ハードウェア

iPhoneはヘリウムにさらされると死ぬ


iPhoneやApple WatchなどのApple製品が、ヘリウムにさらされると故障し、最悪の場合そのまま文鎮化することが、ある病院の事故から明らかになりました。

iPhones are Allergic to Helium | iFixit
https://ifixit.org/blog/11986/iphones-are-allergic-to-helium/

アメリカ・シカゴにあるモリス病院でシステムを担当するエリック・ウッドリッジさんは、新しく導入することになったGE製のMRIの設置途中に、「携帯電話が動かなくなった」という報告を病院職員から受けました。ウッドリッジさんはすぐに「MRIが何らかの電磁パルスを出しているのではないか?」ということが思い浮かび、病院内の他の機器への影響を考えて青ざめたとのこと。


しかし、調査した結果、故障したのはiPhoneやApple WatchなどのApple製品だけで、Android端末には問題が起こらなかったことが判明しました。故障した端末は、ACアダプターに接続しても充電できず、電源が入った端末もセルラー回線に問題を抱え、さらには文鎮化してまったく反応しない多くの端末があったとのこと。そこで、40台の端末に影響を与えた原因の調査が始まりました。

この奇妙なApple製品の突然死についてウッドリッジさんは掲示板Redditに投稿すると、「MRIを冷却するために使われる液体ヘリウムによって引き起こされた可能性」が指摘されました。そこでウッドリッジさんがMRIシステムを調べたところ、ヘリウム漏れが発見されました。システム稼働によって通気された液体ヘリウムの総量は約120リットルで、そのうちどれくらいが建物内に侵入したかは不明でしたが、ヘリウムは気化すると体積が750倍に膨張するため、ウッドリッジさんは「その日の看護師の声は普段よりも高かっただろう」と確信しているとのこと。


ヘリウムが原因ではないかと考えたウッドリッジさんは、iPhone 8 Plusを高濃度のヘリウムにさらしたところ、iPhoneがクラッシュして無反応になることが確かめられました。

iPhone 8+ in Helium rich atmosphere - YouTube


当初、ヘリウムによってジャイロセンサーを持つMEMSがトラブルを生じたのではないかと考えたウッドリッジさんでしたが、故障したApple製品にはMEMSを含まないApple Watchもあったため、この線は消えました。さらに、故障したiPhoneはiPhone 6以降の比較的、新しい端末に限られていたことも判明し、別の原因が探られました。

最終的にたどり着いたのは、あらゆるコンピューター端末に含まれる「時計」だったとのこと。周波数を生み出すために多くの端末が32kHzで振動する水晶(クオーツ)を用いていますが、正常に動作する温度領域が狭く、水晶体コンポーネントに1×3mm程度の大きさが必要だという欠点があるため、Appleは従来のクオーツからより小さなSiTime製のMEMSタイミング発振器「SiT1512」に切り替えていました。


あらためてAppleのユーザーガイドを見直すと、確かに「ヘリウムなどの液化ガスにさらさないように」という注意書きがあります。


なお、SiTimeのFAQには、「旧タイプのEpiSeal共振器は分子サイズの小さなガスを大量に浴びると影響があったかもしれません。ただし、新しいモデルではすべての分子サイズの小さなガスに対処できます」との記載があるので、新型のEMSタイミング発振器にはヘリウム耐性があるようです。


通常の環境でヘリウムにさらされる危険性は極めて小さいので、通常使用時には問題にはならなさそうですが、実験などで液体ヘリウムを扱う研究者など一部のユーザーは「比較的新しいiPhoneはヘリウムに弱い」と知っておくほうがよさそうです。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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