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Netflixではかなり厳しい「解雇」が行われている

by rawpixel

Netflixでは正社員とパートタイム従業員を合わせると合計で6000名以上を雇用しています。急成長している企業だからこそなのか、その企業文化は相当厳しいようで、Wall Streel Journalが現職・元従業員合わせて70名以上に聞き取り調査を行い、「無慈悲」とまで表現されるような解雇が行われている実態が暴かれています。

At Netflix, Radical Transparency and Blunt Firings Unsettle the Ranks - WSJ
https://www.wsj.com/articles/at-netflix-radical-transparency-and-blunt-firings-unsettle-the-ranks-1540497174


Netflixの企業文化の1つは「透明性の高さ」といえます。その一例として、全従業員が各国の契約者数やコンテンツの視聴者数、プロダクションとの契約条件といった情報を閲覧することが可能という点が挙げられます。さらに、役員であれば、全従業員の給与もチェックできるそうです。給与の閲覧については、「差を知ることで、気まずさを感じる人間が出る」「もっと頑張ろうという材料になる」と様々な意見が出たとのことで、リード・ヘイスティングスCEOは全従業員が閲覧できるようにしようとしたものの、さすがに役員によって拒否されたとのこと。

「人の退職・解雇」でも「透明性」は徹底されていて、Netflixでは、同僚らがいる公の場で自分の決定について説明することを「サンシャインする(sunshined/sunshining)」と表現するらしく、複数の「サンシャイン」が行われていて、数々の厳しい解雇の事例が報告されています。


解雇事例の1つが、対外広報を務めたジョナサン・フリードランド氏のものです。フリードランド氏は2011年2月にNetflixに入社し、2012年から「コミュニケーション最高責任者」の職にありました。しかし、PR会議の場で「Nワード」を使用、それから3カ月後に人事部の黒人従業員との会話の中でまたNワードを使ったため、ヘイスティングスCEOから事実上の退職勧告を受けることになりました。このとき、ヘイスティングスCEOはなぜフリードランド氏を辞めさせることになったのか、Nワードがどれだけ使用に敏感であるべきことかについて説明した文章を、社内の全員に向けてメールで送信しました。

ヘイスティングスCEOが「サンシャイン」したメールは、Hollywood Reporterに全文が掲載されています。

Jonathan Friedland Fired at Netflix After Using N-Word in Meeting | Hollywood Reporter
https://www.hollywoodreporter.com/live-feed/jonathan-friedland-exits-netflix-1122675


プロダクト最高責任者だったニール・ハント氏の事例は非常にシンプルです。もともとヘイスティングスCEOの親友であり、Netflixの創業期から所属して視聴者の番組選びを支えるアルゴリズム制作を手伝ったという人物でしたが、Netflixの事業が拡大して海外展開もする中で、2017年7月に「グレッグ・ピーターズ氏の方が適任」という理由で職を追われました。

2009年からエンジニアとして働いたアーニー・タム氏の場合、2015年のある月曜日の朝、上司に呼び出されて「もはやあなたはスターパフォーマーではないから」と告げられ解雇されました。タム氏によると、すぐに人事担当者がやってきて解雇手当の話をし、ノートPCを回収していったので、「自分はそのままオフィスを去って、帰ることはなかった」とのこと。Netflixの管理職は誰が解雇対象かチェックする「キーパーテスト」を行っていて、タム氏は前の上司から「ネガティブな意見が届いている」と注意を受けたあとは改善期間があったにも関わらず、新たな上司の判断が「即解雇」だったことに驚いたそうです。

前マーケティング担当副社長の女性・Aさんの事例は2014年のこと。Aさんはドラマ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」の第2シーズン配信の宣伝を毎週末、ニューヨーク市内で行っていました。上司であるマーケティング最高責任者のケリー・ベネット氏とタレント最高責任者のタウニ・ナザリオ=クランツ氏がカリフォルニアからロンドンへ移動する途上にニューヨークへ寄るということで、月曜日にミーティングをすることになったのですが、その場でAさんに告げられたのは「文化的に適合しない」という理由での解雇でした。解雇を告げたベネット氏はすぐに立ちあがって外に出ていってしまったため、Aさんがナザリオ=クランツ氏に「私は何を間違ったのですか?」と尋ねると、ナザリオ=クランツ氏は「早くチームの誰かを解雇すべきでした」と答えたそうです。「私はチームメンバーのキャリアの助けになれればと思っていましたが、彼らは『私(Aさん)の弱さの表れ』だと見たのでしょう」と語ったAさんは、解雇通知を受けた後、妊娠している妻にどう伝えるべきか、ロサンゼルスまでの6時間のフライトの間、ずっと泣き通しだったとのこと。

オレンジ・イズ・ニュー・ブラック | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
https://www.netflix.com/jp/title/70242311


なお、ナザリオ=クランツ氏はこのあと、ベイエリアに家を購入した際に会社から異常な額の現金を引き出したとして「サンシャイン」されています。彼女はヘイスティングスCEOのお気に入りだったらしく、トップ管理職の中から「明らかにえこひいきされている」と不興を買っていましたが、この事案ではヘイスティングスCEOが「破格の才能を持つものが仕事に集中するためなのだから、購入補助は認めても良いのではないか」という姿勢を見せたことで不問に付されています。別の機会には、ミラノの事務所開きイベントで、チームメンバーの女性たちの髪のセットとメイクアップを経費で行った件についても「サンシャイン」することになりましたが、「上司がゴルフに部下を連れ出して、必要経費として計上したら、ここまで問題になったでしょうか」と反撃、その場が「ジェンダーの公平性」の議論になったため、責任を問われることはなかったようです。ただ、ヘイスティングスCEOもとうとうかばいきれなくなったのか、ナザリオ=クランツ氏は2017年に解雇されました。ナザリオ=クランツ氏側からは「心臓の具合のこと、そして子どもたちともっと時間を過ごしたいという願いを考えての出発」という形で表現されています。その後、病気がどうなったのかはわかりませんが、2018年6月にWaymoの人材担当最高責任者に就任しています。

Waymo Hires Tawni Nazario-Cranz As Its Chief People Officer | Android Headlines
https://www.androidheadlines.com/2018/06/waymo-hires-tawni-nazario-cranz-as-its-chief-people-officer.html


Netflixの解雇の頻度はかなり高かったようで、2016年にシンガポール事務所ができたとき、従業員がショックを受けたことが報告されています。また、2018年にシンガポール事務所を辞めた韓国人従業員は、前述のAさんが解雇されるきっかけになったように厳しい従業員同士の「フィードバック」について、母親が公衆の面前で息子を罵倒することを強要される北朝鮮を思い出したとコメントしています。

広報担当者は、Netflixにいることを「オリンピックチームの一員のようなもの」と語り、「従業員の解雇は残念なことではあるが、すぐに他の企業に取られてしまう」と表現しています。

なお、WSJには他の事例の報告もあり、いずれもかなりキツそうに思えるのですが、これでも年間の従業員退職率は11%であり、LinkedInが調査した2018年のIT企業の平均退職率・13%を下回っているとのこと。実際に上の例に出てくるタム氏も、Netflixで働くことで多くのことを学ぶことができ、また、給料もたっぷりともらえたため、働けて幸せだったと感じているそうです。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by logc_nt

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