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「オーガニック食品」はただの「最先端の詐欺」なのか?それとも本当に健康的なのか?

by rawpixel.com

スーパーマーケットで「オーガニック」という文字を見かけることも多くなってきましたが、実は「オーガニック」という言葉に絶対的な定義は存在しないとのこと。購入すると何となくいいことをしたような気になるオーガニック食品ですが、本当に健康にいいのか?オーガニック食品を購入することは大切なのか?ということが、アニメーションでわかりやすく解説されています。

Is Organic Really Better? Healthy Food or Trendy Scam? - YouTube


過去数年で「オーガニック食品」の人気は爆発的に大きくなり、単なる「1つの選択肢」ではなく、社会的責任や道徳などと併せて語られることも多くなりました。


しかし、健康的・倫理的だといわれるオーガニック食品には、実は国際的に統一された基準は存在せず、異なる機関がそれぞれ独自の基準を持っています。


多くの場合、「オーガニック」は遺伝子組み換え作物(GMO)ではなく、人工肥料を使わず、人工殺虫剤を使っていないものを指し、オーガニック食品の農家は有機的な肥料を使い、伝統的な方法で作物を作ると考えられています。


では、実際のところ「オーガニック食品」は健康的なのか?というのが気になるところ。


「自然な方法で育てられた作物は健康的で栄養も豊富」と考える人は多いはず。


これまでに行われた科学研究にはオーガニック作物がより多くの抗酸化物質を含むと示すものもあります。抗酸化物質は人間の健康にいいと考えられていますが、一方で「どれほど健康にいいのか」「どのように人体に作用するのか」「どれくらい摂取すべきなのか」など、科学的にはわかっていないことも多く存在します。


オーガニック作物の栄養価についても、研究結果はさまざまで、「オーガニック作物はビタミンCやω-3脂肪酸が豊富に含まれる」と示す研究もあれば、「オーガニック作物と非オーガニック作物で栄養価は変わらない」と示すものも存在します。


「科学的評価が混在している」という状態が示唆するのは、栄養価の違いは「微々たるもの」ということ。


オーガニックであるか否かに関わらず、果物や野菜を食べることは一般的に健康によいことだとされています。そして多くの人は果物や野菜が足りないということを覚えておくべき。


続いての疑問は「オーガニック食品はより自然なのか?」ということ。


オーガニック食品を求める人は「栄養価が高い」ということだけではなく、「害悪が少ない」という考えを持っている人も多いはず。


この点、オーガニック作物には人工殺虫剤の残余量が少ないという研究結果は確かに存在します。


しかし、オーガニック農家は殺虫剤の使用を禁止されておらず、「殺虫剤が少ない」ということは「殺虫剤がゼロである」ということを意味しません。


有機的な殺虫剤の多くは植物油や硫黄、硫酸といった自然の毒素ですが、中には人工的な物質も存在するとのこと。


また「有機的な殺虫剤」と「通常の殺虫剤」に大きな違いはなく、これまで使われてきた殺虫剤よりも有機的な殺虫剤の方が安全といえるわけではありません。


オーガニックりんごの殺虫剤として硫酸銅(II)が使われますが、硫酸銅(II)は基本的に人工の殺虫剤よりも人体に危険です。何が人にとって毒になるかは濃度、そしてどれくらい毒にさらされるかに左右され、「オーガニックか否か」ではないとのこと。


2018年に発表されたフランスの研究では「オーガニック食品を食べたことがないこと」と「ガンになるリスクの高さ」の関連性が認められています。しかし、この研究では、被験者が自分の食べたものを自己申告する形であり、被験者が殺虫剤にどのくらいさらされたのかを調べるテストは行われなかったため、多くの批判を浴びました。


また2018年のデンマークの研究では、「成人に対する殺虫剤の危険さは、3カ月ごとにワインをグラス1杯飲むことに相当する」と示されています。


作物に対する殺虫剤の使用は厳しく取り締まられるべきもの。しかし、アメリカやEU諸国では毎年何千という食品のサンプルに対して殺虫剤の検査が行われており、やみくもに「殺虫剤は危険」と恐れるものではありません。


殺虫剤よりも、真菌や細菌の方がずっと危険であり、この点、オーガニック作物とそうでない作物とでリスクは同じです。


続いて、「オーガニック食品は環境によいのか?」という疑問について。


2017年に行われたメタアナリシスではオーガニック農家について詳細に調べ、約700のオーガニック食品/非オーガニック食品の製造元について分析されました。


温室効果ガスの排出、エネルギー消費、必要な土地といった点が調べられたところ、「明らかに環境によい製造方法」は存在しないことがわかりました。


オーガニック食品のシステムは伝統的な製造システムよりもエネルギー消費量が少ないのですが、温室効果ガスの排出量はほぼ同じで、殺虫剤の使用量が少ない代わりにより多くの土地を必要としました。オーガニック食品製造の環境に対する影響はいい点と悪い点が混在しており……


別の調査でも、土地の使用面積については伝統的な食品製造の方が環境に優しく、生態毒性の値はオーガニック食品の方が優れていていると示されました。つまり、オーガニック食品の方が環境に優しい、とは言い切れないわけです。


一方で、オーガニック食品の需要がこれからも増加していけば問題が生じることも考えられます。スペインでは、輸出向けにオーガーニック/非オーガニック作物が多く育てられていました。


オーガニック作物の需要を国内の作物で満たせなくなった国は、オーガニック作物を他国から輸入しようとします。このため国際的なオーガニック作物の需要は増加しました。


しかし、国際的な取引は複雑化していき……


その中でオーガニックの規格を満たしている保証することは難しくなってきています。オーガニックではない普通の作物を「オーガニック」だと語るなど、高価なオーガニック作物を詐称する人が出てきたのです。


「オーガニック」は単純な製造方法だけを意味するのではなく、イデオロギーのようなもの。オーガニック食品を買うことは子どもや環境に対して「正しいことをしている」という気分にさせます。


しかし、オーガニック食品は善、そうでない食品は悪、と考えるのではなく、「どちらにもいい点と悪い点がある」と認識することが大切とのこと。そして健康的な食品を効率的に作り出すには、両者のいい点を組み合わせる必要があります。


個人レベルでいうなら、「何を問題としているのか」を1つ1つ分けて考える必要があります。「健康的な生活を送る」ことが目的なら、オーガニックか否かに関わらず野菜や果物を購入すべきで……


環境に配慮したいのであれば「オーガニックを購入することでは環境に配慮できない」と認識し、地元でとれた旬のものを購入すればOK。


「何を食べるか」は「どうやって製造されたのか」よりもずっと重要とのことです。

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