspberry Pi 4 Model Bクラスタで構築されていますが、スタック全体を移行したわけではなく、フロントエンドロードバランサー・ダウンロードサーバー・aptリポジトリのサーバーはRaspberry Pi以外のハードウェア上にあり、3つのデータセンターに分割されているとのこと。また、データベースも全てをRaspberry Piに移行していないそうです。

Mystic Beastsはスタック全体もRaspberry Piへ移行できそうだとしながらも、現状はあくまでもテストであり、何かあった時はすぐにRaspberry Pi以外のハードウェアに切り替えることができるようにしていると述べています。