食品に書かれた「ナチュラル(自然)」は私たちの想像する意味ではない

by Sylvain Naudin

アメリカのスーパーケットの食品売場を歩くと「100%ナチュラル」「ナチュラルチーズ」のように、「ナチュラル/自然」という文字をよく見かけます。「自然」という表記からは、化学物質を使っていないかのような印象がありますが、実際には何を意味するのか?ということで、食品につけられた「自然」という言葉の意味に迫ったムービーがYouTubeで公開中です。

The "natural" label on your food is baloney - YouTube


アメリカのスーパーマーケットに到着。


健康オタクのレポーターは「Natural(自然)」という表記のある食品を買いあさります。「all natural」と書かれたバニラ・マシュマロのパッケージを手に取るも……


パッケージ背面には「Carrageenan(カラギーナン)」という、どう見ても自然由来ではない化合物の名前が。


「ALL NATURAL CHICKEN BREAST(全て自然の胸肉)」と書かれた加工食品の裏には……


「固形コーンシロップ」や「マルトデキストリン」「デキストロース


ナチュラルチーズには……


ナタマイシン」という聞き慣れない言葉が並んでいました。


「自然」という表記があってもパッケージの裏面を見ると自然らしからぬ名前が載っていて混乱してしまうかもしれません。しかし、こういった類いの混乱は多くの人が経験していること。実際にアメリカでは2011年から2016年の間には100件以上も「自然」という言葉を巡った訴訟が起こっています。


非営利の消費者組織が発行する「コンシューマー・レポート」はアメリカ食品医薬品局(FDA)に対して、企業が「自然」という言葉を使うことを禁止するよう呼びかけています。


アメリカで行われた調査から、60%の人々は食品における「自然」という表記を「化学物質や人工の物質を材料として使っていない」という風に捉えていることが分かっていますが、実際には消費者がイメージすることを意味しないケースも多々あるためです。


アメリカで食品を取り締まる政府機関は2つあります。1つはFDAで、シリアル・チーズ・お菓子など、食品供給のうち80%についての許可や取り締まりなどを行っています。


しかし、FDAは「自然」という表記について、厳密な定義を持っていません。


この理由について、FDAは、私たちが食べているものの多くは自然から取ってきた状態のものとは類似点がほどんどないためだと説明しています。しかし、明確な定義がないことが、消費者の混乱を生み出しているのも事実。


食品を取り締まるもう1つの政府機関がアメリカ合衆国農務省(USDA)。USDAは卵や牛肉・鶏肉などについて規制します。


USDAの持つ「自然」という言葉の定義はFDAよりも具体的です。食肉処理された後の動物たちに何かを添加すると……


その食品を「自然」という言葉で表すことはできなくなります。


ただし、「自然」という言葉の使用において、動物の飼育環境は問われません。ホルモンや抗生物質が与えられている動物の肉であっても「自然」を名乗ることはできます。


多くの人々は食品につけられた「自然」の意味をはっきりと理解していませんが、「自然」のラベルがついた食品の方が売れ行きはよくなります。


2005年、オーガニック食品の売上は140億ドル(約1兆6000億円)でしたが、2015年には400億ドル(約4兆5000億円)となっており、過去10年間においてオーガニック食品市場は拡大しています。


しかし、「オーガニック」を名乗るにはいくつかのルールを守る必要があります。合成殺虫剤や化学肥料を使っていたり、遺伝子組換え生物の場合はオーガニックを名乗ることはできません。オーガニックを名乗るためにはコストと時間が必要なのです。


そのため、コストを抑えながら成長・拡大中のオーガニック市場に入るべく、企業は「オーガニック」という言葉の代わりに「自然」という言葉を使っているわけです。


ただし、FDAが「『自然』という言葉の明確な定義を作るべきか?」という点の民間意見調査期間を終えるなど、少しずつ状況は変わりつつあります。


しかし、政府が「自然」という言葉を定義したからといって、「自然」が「健康的」と同じ意味を持つわけではありません。


ある訴訟では、遺伝子編集された植物を「自然」と呼ぶことはできないと示されましたが、だからといって遺伝子編集された植物が「食べると危険である」というわけではありません。


食品添加物の中には危険なものも存在しますが、Center for Science in the Public Interest(CSPI)の調査によると、多くは安全です。


実際のところ、合成された添加物よりも危険なのは、食品が処理される時に大量に加えられる完全に「自然な」材料……


塩と砂糖であるとのことです。

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